あいあんぽーしょん
プロトタイプができた。できた。できてしまった。
「なんというものをつくってしまったんでしょう」
いや、まさかできるとは…。流石レイちゃん。想像の遥か上を行く才能だ。インド人もびっくり。
というか制作材料:ノリと勢い でも割とできるもんだなぁ。見てよこのフォルム。キレイな形してるだろう?動くんだぜ、こいつ。この二つのネタ混ぜても割と違和感ないな。多様しよ。いや、多様する機械ねーわ。
あ今のはね?機械と機会をかけた渾身のギャグなんだよ。
まぁ実際は誤字ったのが割とうめーなってなったからだけど。
「まぁ、何はともあれ…試乗だよね!」
ドキドキしちゃう。だって女の子だもん。
というかこれ試乗って言葉あってんのかな。首輪に反応してパーツ飛んできて合体戦士的な奴なんだけど。…装着?しそう…試着か?まぁいっか。
えーご集まりの皆さん、忙しいなか来ていただきありがとうございます。本日はですね、この…あー…プロジェクトのお披露目とゆーことで、我が社が誇る技術を紹介したいと思います。
まずコアとなる首輪ですが、これはオーパーツですね。正直よくわかりません。はい。でも魔力は凄いです。ハリボテエレジーの人気ぐらいあります。
で、この魔力を目印に飛んでくるパーツですが、土魔法で造り上げたパーツに火魔法を使うことで飛ばし風魔法で制御し、水魔法で排熱、雷魔法でパーツをくっ付け合う。という作りになっています。
正直まーの魔法の属性絞ったほうが制御しやすいじゃんと思ったけど、ほら、全属性はロマンですから…。
ともあれ!こまかい理論はいいんだよ要は動けば使えるんだから!ほら起動!
「今週のびっくりどっきり魔道具!」
首輪に合図となる魔力送る。早速、一つ目のパーツの腕部分が飛んできた。
体に当たる衝撃に備え魔法で防御膜を体にうっすら纏わせる。正直、普通に防御力のステータス高いから余裕だけど視覚的に怖いんだよね。というかパーツ組み込みたかったぜ。アタッシュケース型が一番好きだったんだ。力不足ですぅ…。
カァンッ
おおよそ人間と金属が当たったとは思えない音と共に、私の左腕に軽く衝撃が来た。
よしよし、実験は順調、だ…?
左腕。そこには腕を覆うパーツが反対向きでくっついていた。普通に失敗だ。順調じゃない。
カンカァンッ
次のパーツが飛んできた。今度は右足と腰部分…なのだが、何故か左足に飛んできた。腰部分に至っては頭部だ。見にくい。
「…我こういうゲーム見たことある!」
そう、ゴロゴロ周囲を引っ付け貼っ付け段々巨大化していき地球を壊す…。
そこまで考えた所で、次々飛んでくるパーツによって私は鉄塊となった。
ノリと勢いの人生は歓迎だが、ノリと勢いで魔道具を作ってはいけない。あと小説も書いてはいけない。私の名言です。
なんだよー。思い通りに出来てないじゃんかー。某映画みたいにできると思ったのにさー。
首輪を外すと、それにリンクしているパーツ達は地に落ちる。塊になって手も動かせないのにどうやったかって言うと、こう、首の筋肉をふんってやって外した。嘘です。まぢゅつです。
「はいはい脱出マジック成功成功。んー何がいけなかった…いや、そうじゃないな。レイちゃんは間違えた事は一度もないんだ。いやぁいい感じに思い通りにいったなー。次はスーツ型になるようにしてみるかー」
負けを認めるまでは負けじゃないですー。まだ負けてない!(某夏戦争映画風)
…あの映画今年やったっけ?映画とアニメだけはちゃんと番組表チェックしてるんだけど。
パーツに組み込んだ魔法はっと…。うん、問題ないはず。じゃあ怪しいのはこの発動体である首輪だな。やっぱキルが原因じゃないか(呆れ)。はー辛いわー。レイちゃんは天才なのにキルに足引っ張られてつらいわー。
………殺気!
咄嗟に殺気がした方向にパーツを掲げ、盾にする。勿論魔法で強化することも忘れない。そして殺気が飛んできた逆からの攻撃に私はなすすべなく吹き飛ばされた。
「かどまちっ!?」
「いやぁ、今日も面白いね」
どうして壁に撃ちつけられる時って、上下反対になるんだろ。頭が下で足が大股でめり込むやつ。やっぱりテンプレだからかな。あと角待ちではない。
何にせよ、このままじゃかっこつかない。落ちてから起き上がり瓦礫を払う。
首をぶんぶんして石屑を振り払ってる私に、キルはパーツの山から首輪を取り出してきて私に付けた。徹底してるわね!
「やっほーキル。実験は成功だ!」
「そうゆうとこも好きだよ」
キルから愛の告白を聞けたので私の勝ちです。
「そうだハイポーション作ろう」
キルに「魔術の力だけで飛べるようになってからね」とパーツを没収されたので、暇になった私はそう思い立った。落ち着くことなき人生だね全く。
ポーションもレイちゃんなら出来るでしょ多分。こう、ハイポだし精力剤…じゃなくて、薬草磨り潰して煮ればいいんじゃろ?
実際やってみた。
黒い水ができた。
「?????………薬草は緑色だったし、黒くなる要素無かったよね?魔力も注いでないし」
花瓶に捨てられてた薬草も本当に緑色しかなかったし、磨り潰した時点では変わりなかったんだけど。
んーまいっか。飲んでみよ。
ごくごくごくごくんげぷぇあぶうぇおえええええ『ピーーーーー』
都合により、描写を変更してお送りしています。NiceBoat。
「げっふがっは…ぇう…想像の上を行く不味さだった…」
なんかこう…不味さが「FBIopenup!!」って突っ込んでくるような…そんな感じの暴力的な苦味。錠剤溶かして飲むのの上をいく。
「まずは何で黒くなったからかなー。これ砂糖蜂蜜いれてどうにかなるもんじゃないだろうし…」
でも余計なものは一切入れてないはずなんだよねー。空気中の成分が邪魔とかだったら調合難易度高すぎない?ってなるんだけど…。
いや、そうだな。むしろ余計なもん入れてないのが悪いかもしれない。次は魔力突っ込んでみよう。ファンタジーだしありよりのありでしょ。
魔力の量はー…ちっちゃい火の玉出すぐらいで…。
緑色のができた。
「はーレイちゃんの才能が溢れすぎて辛いわー。シャンパンタワーできるぐらい溢れすぎて辛いわー」
で、味は?
「………草」
まぁ、だろうね。