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18話 魔人国への裁可、エリーへの指示出し

「ご、ごめんなさい、ご主人様ぁ~!」


 エルス兄が眠る部屋を出て、『奈落』最下層執務室へと戻る。

 執務室の席に座りながら、ナズナ本人の口から対魔人国側『ますたー』であるゴウとの戦闘の報告を受けた。


 彼女は涙声と表情で、報告してくれた。


 僕はナズナを落ち着かせるため、笑顔で答える。


「魔人国側『ますたー』のトップであるゴウを確保できなかったのは残念だけど、ナズナのせいじゃないよ。まさか捕らえられないように自爆するなんて誰も予想できないんだから。僕は怒っていないから、ナズナも気にしないで」

「あ、ありがとうございます、ご主人様ぁ。次はあたい、もっと頑張るから! 絶対にご主人様の命令をやりとげてみせるから!」


 涙声と鼻水、やる気ある表情を同時に表に出しつつナズナが断言する。

 僕は苦笑を漏らしつつ、部屋に待機するメイへと視線を向けた。


 彼女は無言で小さく頷くと、ナズナの側へと移動。

 ハンカチを取り出し、涙と鼻水を拭う。


(しかし、ちょっと妙だな……)


 ナズナが落ち着くのを待ちつつ、彼女の報告に疑問を抱く。


 元々ゴウについては、ドクとの戦いを邪魔されないよう、妙な動きをしないように抑えておくという目的でナズナを向かわせた。

 ナズナが1人だけだったのは、高レベル同士の戦いのため、余計な被害を増やさないためだ。


 ナズナが虚偽報告をおこなっていると疑っている訳ではない。

 ただゴウの自爆に強い違和感を覚えるだけだ。


(普通、ゴウクラスのレベルがバラバラになるほどの爆発が間近で起きたら、いくらナズナだって無傷ではすまない筈……)


 魔人国『ますたー』である偽ギラの自爆が良い例だ。

 僕達と最初に戦った偽ギラは過去文明の高位マジックアイテムの人形だった。正体を見破った後、僕達を巻き込むため人形まるごと戦略級(ストラテジー・クラス)上位、『黒き虚ろの穴(ブラック・ホール)』で自爆。

 その自爆でエリーが作ってくれた地下決闘場に多大な被害を出し、後ほど僕が『無限ガチャ』カードを使って修理したほどだ。


 だがナズナから状況を聞く限り、彼女を自爆に巻き込み道連れにすることもなく、周囲に被害は殆どない。

 そこから導き出されることは一つしかなかった。


(自爆はフェイクで、ゴウは自分の死を偽装したのか……)


 ナズナに勝利できないことを悟り、爆発を目隠しに地面の下等に隠れて彼女をやり過ごし、逃走。

 この方がしっくりと来る。


 他にも『俺様に勝ったぐらいで調子に乗るなよォッ。オマエがいくら強くてもこの世界で意味なんてないんだよぉッ。アイツにとって俺様達なんて玩具程度の認識でしかないんだからなァッ』や、『ハァッ! 意味が分からないようだなァッ! なら、その時、せいぜい絶望しろ、クソガキがァッ――』という台詞も気になる。


(ゴウレベルが勝負を最初から投げている存在……普通に考えれば『C』のことを指している? でもゴウ達魔人国側の『ますたー』は『C』に何かを願うために集まった者達だってミキが言っていた訳で……)


 だとするならゴウの発言は矛盾する。

 何より――。


(ゴウの指摘する相手が『C』だとしたら、彼はいったい『C』に何を願うつもりだったんだ? 彼の発言から、ゴウは『C』にあまり良い印象を持っていない感じだし……。もしかしたらミキは知っているかもしれないから、後で尋ねてみるか)


 正直、疑問が尽きない。

 もしゴウが自殺ではなく、逃走しただけなら動きを捕捉して捕らえるだけだ。

 生きているなら捕らえて情報を引き出せばいいだけである。


 ナズナを下がらせると、すぐメイにゴウの自爆跡の調査を指示する。


「メイ、ゴウが自爆したという場所の調査を頼む。もし自爆がフェイクで、彼が生きて逃走しているのならその調査も頼むよ」

「畏まりました」


 メイがメイドらしく一礼する。


 彼女の返事を待って次の話題――ドクへと移った。


 僕は『種族の集い』メンバーを前にしたように殺意を滾らせ断言する。


「ドクに関しては必要な情報を抜き出したら、永遠の責め苦を与えろ。奴にはにーちゃんの苦痛も当然として、今まで手に掛けてきた被害者の痛みの万分の1でも地獄を味わわせてやらないと僕の気がすまない。『無限ガチャ』から排出されるどのようなカードを使用しても構わない。だから、僕達が存在し続ける限り肉体、精神に永遠の最大級の苦痛を与え続けろ。僕のライトの名において絶対にだ」

「畏まりました。我がメイド道に懸け、また『奈落』メンバー(我々)の全知全能をもって奴に絶対的な地獄、苦痛、絶望を与えてみせます」


 メイ自身、怒りを露わに断言する。


 既に捕らえている『種族の集い』メンバーと同等の地獄を与えるよう指示を出す。


 今まで捕らえ情報を引き出した者達は大抵、責め苦を与えた後、慈悲として死を与えていた。

 なので今回のドクの扱いは異例ともいえる。


 だが僕の殺意はまだ終わらない。


 ドクの処分について口にしたせいで、怒りがマグマのように沸々と湧き上がり続ける。


「エリーを呼べ。にーちゃんを苦しめ、ドクを支援して人種の尊厳を汚してきた奴らも同罪だ。エルフ女王国の時のようにドラゴン達を率いて、見せしめのために魔人国王城を灰にしろ。それとドクの研究所に未だ放置されている遺体達は丁寧に女神様の下へと送るように」


 最後は怒りだけではなく、未だドクの研究所で放置されている人種遺体や実験体、モンスターなどを思い出し指示を出す。

 遺体や助からない者達は女神様の下へ。

 他は『巨塔街』への保護などを指示する。


 メイはエリーを呼び出すため、『SR、念話』カードを使用する。


 エリーが到着するまで再び殺意が沸々と湧き出す。


(にーちゃん……人種をドクが実験材料として苦しめていると理解しながらも、自分の利益を貪るため支援し続けてきた魔人国のトップ陣には死を与えなければならない。エルフ女王国の時は恭順させるため脅しで済ませたが、今回は灰にしてやる……!)


 本当なら人種の苦しみも知らずのうのうと過ごしていた魔人国住民達も100匹以上のドラゴンのブレスで首都まるごと滅ぼしてやりたいが……。

 未だ首都には人種奴隷などがいる。

 彼、彼女達ごと滅ぼす訳にはいかないのと、いくらなんでも魔人国首都住民の皆殺しはただの八つ当たりだ。

 さすがに自重する。


 しかし、魔人国王城に住むトップ陣――特に第一王子ヴォロスは別だ。


 奴はドクの悪行を知りつつ、支援し続けてきたのだ。


(魔人国第一王子ヴォロスには、ドク同様に相応の罰を与えないと気が済まない。一瞬で何の苦痛もなく殺すなんて幸運を与えてなどやるものか! 奴を捕らえた後、民達への見せしめに城はドラゴンのブレスで灰にしてやる。その後、『人種(ヒューマン)絶対主義』を布告し、人種奴隷を無条件解放、引き渡しを要求しないと。逆らう奴がいたら――)


 僕はふつふつと湧き上がる怒りを抱きつつ、頭ではエリーに出す指示を思案する。


 メイからの連絡を受け、エリーが執務室に姿を現すまで僕は思考を回転させ続けた。

本作『【連載版】無限ガチャ』を読んで頂きまして誠にありがとうございます。


ついに5月突入しましたが、今月19日に無限ガチャ小説が発売されます!

発売を記念して、毎日更新、軍オタの時のように小説購入者が読める特典小説などを準備しております。

なのでどうぞ皆様、お楽しみに!


また書籍版イラストレーターのtef様のツイッターにて、『無限ガチャ』帯付きの表紙がアップされております。

tef様ありがとうございます!

皆様もよろしければ是非チェックしてみてください! (『tef twitter』と検索すれば出てくると思います)


また今後も引き続き頑張って書いていきますので、何卒よろしくお願い致します!


次回アップは5月4日になります。


また最後に――【明鏡からのお願い】

『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。


感想もお待ちしております。


今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!

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― 新着の感想 ―
城の奴隷は考えてるよね
[良い点] ちゃんと犠牲になった人種を弔う指示を出すところ。 [気になる点] 何故女神を信じてるのか? [一言] ゴウの生死についてはメイじゃなくてメラに先ずは確認すべきではないのかな?
[気になる点] ギラとディアブロはどうなったのでしょう? ゴウの行方はメラの血で追跡を試みなかったのかな?
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