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太平洋の双翼  作者:  カズヤン
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23. 機動部隊と戦艦

 1941年(昭和16年)3月 柱島泊地


この日、連合艦隊の本拠地である柱島にて空母を主力とした第一機動艦隊が訓練を行っていた。

「右舷より雷撃機接近っ!!」

「取り舵二十ッ!!」

 見張員の報告に、空母『赤城』艦長の長谷川大佐が指示を出す。雷撃機から投下された訓練用魚雷を赤城は回避しようとするが、艦底を二本の魚雷がくぐった。


「魚雷二本命中ッ!!」

「練習航空隊もなかなかやるな、参謀長。」

「そのようですな。」

 第一機動艦隊旗艦の『赤城』艦橋から訓練を見ていた塚原二四三長官が、傍らの草鹿参謀長にそう話す。


 塚原は史実では日中戦争にて左腕切断という重症を負い、艦隊勤務から外されていたが、日中戦争が回避されたため、第一機動艦隊司令長官に就任していた。


 第一機動艦隊は練習航空隊の訓練を手伝いながら、各艦が操艦の訓練を行っていた。各空母の航空隊は空母には搭載されず、鹿児島の錦江湾で激しい訓練を行っていた。


「他の空母も上手くやっているようです。」

 草鹿参謀長が双眼鏡で様子を見る。『赤城』の周りでも他艦艇が対空戦闘演習を行っていた。


 第一機動艦隊は史実より早い1940年の4月に編成された。所属艦艇は一航戦の『赤城』、『加賀』。二航戦の『蒼龍』、『飛龍』。三航戦に空母に改装された『扶桑』、山城』。四航戦の『龍禳』、『瑞鳳』。五航戦の『翔鶴』、『瑞鶴』。護衛部隊に金剛型戦艦四隻と利根型重巡洋艦二隻と『鈴谷』、『熊野』。防空巡洋艦に改装された『長良』を旗艦とする第十戦隊が所属している。


 ただし、五航戦の『翔鶴』と『瑞鶴』の二隻は未だ未完成であり、7月以降の設立となっている。また駆逐艦の数は十六隻を予定していたが、水雷戦隊への配備も行われているため、現在は八隻が配備されている。


「...俺がこの機動部隊を世界一の部隊にしてやる...」

 塚原の呟きを聞いた草鹿は、大きく頷いた。




 1941年(昭和十六年)6月


「『ビスマルク』が沈まなかったか...」

 緋村は神谷家の縁側で新聞を読みながらつぶやく。

この年の5月に起こったドイツのライン演習作戦は、史実と同じ結果に終わった。しかし、その後行われたビスマルク追撃作戦は大きく変わっていた。


「史実と違って、巡洋艦が二隻多かったってのが大きいですね。」

 海軍省から帰ってきた村田が緋村にそう話す。

「まあその二隻も、ドイツに売却した『青葉』と『衣笠』だけどな。」

 そう言いながら緋村は縁側に寝転ぶ。


 史実では戦艦『ビスマルク』と巡洋艦の『プリンツ・オイゲン』を中心とした艦隊であったが、この世界では新たに青葉と衣笠が参加していた。


 この二隻はビスマルクの護衛として戦闘に参加し、空母『アーク・ロイヤル』攻撃隊の雷撃を身を挺して庇い、ビスマルクを救ったという。


 最終的にドイツ軍側の損害は、戦艦『ビスマルク』大破、重巡『ドレスデン』(重巡『青葉』)撃沈、重巡『グラウデンツ』(重巡『衣笠』)中破という結果で終わった。


「ビスマルクがいればイギリスもそう簡単に太平洋に手出しはできないだろうな。」

「まあ、史実でもティルピッツ1隻に少なくない戦力を振ってましたしね。」


「それよりも、アメリカがどうするかが目下の疑問だがな。」

「そうですね。」

 そう言って二人は大きくうなずく。


「緋村さん。買い物に行ってくるんですけど一緒に来てくれませんか?」

「ああ、薫さん。いいですよ。ちょっと待ってて下さい。」

「分かりました。私も準備するので待っててください。」

 そう言って薫は買い物の準備のために部屋へと戻った。


「先輩。薫さんとはどこまでいったんですか?」

「なんの話だ?」

「とぼけなくても良いですよ。ここ最近随分薫さんと仲良くなってるじゃありませんか。どこからどう見ても付き合ってるように見えますよ。」

「バカ言え。まだ薫さんに告白すらしてねえんだぞ。」

「もう出会ってから六年近く経ってるんですよ。いい加減告白すれば良いじゃないですか。」

「うるさい。告白しようがしまいが俺の勝手だろう。」

 そう言って緋村は顔を真っ赤にしながら部屋を出ていった。


 そんな二人の様子を、神谷中佐がじっと何かを考えながら見ていた。

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