第10話 カメーナエと『邪神』3
「もぉおおぉ! マジでありえないんだけど!」
『ゴアァアアァァァ!』
突然、『SUR 異界迷宮』に強制転移された自称『女神』のカメーナエと邪神が、『UR 無限虫』から生み出される虫に対処していた。
カメーナエが腕を振るうと、斬撃が飛び、迫り来る約30mだが数が多い如何にも獰猛な蜂達を一瞬で倒す。
しかし、後から1mの甲冑をまとったカブトムシのような虫達が迫ってくるのだ。
彼女は文句を叫びながら対処していた。
一方、『邪神』はというと……。
カメーナエの指示で口、側面からモンスターを吐き出す。
こちらも『無限虫』のようにモンスターを生み出すことが出来る。
生み出されたモンスターは、オーガ、オーク、4本腕のクマから、ワイバーン、ドラゴンまで幅広い。
複数のドラゴンが地上へ向けて、炎を吐き出し虫達を燃やし尽くす。
虫達は炎によって燃え上がってしまう。
だが、数mはある極彩色の毒ムカデが全身から毒物を分泌。体を襲う炎の威力を弱めて、空中にいるドラゴンの一匹へと噛みつき、体を絡める。
『グギャアァァァァ!』
ドラゴンが悲鳴を上げ、巨大なムカデの質量&毒物により、空を飛べず落下。
床に激突すると、再び『無限虫』から生み出された攻撃性の高い虫達が、ドラゴンへと群がる。
無事だった空中のドラゴン達は、仲間ごと燃やすため再び、ブレスの体勢を取った――が、高速で飛行する約10mの巨大なクワガタによって首を切断。
次々床へと落ちていく。
「もぉおおぉ! どれだけ生み出しても、あの巨大な建物がある限り無意味じゃない! 『邪神』! あの建物を破壊しなさい!」
『ゴアァアアァァアァァアァァアァァアァァァ!』
『邪神』はカメーナエの命令に従い巨大ビルのような『無限虫』を破壊するため突撃。
その巨体を生かし、『無限虫』に激突し破壊するつもりらしい。
体側面にある足を動かし、突撃するが遠目から見ると遅く見える。
しかし、実際は、その巨体からは考えられないほどの速さで移動している。そのまま勢いを殺さず、『邪神』が『無限虫』へと頭からぶつかる。
『ドン!』と空気が破裂するような衝撃、音が迷宮に広がった。
しかし、『無限虫』は軋むが壊れるまでいかない。
カメーナエが顔を顰める。
「なによこれ、意外と頑丈じゃない!」
『ギチギチギチ!』
『無限虫』は軋む間も攻撃的な虫を産み続ける。
当然、突撃すれば距離が縮まり、カメーナエに襲いかかる虫達も居た。
爪先まで青い巨大なサソリ達が『無限虫』から湧いて『邪神』の体を伝いカメーナエへと襲いかかる。
カメーナエは虫に対する嫌悪感など一切出さず、邪魔な障害物を排除する表情で『無限虫』本体ごと切り落とすつもりで、腕を一閃。
彼女が腕を振るうと、青いサソリ達は細切れに、『無限虫』の本体にも亀裂が走る――だが、カメーナエの力を以てしても建物は倒れなかった。
「『邪神』!」
『ゴアァアアァァアァァアァァアァァアァァァ!』
彼女の叫びを理解し、『邪神』がその場で一回転。
尻尾を勢いよく『無限虫』へと叩き付ける。
さすがに頑丈な『無限虫』でもカメーナエの一閃と、『邪神』の尻尾攻撃には耐えきれず、上半分ほどが倒壊。
だが、まだ残っている部分から虫達が抗うようにわらわらと出てくる。
「『邪神』! モンスターを産みだしつつ、残った建物を踏み潰しなさい!」
『ゴアァアアァァアァァアァァアァァアァァァ!』
カメーナエの命令に『邪神』は素直に従う。
虫達を排除するモンスターを産みだしつつ、残った『無限虫』を巨体を生かして踏み潰していく。
カメーナエ達は苦戦しているように見えるが、蓋を開けてみれば、彼女達は一切のダメージを負わず『無限虫』を攻略したのだ。
『無限虫』の建物を破壊。
残党の虫達をモンスター達で排除したお陰でカメーナエはようやく一息つくことが出来た。
一息ついた所で、改めて『SUR 異界迷宮』内部を見回す。
「……なにこれ。アイ、こんなの知らないんだけど……」
あまりにも予想外な光景に思わず自分の本名を漏らしてしまう。
(第二サポートAIとして、『C・U』様――『C』様から任されている物語に存在するアイテムは全て把握しているのに……。アイ、こんなアイテムがあるなんて知らないんだけど……)
第一サポートAIがルカン、第二サポートAIがアイ。
二人は本来一つのAIで、正式名称は『Einqru AI』だ。
物語を進行する上で、この世界に存在するアイテム、武器、防具など、アイは全ての知識が頭にインプットされているが……。
異界に迷宮を作り出し、相手を閉じ込めるなんてマジックアイテムは本来存在しない。
(『巨塔の魔女』、黒髪の少年もそうだけど……イレギュラーが多すぎない?)
内心、うんざりしつつも、与えられた職務を全うするため彼女は頭を回転、指示を出す。
「『邪神』! 移動系に優れるモンスターを大量に出して。この迷宮を物量で探査させて出口を探すわよ!」
『ゴアァアアァァアァァアァァアァァアァァァ!』
カメーナエの指示で『邪神』が、口、側面から高速移動に特化したワイバーンを生み出す。
生み出された端から、高速移動ワイバーンは飛び立ち、四方八方へと飛んでいく。
他にもこの迷宮を作り出し、姿を消したウルシュ、アーミラ、アリアを追跡するため匂いを追うことが出来るオオカミ型モンスターを生み出す。
「匂いを追って出入り口を見つけ出す……のは、無理でしょうね。こんな意味わからない物を作り出せる奴らなら匂いを誤魔化す手段ぐらいいくらでもあるだろうし」
オオカミ達にはあまり期待せず、地上から出口を探す手段のひとつとして割り切った。
――結果、ウルシュ達に遅れて約三日で『SUR 異界迷宮』の出口を発見する。
☆ ☆ ☆
「よ、ようやく出口を発見したわね……」
四方八方に高速ワイバーンを展開。
出口を発見した個体から、連絡をもらい急ぎ移動した。
出口は巨大な門だ。
門の先に約三日前に居た港街の風景が見える。
いくら巨大な門とはいえ、それ以上に巨大な『邪神』がくぐれる大きさではないが、カメーナエは心配していなかった。
(迷宮の通路も『邪神』より圧倒的に狭いのに、『邪神』が移動すると自動的に通れるサイズに変化するとか……。本当にこの迷宮何? こんなのどうやったら作れるのよ……)
カメーナエは呆れつつ、目的――『巨塔の魔女』、黒髪の少年などのイレギュラーを始末するため迷宮の外へと出る。
外に出ると久しぶりに浴びる太陽光と――。
「次元の断絶! 星屑の爆弾! 炎環地獄! 粘菌細胞!」
エリーの魔術本『4』の補助を受けつつ、戦略級攻撃魔術が出迎えた。
カメーナエ、『邪神』には効果が無いが、彼女達の周りにいた迷宮脱出で苦楽をともにしたモンスター達は一瞬で消滅する。
大剣プロメテウスで4人以上に増えた多数のナズナが、追撃として襲いかかる。
『でやぁぁ!』
「ア――妾にこんな攻撃、効かぬとなぜ分からぬ!」
本名を口にしかけたカメーナエだったが、咄嗟に演技を再開。
大剣プロメテウスを振り下ろしてくるナズナ達を、前回同様、腕を一閃、吹き飛ばしていく。
――そこに隙が生じる。
「!?」
「――今頃気付いてもう遅い!」
エリーの戦略級攻撃魔術、ナズナの複数体攻撃、どれも効果が無いのはライト達も把握済みだ。
その上で仕掛けたのは、カメーナエへの目くらましと隙を作り出すためだ。
作戦通り、カメーナエの背後にライトが『SSR 転移』で移動。
彼の右手には魂魄封絶第一限定解除が既にされている『神葬グングニール』が握られていた。
ライトは背後から、カメーナエへ奇襲をしかける。
カメーナエも気付くが、ナズナ達を安易に迎撃したせいで、すぐには対応できない。
並の者なら付け入ることができない極僅かな隙だが。
レベル9999で、何度も戦闘や修羅場を経験してきたライトにとっては十分な隙だ!
ライトは一切の躊躇なく、カメーナエの細首へ『神葬グングニール』の刃を走らせる!
『神葬グングニール』は、あっさりと自称『女神』の首を切り落としたのだった。
本作『【連載版】無限ガチャ』を読んで頂きまして誠にありがとうございます。
先月、3月25日(水)に『無限ガチャ』のBlu-ray BOX(特装限定版)が発売しました。
前回も書かせて頂きましたが、付属の特典小説を書きましたので、是非お手にとって頂けると嬉しいです。
他にもtef様のイラストや大前様の漫画など色々特典が付くので是非お楽しみに!
また久しぶりに活動報告に感想返答をアップさせて頂きました。
色々あって感想返答が遅くなっていますが、今後もどうか気長に待って頂けると幸いです。
最後にアニメ関係として、『無限ガチャ』公式Xアカウント(@mugengacha9999)が開設されております! さらにアニメ公式サイトも立ち上がっていますので、是非チェックして頂けると嬉しいです!
次のアップは来月5月7日を予定しております。
また『小説家になろう』様の規約で、直接アマゾン等のアドレスを張っても問題ないとのことなので、下に明鏡シスイ作品(小説、マンガ)のアドレスを晴らせて頂ければと思います。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00QSFLJ2E?_encoding=UTF8&node=465392&offset=0&pageSize=12&searchAlias=stripbooks&sort=author-sidecar-rank&page=1&langFilter=default#formatSelectorHeader
また最後に――【明鏡からのお願い】
『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。
感想もお待ちしております。
今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!




