22話 魔人国王城へ
「うううぅ……わたくし、一生の不覚ですわ!」
『巨塔の魔女』ことエリーが、『巨塔』で飼っているレッドドラゴンの背中に立ちながら、自分の過ちを嘆く。
エリーは現在ドラゴン約100匹を連れて、魔人国首都にある王城を攻め滅ぼすため移動中だった。
空中を高速で移動しているため、本来ならエリーのように立って移動した場合、風圧に耐えきれず吹き飛んでしまうが、そこは彼女の魔術で重力を操作し平地の上で立っているかのように調整しているのだ。
そのため頭から被ったフードが風圧で捲れることもない。
レベル9999、『禁忌の魔女』にとってこの程度、造作もなかった。
なので別にドラゴンの背に乗って移動していることを嘆いている訳ではない。
では彼女は何について嘆いているのか?
エリーがハンカチを噛みつつ『ぐぬぬぬ』と悔しげな表情を作る。
「お義兄様を怪物から人種に戻す方法がないと落ち込んでいたライト神様に、どのような言葉をかけてよいか分からず、見守っていたら……メイさんが『無限ガチャ』の可能性にいち早く気付き、お慰めになるとは……。どうしてわたくしはメイさんより早く『無限ガチャ』の可能性を思い付かず、ライト神様をお慰めしなかったの! あぁぁぁ! 本当にわたくし、一生の不覚ですわ!」
エリーがハンカチを噛むのを止めて仕舞うと、貧血をしたようにふらつき頭を抑えた。
「あの時、魔術師としてつい『魔術でどうやってお義兄様をお助けするか』と模索してしまいましたが……わたくし程度の魔術でどうこうしようと考えたのがそもそもの間違いでしたわ。神たるライト神様の恩恵『無限ガチャ』の前ではわたくしの魔術などゴミ同然。その事実を忘れ、考え込んだ時点でわたくしの失策。メイさんより早く気付いていれば、わたくしがライト神様を先にお慰めすることができましたのに……ッ!」
しかし現実はメイが先に慰め、ライトの好感度を稼ぎ、エリーは出遅れてしまったのだ。
その後、メイの励ましで立ち直ったライトに呼び出され、『魔人国王城を見せしめのため灰にしろ』と命じられた。
その際、条件がいくつか付いた。
一つ、『巨塔の魔女』としてドラゴン100匹と共に乗り込み、王城を灰にすること。
レベル9999の『禁忌の魔女』が本気になれば、一瞬で城どころか、街そのものを灰に出来る。
だが最初から魔術を行使するのではなく、魔人国住民達の心をへし折る意味も込めて、ドラゴン100匹を連れて乗り込むようにと命じられた。
次に魔人国第一王子ヴォロスの確保。
彼はライト兄や人種を実験材料として苦しめた元凶ドクを支援していた魔人国の代表であり、首謀者だ。
なので実際に捕らえて、ドク同様に相応の罰を与えないと気が済まないらしい。
魔人国王城を灰にするのは、首都に住む魔人種達に対する警告の意味が強いだろう。
最後は、魔人国王城を灰にした後、『巨塔の魔女』として『人種絶対独立主義』を布告し、人種奴隷を無条件解放、引き渡しを要求することだ。
こちらはエルフ女王国、ドワーフ王国、獣人連合国でもすでにおこなったことで、引き渡される人種の受け入れもすでに『巨塔街』で手配し、準備を進めている。
何度もやっているため慣れているし、今まで特に問題は起きていない。
もし人種奴隷引き渡しに逆らう者がいたら、相応の対処をしろと命じられている。
実際エルフ女王国でも、人種を虐げ大量に殺していた奴隷商人達が奴隷引き渡しに逆らってきたが、1人見せしめに生きたままドラゴンに喰わせたら、以後逆らう者は居なくなった。
(本来ならライト神様のご命令に逆らう者は時間をかけて生まれてきた事を後悔するような拷問にかけたいくらいですが……。そちらに時間を割くと切りがありませんし)
いちいち、細かいことにまで手を出していたら、いくら時間があっても足りない。その分、ライトからの命令に対応できる時間が取られてしまう。
故にこの程度で済ませているのだ。
エリーが気持ちを切り替える。
「ライト神様を慰めることは叶いませんでしたが、勅命を受けたのです。いつまでも落ち込んではいられませんわ! 気合を入れ直して臨まないと!」
両手を握り締め『ふんす!』とやる気を入れ直す。
まずは魔人国首都王城へ向かい、エルフ女王国でやったように約100匹のドラゴン達を見せつける。
ドラゴン達で威圧しつつ、王城へ向かってヴォロスの身柄を要求。
大人しくヴォロスが姿を現し、捕まるならよし。
素直に出てこない場合は、位置を特定し、エリーが直接強襲、身柄を拘束する予定だ。
他の者達に任せるより、それが確実で早いためだ。
気合を入れ直し、計画を再確認するのとほぼ同時に――魔人国首都王城方面から光が立ち上る。
「…………え、ですの?」
立ち上った光はすぐにおさまる。
魔術で強化した視力で光がおさまった方角を確認すると……これから襲う予定の王城が既に瓦礫の山と化していた。
さらにその瓦礫の山に蠢く影あり。
『――――――!』
遠すぎて何を叫んでいるか分からないが……つい最近、似た光景をエリーは眼にした。
ライトがエルス兄の自死後、ドクの言葉に反発し、激怒した。その姿に似ている。
エリーは魔術師で、見ただけで相手の力量を計る技術は持ち合わせていない。
そんな彼女が遠目からでも実力者だと判別できてしまう。
「あれはなんですの?」
エリーは1人呟き首を小さく傾げた。
本作『【連載版】無限ガチャ』を読んで頂きまして誠にありがとうございます。
『無限ガチャ』書籍発売まで後9日! 5月19日に発売になります!
また感想覧&活動報告コメントにて既に予約して頂いたユーザー様が居てくださり、本当にありがとうございます!
こうした皆様の応援のお陰で、明鏡自身も頑張って書いていく原動力に本当になっています!
そんな皆様に少しでも恩返し&楽しんで頂くため、次のアップ日である5月13日から、『無限ガチャ』書籍発売を記念して、発売日当日の19日まで毎日更新をします!
さらにご報告ですがHJ様から、『無限ガチャ』献本が届きました。
以下に早速、写真を載せたいと思います!
明鏡自身初の大判が手元にあるということで、妙な感動がありますね。HJ様、お送り頂きましてありがとうございます!
さて次回のアップ日から毎日投稿をする予定です。
その際、活動報告等にtef様の描いたキャラクターラフ画等もアップする予定です。そちらもお楽しみに!
次回アップは5月13日になります。
また最後に――【明鏡からのお願い】
『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。
感想もお待ちしております。
今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!




