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011.お兄ちゃん、弟の趣味を知る

「か、かわいい……」


 真っ青なドレスを着て、クルクルと回る金髪の美少女……はい、僕の"弟"です。

 うん、確かに、なんでもしていいよ、つきあうよ、とは言ったけれども、まさかこんな事がしたいだなんて言うとは思わなかった。

 クローゼットに納まっていた僕のドレスを自分で着付けたフィンは、明らかに高揚した表情で、ふわふわと舞う裾を眺めて楽しんでいる。


「え、えっと、フィン。以前からこういうことをしていたの?」

「あ、はい……」


 僕が問いかけると、フィンの表情は、恍惚としたものから、いつもの気弱そうなそれに戻った。


「養子に出される前は、その……比較的よく……」


 ふむ、どうやら子爵家にいた頃からの隠れた趣味らしい。

 うーむ、まさか女装癖があったとはなぁ。

 でも、確かに、元々の容姿が容姿だけあって、めちゃくちゃよく似合っている。

 本来の持ち主である僕よりも着こなしているくらいだ。

 元々、セミロングくらいの長さがあり、天然でパーマのかかっている金髪をしていることもあり、特にいじらずとも、自然と女の子に見える。


「よく似合っていますわ」

「えっ……!?」


 フィンがぱちくりとした瞳でこちらを見ている。

 あっ、こういう表情も可愛らしいな。


「その、セレーネ様は、おかしいとは思わないのですか?」

「まあ、一般的な趣味とは言えないかもしれませんが、趣味なんてもの、人それぞれですもの」


 実際、前世では、僕にも人には言えない趣味の一つや二つ……って、あえて言及はしまい。

 それに、なんといっても、めちゃくちゃ似合っているし。


「さあさ、どうせなら、もっと色々試してみましょう!」

「え、えっ……!?」


 そこからは、僕も加わって、クローゼットに入っているドレスを次々とフィンに着させていく。

 赤いドレスに、青いドレス、黄色いドレスに、白いドレス。

 僕もすでにノリノリだ。

 いや、だって、どのドレス着させても似合うし。

 うーん、当初考えていた弟とのあれこれからは随分ズレてしまった感じはするが、まあ、これはこれで結構楽しいから良しとしよう。


「フィン、次はどれにします? これなんか似合いそうですわよ」

「そ、それが良いです……」


 どこか夢見心地な表情のフィン。

 父からの拷問のような英才教育で、パンパンに張り詰めていた心も随分とほぐされてきたようだ。

 こうやって1日リフレッシュできれば、少しは──


「何をしている!!」


 怒号が、部屋に響いた。

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