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学生寮  作者: 春野セイ
2/2

アラーム



 朋也が声を上げて恥ずかしそうに顔を伏せた。

 初めて触れる柔らかい感触にもっと欲しくなった。朋也は何も言わず、抵抗もしなかった。

 パジャマのボタンを外して脱がせると、


「見るな……」


 と、朋也の声が上ずった。

 わざと顔を寄せてじっと見つめた。嗅いでみたが、匂いはない。舐めてみると、朋也が口を必死で押さえていた。


「感じてんのか?」

「馬鹿や…ろ……」


 体を起こして再び唇を塞いだ。今度は強く吸い上げた。とろけるように甘い。

 その時、机の上で携帯電話が振動した。

 静けさを蹴破る音に驚いて、俺は朋也の体から離れた。

 朋也の電話が鳴っている。


「誰だよっ」


 俺が携帯電話を睨みつけると、朋也は体を起こした。脱いだパジャマを肩にかけて机へ歩いて行った。

 光る画面を確認すると、再びベッドへ戻って来た。


「誰だった?」


 布団の中へ潜り込む朋也の肩を抱き寄せた。


「誰でもない」

「誰だよ」

「だから、誰でもないよ」

「何だそれ、言いたくない相手なのか」

「アラームだった」

「は?」

「十二時にセットしていたアラームが鳴ったんだ」

「何で、今頃鳴るんだ」

「だから、間違えたんだ。昼の十二時と夜中の十二時に」

「ドジだな」


 もう一度、剥ぎ取るように上着を脱がした。


「見せろよ」

「やだよっ」


 朋也が拒んだ。


「どうしてだよ」

「大和も裸になって」

「え?」

「僕だけ脱がされて、君が脱がないのはおかしい」

「俺の裸なんて見たって面白くないだろ」

「見たいんだ」

「……しょうがないな」


 俺はトレーナーを一気に脱いだ。

 脱ぐなり朋也が俺の胸に手を置いた。


「おいっ」


 焦ると、朋也がひとさし指で俺の胸をなぞってくる。


「触んなよっ」

「何でだめなんだよ」

「くすぐったいんだ」


 何度も擦られるとくすぐったい。


「やめろって」

「嫌だ」

「怒っているのか?」

「僕が怒ってる?」

「触らせろ」


 朋也の両腕をぐいと引き寄せて、力まかせに抱きしめた。


「苦しいよ…」


 体は燃えるように熱い。下着に手をかけて一気に脱がせた。

 息ができないほど強く唇を吸い上げる。

 無我夢中で獣みたいに朋也の体にむしゃぶりついた。

 何度も名前を呼んだ。

 朋也は隣の部屋を意識していた。

 声が漏れないように口を押さえていた。

 唇が触れるとびくんと体が小刻みに震える。

 感じている朋也を見て、いっそう興奮した。

 体を蹂躙していると、朋也が泣いていた。

 涙を舐め取っては、また流れる。涙は塩辛く、泣かせているのが俺かと思うといっそう愛しくなった。

 ずっと、こうしていたいと思いながら、舐めた。

 目が覚めると、朋也を腕に抱いたままだった。

 閉じた目に唇を押し当てる。

 照れくさくて、何をやってるんだ、と苦笑した。

 それでも、この手をほどくのはためらわれた。

 いつまでも抱きしめていた。




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