28. 奇襲ッ!! 真珠湾攻撃 1
本当は開戦日に投稿したかったけど間に合わなかった...orz
ーー連合艦隊旗艦『長門』ーー
「長官、電文です。」
「うむ。」
新たに連合艦隊司令長官に就任した堀長官は、参謀長である宇垣中将から渡された電文を受け取る。差出人は米内首相からだった。
「大海令第十二号を開封せよ、か...」
堀長官は金庫から大回令第十二号を取り出す。
「...宇垣、直ちに全艦隊に打電だ。」
堀長官が宇垣参謀長にそう命令したその後、『長門』から一本の電文が全艦隊に送られた。
『ニイタカヤマノボレ 一二〇八』と...
ーー空母『赤城』ーー
「塚原長官、旗艦『長門』から電文です。」
「うむ。」
塚原は草鹿参謀長から通信紙を受け取る。
「...参謀長、いよいよ開戦だ。」
内容を読んだ塚原はそう言った。
「やはり開戦ですか。」
近くにいた源田参謀がそう言う。
「歴史は繰り返す、か...」
傍らで聞いていた緋村はそうつぶやく。
「だが...やるしかないだろう。」
そう言って塚原は目を閉じた。
ーー十二月八日 ハワイ北方ーー
この日、各空母の飛行甲板には零戦、九七式艦攻、九九式艦爆といった機体がずらりと並び、出撃の時を今か今かと待っていた。
「長官、時間です。」
草鹿参謀長が攻撃隊の発進時刻を伝える。
「...第一次攻撃隊、発艦せよ!!」
塚原長官がそう低く叫ぶ。そして、赤城の発着艦指揮所から発艦開始の合図の旗が振り下ろされる。そして、制空隊隊長の板谷茂少佐の乗る零戦が轟音とともに離陸を開始する。
それに続いて二番機も発艦を開始していく。戦闘機隊が発艦し終えると、爆弾や魚雷を装備した艦爆、艦攻隊が発艦していく。他の空母からも同じように攻撃隊が次々と発艦していく。その様子を、緋村は発着艦指揮所から眺めていた。
「・・・・・・」
「どうした。緋村参謀?」
発着艦指揮所で共に発艦の様子を見ていた源田参謀が尋ねる。
「いえ...出来ることなら、自分も攻撃隊に参加して、戦いたかったと思いまして。」
「パイロットらしい考えだな。」
「源田参謀も元パイロットでしょう。」
「フッ、まあな。」
そう言って源田参謀は少し笑う。
「確かに私も出来ることなら零戦に乗って攻撃に参加したい。しかし、今の私はこの艦隊の航空参謀だ。攻撃隊は淵田に任せるしかない。」
「淵田中佐にですか。」
「あいつは私が一番信頼している男だ。だから私はあいつに攻撃隊を任せた。君も攻撃隊の成功を彼らに託すしかない。」
「そうですね。」
そう言って緋村は、真珠湾に向かう攻撃隊を、最後まで見送るのだった。
一方、空母から発艦した攻撃隊は、一路真珠湾へ向けて飛行を続けていた。
「そろそろや...」
攻撃隊総隊長の淵田実津雄中佐は、搭乗する九七艦攻の中でそうつぶやく。
すでに攻撃隊はオアフ島近海まで接近しており、真珠湾まであと少しという距離まで近づいていた。
「淵田中佐、カフク岬です。」
操縦手からの報告に淵田中佐も外を覗き込んで確認する。そして、雲の切れ目からカフク岬を確認した。
淵田中佐はすぐに『トツレ』を発信させ、信号弾を一発発射する。一発は奇襲、二発は強襲である。
信号弾を確認した雷撃隊長の村田重治少佐が一気に降下し、真珠湾へと向かっていく。真珠湾へと向かった雷撃隊は高度五〇〇メートルで真珠湾に突入し、高度を下げながら米戦艦群へと一斉に向かう。
「用ぉ意...」
米戦艦群を視界に収めた雷撃隊は、高度五メートルという超低空飛行で戦艦群へと向かう。村田少佐も投下索を握りながら距離を近づけていく。
「ヨーソロー...ヨーソロー...撃ぇッ!!」
村田少佐が投下索を引き魚雷を投下する。後続の機体も次々と雷撃を行う。雷撃を終えた九七式艦攻は、投下の反動を利用して一気に上昇し退避する。
「おい、何だアレ?」
「高度規定違反じゃないか?」
村田少佐に狙われた戦艦『ウエストヴァージニア』の艦上で乗組員たちが言うが九七式艦攻の翼下に描かれた日の丸を見てすべてを悟った。
「赤い丸い標識...ジャップだ!!」
「じゃあ海面に落としたヤツは...魚雷か!!」
すぐそこまで接近してくる魚雷に乗組員たちは慌てる。その直後、『ウエストヴァージニア』に四本の水柱が立った。こうして、日米戦最初の一撃が、放たれたのだった。
村田少佐率いる雷撃隊が米戦艦群を攻撃している頃、高橋嚇一少佐率いる艦爆隊も攻撃を開始しようとしていた。
「雷撃隊に遅れをとるなッ!!俺たちの腕を見せつけてやれッ!!」
高橋少佐の号令の下、艦爆隊が一斉にヒッカム飛行場を目掛けて急降下爆撃を開始する。
飛行場ではいち早く到着した制空隊の零戦が、飛行場に並ぶ機体に機銃掃射を行っていた。制空隊は艦爆隊に気づくと、すぐにその場を離れ、艦爆隊に後を任せた。そして高橋少佐率いる艦爆隊はヒッカム飛行場の格納庫や滑走路に向け、二五〇キロ爆弾を一斉に投下した。
爆撃を受けた滑走路にはクレーターのような大穴が空き、格納庫も大きく炎上していた。
「よしッ!!ワシらも行くぞッ!!」
攻撃隊総隊長の淵田中佐も水平爆撃隊を引き連れ、攻撃を開始しようとしていた。水平爆撃隊の乗る九七式艦攻には、『長門』の主砲弾を改造した八〇〇キロ爆弾が装備されていた。八百キロ爆弾は一機につき一発装備のみのため、各空母の飛行隊は米戦艦に必中させるため、慎重に狙いを定めた。
淵田中佐も複縦陣の内側にいる無傷の戦艦に狙いを定め、爆撃照準器を覗き込んだ。
「もうちょい左...ちょい右...そのまま...ヨーソロー...撃ぇッ!!」
淵田少佐の号令の下、機体から八百キロ爆弾が投下される。後続の部隊もそれに続いて投下する。
投下された爆弾は各戦艦に次々と命中する。
「おおッ!!あれを見ろッ!!」
淵田中佐は八百キロ爆弾のその威力に大いに驚いた。淵田中佐の中隊の投下した八百キロ爆弾は戦艦『アリゾナ』に三発命中し、そのうちの一発が火薬庫に直撃し、大爆発を起こしたのである。大爆発を起こした『アリゾナ』は艦首が前のめりになり、至るところから浸水が起こっており、沈むのは時間の問題だった。
「よし、あとは第二次攻撃の連中に任せて引き上げるか。」
真珠湾の被害状況などを確認した淵田中佐は、攻撃を終えた部隊を引き連れて第一航空艦隊へと帰投していったのであった。
攻撃隊が盛んに真珠湾を攻撃していたころ、『赤城』艦橋に伝令兵が駆け込んできた。
「長官ッ!!淵田中佐機より入電ですッ!!」
「うむ、分かった。」
塚原長官は伝令兵から渡された通信を見ると、ニヤリと笑った。
「長官、内容は?」
緋村が塚原長官に尋ねる。
「内容は、『トラ・トラ・トラ』だ。」
『オオオッ!!』
塚原長官の言葉に参謀たちは喜ぶ。
「ついに始まったか...」
緋村はそう呟いた。さらに、続々と第一次攻撃隊から電文が届いた。
「村田少佐や高橋少佐からも来ているな。」
源田参謀も電文を見ながらそう答える。
「あとは第二次攻撃隊ですな。」
そう言って緋村は真珠湾の方角をじっと見つめる。太平洋戦争は、まだ始まったばかりであった。
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