アラーム
朋也が声を上げて恥ずかしそうに顔を伏せた。
初めて触れる柔らかい感触にもっと欲しくなった。朋也は何も言わず、抵抗もしなかった。
パジャマのボタンを外して脱がせると、
「見るな……」
と、朋也の声が上ずった。
わざと顔を寄せてじっと見つめた。嗅いでみたが、匂いはない。舐めてみると、朋也が口を必死で押さえていた。
「感じてんのか?」
「馬鹿や…ろ……」
体を起こして再び唇を塞いだ。今度は強く吸い上げた。とろけるように甘い。
その時、机の上で携帯電話が振動した。
静けさを蹴破る音に驚いて、俺は朋也の体から離れた。
朋也の電話が鳴っている。
「誰だよっ」
俺が携帯電話を睨みつけると、朋也は体を起こした。脱いだパジャマを肩にかけて机へ歩いて行った。
光る画面を確認すると、再びベッドへ戻って来た。
「誰だった?」
布団の中へ潜り込む朋也の肩を抱き寄せた。
「誰でもない」
「誰だよ」
「だから、誰でもないよ」
「何だそれ、言いたくない相手なのか」
「アラームだった」
「は?」
「十二時にセットしていたアラームが鳴ったんだ」
「何で、今頃鳴るんだ」
「だから、間違えたんだ。昼の十二時と夜中の十二時に」
「ドジだな」
もう一度、剥ぎ取るように上着を脱がした。
「見せろよ」
「やだよっ」
朋也が拒んだ。
「どうしてだよ」
「大和も裸になって」
「え?」
「僕だけ脱がされて、君が脱がないのはおかしい」
「俺の裸なんて見たって面白くないだろ」
「見たいんだ」
「……しょうがないな」
俺はトレーナーを一気に脱いだ。
脱ぐなり朋也が俺の胸に手を置いた。
「おいっ」
焦ると、朋也がひとさし指で俺の胸をなぞってくる。
「触んなよっ」
「何でだめなんだよ」
「くすぐったいんだ」
何度も擦られるとくすぐったい。
「やめろって」
「嫌だ」
「怒っているのか?」
「僕が怒ってる?」
「触らせろ」
朋也の両腕をぐいと引き寄せて、力まかせに抱きしめた。
「苦しいよ…」
体は燃えるように熱い。下着に手をかけて一気に脱がせた。
息ができないほど強く唇を吸い上げる。
無我夢中で獣みたいに朋也の体にむしゃぶりついた。
何度も名前を呼んだ。
朋也は隣の部屋を意識していた。
声が漏れないように口を押さえていた。
唇が触れるとびくんと体が小刻みに震える。
感じている朋也を見て、いっそう興奮した。
体を蹂躙していると、朋也が泣いていた。
涙を舐め取っては、また流れる。涙は塩辛く、泣かせているのが俺かと思うといっそう愛しくなった。
ずっと、こうしていたいと思いながら、舐めた。
目が覚めると、朋也を腕に抱いたままだった。
閉じた目に唇を押し当てる。
照れくさくて、何をやってるんだ、と苦笑した。
それでも、この手をほどくのはためらわれた。
いつまでも抱きしめていた。




