深夜の聖戦
わたしは今、戦っている。
それも人ではない。魔物?化け物?・・・よくわからない。目に、見えないのだ。仮に魔物としよう。
夜の闇を味方にして現れるこの魔物には実態がない。丑三つ時の嘶きと共にわたしの部屋に現れる「それ」は障子を閉めていても息を殺していても、場所を誤ることもなく、音を立てることもなく現れる。
気がつけば・・・そこにいる。
なぜ、戦わなければならないのか。
「わたしには使命があるから・・・」
戦わないことにはわたしの使命を全うすることはできない。
今もいる。わたしは戦っている。戦いに武器などは必要ない。無意味なのだ。彼には、どんな近代兵器も通用しないだろう。
夜が深まれば深まるほどにその力を増す魔物・・・夜は彼らの聖域である。わたしのような弱い人間がその力に飲み込まれてしまうのも時間の問題だ。
でも・・・1分・・・1秒でも多く、その力を食い止め、抗うことが、わたしに課せられた使命なのだ。
もうすぐ完成する・・・それまで持ちこたえればよい。
そして朝になれば、力強い太陽の力で魔物を押さえつけることもできよう。
今は戦わなければならない。この短編小説を仕上げるという使命のために・・・。
魔物は、その名を「睡魔」という。