215.お兄ちゃん、お疲れ様会をする
さて、期末考査だが。
結果から言うと、僕もルーナも余裕でボーダーラインをクリアした。
僕は各教科ともに過去最高点をたたき出し、ボーダーどころか、学年順位でも上位10%の中に入ることができた。
2週間勉強したのもあるが、やはりフィンの力によるところが大きいだろう。
フィンのおかげで、苦手だった史学で大幅に点数を伸ばすことができたのが、大金星へとつながった形だ。
そんなわけで、僕個人としては、かなり良い結果と言ってよかったのだが、ルーナはもっと凄かった。
2週間前の時点で、信じられないほどに成績の悪かったルーナ。
だが、今回の期末考査では、なんと学年3位の座を捥ぎ取って見せた。
いやいやいやいや。
いくらヒロイン補正とはいえ、3位はやばい。
だって、同学年の中で、エリアスとフィンの次に賢いということで……。
本当に恐ろしい子。
何にせよ。双方ともに余裕で"智"の試験を超えた僕らに、ルカード様もホクホク顔だった。
「無事、最後の試験に臨めますね」
「はい、ルカード様」
「さて、私の仕事も、これで……」
「?」
報告の折、なんだか少しだけいつもと違う表情をしていたルカード様の事が少し気になったが、それよりも今はお茶会の事だ。
期末考査を終えたお疲れ様会。
いつものメンバーで、僕らは学園内の庭園に集まることになっていた。
「おっ、来やがったな」
「遅くなって申し訳ありません」
ルカード様への報告を終えて戻ってきた僕とルーナをアミール達男性陣が出迎えてくれる。
「遅かったじゃねぇか。お嬢様。待ちくたびれたぜ」
「あら、先に初めていて下さって構わなかったのに」
「お前がいないうちに始められる奴が、この中にいるかよ」
みんなお優しいことで。
お茶会の準備はすでにアニエスがバッチリ済ませてくれている。
美味しそうなお茶菓子の並ぶテーブルの方には、ルイーザやシュキの姿もあった。
「セレーネ様ぁ! 今日はアインホルン領の伝統的なお菓子もご用意させていただきましたわ。早くお召し上がりになって下さい」
「凄ーい!! 真っ白でふわふわ!!」
ルーナが見て喜んでいるそれは……大福じゃねぇか!?
いや、前世ぶりじゃねぇの。こりゃ、俄然楽しみになってきた。
「ありがとうございます。ルイーザさん」
そんなこんなで、誰かが始まりの挨拶を述べるでもなく、雰囲気のままに立食形式のお茶会がスタートした。
思い思いにお菓子を食べ、語らう。
試験を終えた開放感もあってか、その穏やかな時間がなんとも心地よい。
「さあ、セレーネ様! 是非、お召し上がりに!!」
「ありがとう。ルイーザさん」
「セレーネ様!! 私も実家からお菓子を贈ってもらったんです。これも是非!!」
「ルーナちゃんもありがとう」
二人に差し出されるままにお菓子を食べる。
大福うっまぁ。ルーナの実家のクッキーも素朴でいいなぁ。
でも、次々と持って来られるとさすがに喉が詰まりそうなんだけども……。
「セレーネ様、こちらをどうぞ」
「あっ、ありがとう」
気の利くフィンが差し出してくれた紅茶でのどを潤す。
ふぅ、すっきり。
「今日は、フィーの姿なのですわね」
小声で問いかけると、フィーは嘆息するように頷いた。
「ルーナとルイーザさんがどうしても来て欲しいって言うから」
2人がそう言うのも当然だ。
今回の試験勉強に一番貢献したのは間違いなくフィーだろう。
ルーナの点数を上げるだけに留まらず、ルイーザやシュキにもわからないところを教えていたりしたもんな。
家庭教師として時間換算したら、なかなかの料金になるのではなかろうか。
「みんなフィーの事が大好きですものね」
「好かれるつもりはなかったんだけど。でも……」
「フィー様も是非私の領の伝統お菓子を!」
「あっ、ルイーザちゃんずるい!! 私のクッキーも食べてね。フィーちゃん!!」
勢いのままに、フィーにも自分たちのお菓子を振舞おうとするルイーザとルーナ。
そんな2人を見て、フィーは少しだけ穏やかな表情を浮かべた。
「不思議と、悪い気はしない……かも」
「それでいいと思いますわ。ささ、二人の厚意にちゃんと応えてあげて下さいまし」
軽く肩を推すようにすると、フィーの周りにルーナとルイーザ、そして、シュキも集まってきた。
わちゃわちゃとしながらも、楽しそうなその姿を見ていると、僕もなんだか胸が温かくなるような想いだった。
「早いものですね」
「エリアス様」
フィーたちを見守るようにしていた僕。
その傍にいつの間にか立っていたのはエリアスだった。
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