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最高のワンシーン

お題:

『最後の5分間』をテーマにした”最高の1シーン”を、原稿用紙3枚(1200字)で表現しなさい


かっこいいクライマックスいろいろ考えたけど、

どーせみんなそんなのにしてくると思ったから開き直った作品。

五分間の奇跡、全米が泣くヤツ

 眼前に今、目も眩むような光景がある。

 アイドルと見まごう美少女が公園の高台に座っている。ブラウスとフレアスカート姿の制服高校生。それが……死ねるほどかわいい。

 こんなかわいらしい女子を見たことは、二十五年の俺史で一度もない。

 だけど、目が眩んだのはそれだけが理由ではなかった。


 四半世紀に一度の美人は、空を見上げていた。

 雨上がりの澄んだ空いっぱいに、七色に輝く虹がかかっているのだ。彼女はそれを半ば呆然と眺めている。

 無理もなかった。これほどに太くはっきりと空を渡る虹なんて、そうそうお目にかかれない。

 大自然の作り出した光のスペクトルが彼女を魅了し、すべてを無防備にさせている。俺の存在などまるで気付かず、膝を抱え、滑らかで形のいい顎を一点、虹へ向けている姿は、まるで目を開けたまま夢を見ているかのようだ。

 俺も見ている。鳥肌が立つほどかわいい女子高生が膝を抱えて、無防備に下半身を晒しているその姿を。


 平たく言えばパンツが丸見えだ!

 スカートの奥に覗くやわらかそうな太ももと、最奥に見えるほんのちょっとの白!パンツが見られてラッキーなんじゃない!太ももとセットで覗いているふっくらした小さな布こそいとをかし!もののあはれ!あのよろし!!

 顔が四半世紀級なら、そんな美人のパンチラなど一世紀に一度の奇跡!次に会う頃には死んでるぞ!

 性欲!?いや違う!……これはもはや男のロマンだ!

 銀河鉄道で宇宙を旅して、数々の苦難を乗り越え、再び地球の地を踏む。それに匹敵するスペクタクルがここにある!ミケランジェロがここにいたら、泣きながらノミを振り上げるに違いない永遠の美が、ここにあるのだ!

 

 だが虹はあざ笑うかのように空に溶け込み始め、その姿を消しはじめた。このままではもって後五分……。


 アホか虹!空気読め!地球が破滅するだろ!お前が消えたら誰がこの絶景を護るというんだ!

 しかし虹はまるで、「地球の未来はお前に託すよ」とばかりに力を失ってゆく。

 待て!どうしたらいい!?この極限状態で俺はなにができる!?

 声をかければ引きとめられるか?いや!そんなことしたら彼女は途端にスカートの中を隠してしまうに決まってる。

 スマホ?スマホで撮影!?……絶対にダメだ!本気で捕まるわ!

 気が急く俺を尻目に、虹は見る間に痩せてゆく。彼女を繋ぎ止めている奇跡が……たった五分間の奇跡が!!

 マジで待て!こんな幸運は人生で最後!……言い換えれば、人生最後の五分じゃないか!小学校の頃、先生に「後悔のない人生を送りなさい」と言われたのを忘れたか!!

 止まれ時間!wait a 時間!みんな!オラに時間を分けてくれ!

 どうするこのパンツ!オーマイパンチラ!叫んでいいか!?

『これはもはや国宝だ』と!!


 ……それでも無情に過ぎてゆく時間の流れ。

 嗚呼、さらば俺の青春、さらば人生最高のワンシーン。

 俺はこの奇跡を糧に強く生きようと思う。


 ありがとうパンチラ!そしてさようならパンチラ!

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