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第一章 ~Dive to different world~

一章スタート!

騒動に気付いたのは事が起きて一時間後だった




「おいおい…誰だよこれやりやがったのは!」




インターポール捜査官、ニックは現場の状況を見ると、しきりに両手を強く握り、自分の無力さを悔やんだ




「ニック…」




そんな彼に声をかけたのは、先ほど会話を交わしていたサラ。彼女もまた顔を青くしてニックに声をかけた




「…サラ、結果は?」



「…現場にあった大量の血液を検査したわ……ビンゴよ」



「嘘だろ…あいつが、あいつがこんなあっさり!!」




二人はただ嘆くしかなかった。それ以上の事実を覆すことは出来ないと知っていたから




「…検証の途中経過は、何者かがあいつ…恐らく被害者だろうサイガと接触しジンを摂取。その後刃渡り1m弱の両刃の剣でグサリらしい…でも謎が多すぎる。まず監視カメラに奴の部屋へ出入りした記録が残ってねえ!そして1m弱の凶器が見つからないどころか!……肝心の、サイガの死体が発見されていねえ…」



「そんな…」




サラは今にもふらつき倒れそうになるが、そこはインターポール。冷静さを取り戻そうとしっかりと気を保つ




「これをやった野郎は絶対に許さねえ…必ず首根っこ掴んで!墓の前で跪かせてやる!」



「…ニック、熱くなってハメを外さないで。…これ以上知り合いがいなくなるのは、流石に辛いわ」



「分かってる…けどよ。こんな惨い殺し方あるかよ」




ニックが見つめる先、そこはバーカウンターのような場所だった。そしてそこにある凄惨な光景、辺りを真っ赤にするほど飛び散った血みどろの世界が広がっていた




「サイガ…約束する。犯人は、俺の手で始末してやる!」




拳を固く握り、ニックは誓う。その目には怒りではなく、確固たる決意を宿していた









???



まるで泥沼に体を漬け込まれた感覚。意識がまどろみ、全身に力が入らずにいた



(何が、起きた)



男は状況を理解出来ず、ただ流れに任せてそのまどろみに身を預けていた




(眠い…だが、何か大事な事を忘れている感覚……クソ、ダメだ頭が回らない)




何かを思い出そうと試みた男。だが結果は出ずそのまま思考を止め、再びまどろみに思考をうずめる






「おいKid、いつまで寝てんだ。寝過ごすつもりか?」



「っ!!はあ!はあ、はぁ…ここは?」




意識の海で突然かけられた声によって彼、獅頭砕牙の思考は覚醒した。砕牙は玉のような汗をかいていることに気付き、片手で顔を拭った




「俺は…っ!」




すると砕牙は意識を失うまでの事を思い出すと、自分の胸の中心に手を当てた




「…あの時、刺された…よな?」




だが砕牙の手には何もついておらず、服にも一切汚れがなかった




「……だが、あの男との出来事は現実だったらしいな…あの野郎、俺をどこに放り込んだ」




砕牙は未だ現実での出来事か信じられずにいたが、今の自分の状況に前向きに臨んだ




砕牙がいる場所、そこは倒れていたホテルではなく、鬱蒼とする緑が生い茂る森だった。鳥がさえずり、風が優しく砕牙の髪を揺らす。だが砕牙が不思議に思ったことは、自分が人生の中で見たこともないような植物が生えていたことだ




「拉致か。一度や二度じゃないが、今までの経験が使い物にならないケースだな…それに、ここはアメリカじゃないらしいな」




砕牙は今の判断を誤らないよう冷静に辺りを見る。トラブルがあれば対処は慎重に行うのが、生きる為の肝だからだ




「それに、このでかいカバンは何だ」




そして更に気になったもの。砕牙の目の前にある革製の大型バックが場違いにも甚だしいように置かれていた




「あの男の言い方なら、罠とは思えないし…見るか」




明らかに怪しいと誰もが思うバック。だが砕牙はそれを慎重どころか大胆にも躊躇なく開けた




「何だ?この紙」




すると開けた瞬間目に入ったのは一枚のメモ用紙。そこには文字が書かれており、メッセージだと言うことが分かった




「…見たこともない文字だな。何語だ?」




だが砕牙にそのメッセージは読めない。そこに書かれた文字は世界のどの言語にも当てはまらない奇怪な形の文字なのだ




「日本語話せたくせに文字は書けないのか?一体何がしたいんだあの」




『このメモを見ているんなら無事着いたことになる』



「っ!?」 




次の瞬間、砕牙は驚愕する。目の前の紙から直接頭に声が響いて来たのだ




『異世界との弊害があるのは目に見えたからな。実はお前に一つマジックをかけてやったんだよ』



「おい!お前どこで見てやがる!ふざけた真似しやがって!」



『まあマジックってより呪いかな?相手の意思を読む呪い、これを俺がアレンジして相手の言語を自分が最も聞き取りやすい語調に訳す魔法にしたんだ。そんで、その副産物として文字を書いた本人の声で通訳するスキルまでついちまったらしいんだよね』



「…こいつ、人の話を聞かねえ野郎だな~っ!」




砕牙は額に青筋を浮かべて周りを見回した。だが見えるのは全て緑、人の気配も全くない




『んじゃ、紙の容量的に考えて書くこと書くわ。そのバックにはお前の必要最低限の荷物だけ入れといた。悪いがそれで勘弁してくれ』




砕牙はもう怒る気力すらもったいないと感じ、バックを覗くと、確かに自分が持ち慣れている荷物がぎっしり詰められていた




(待てよ、こいつ何で初対面の俺の゛いつもの荷物゛なんか知ってる?)



『悪いことしたとは思うけど、酒を飲んでる間にお前のプライベートを少し覗いた。千里眼って魔法さ、それがないと準備も何もあったもんじゃない』



「っ!…おいおい、抜け目ねえじゃねえか。確かに俺は自分の家の荷物は運んでるから、まとめて準備は可能だな」



『じゃあ後は頼んだ。そこは獣や魔獣なんかしょっちゅう徘徊してる世界だ。だが気をつけろ…そこで最も危険な生物は、人間だ』



「?」




砕牙はそこで気になった。手紙の内容を話す男の声が、いつになく真剣だったことに




『これで話は終わりだ。お前にも良い収穫があることを願う。悲劇の被害者、獅頭砕牙』



「っ!!」




そこで男の声は終わる。恐らく内容を終えたのだろう。だが砕牙は手紙を持つ手に力が入る




「あいつ、プライベートを覗いたとかほざいてたな……クソ!死人が余計な事を!」




砕牙はここでようやく怒りを露わにし、メモを下に投げ捨てた。するとメモの裏に一言、例の謎の文字があることに気付くと、またも声が響く




『From Atol』



「アトル…それがあいつの名前か」




そして砕牙はメモを踏み潰し、読めなくなるようにビリビリに破いた




「……終始いけ好かん奴だったが、現状が現状だ。早速動くか」




砕牙はメモを破いた後、幾分怒りがマシになったようで、バックを再び見る




「…コート、ジャケット、Gパン、財布、…バイクのキー?それに俺のハンドガンと予備のハンドガン、非常食の乾パンと干し肉、後栄養食品。……アトルの野郎、何で荷物の半分以上がバレットなんだよ!」




砕牙はそう一人喚いていたが、彼からすればこうしないとやっていけないという理由があるのだ




「…まあいい。とりあえずここが何の国で、現在地がどこなのか知らないとな。人を探す必要もあるしな」




そして荷物を調べ終わった砕牙は荷物を肩で背負い、ハンドガンとマガジンを腰に巻き、栄養食品を口にくわえた




「戯れ言に付き合う暇もないしな。何が魔法だよ、どうせマダガスカルの密林地帯にでも投げ捨ててトンズラしたんだろ」




砕牙は陽気な口調で歩き出す、異世界の森の中を。だが本人はまだその事の大きさに気付かない










「はあ、はあ、はあ!」




一人、森を駆ける女性がいた。女性は腰まで伸びる金髪に碧眼、どこかみずぼらしい服装だった。彼女は何故か必死な形相で時々後ろを見ながら走る。まるで何者かに追われているかのように




「はっ、は!ひっ、はっ…」




女性は今にも泣きそうな様子だった。そして良く見ると彼女は裸足だった。森の枝などで足は切れて所々から血が流れていた




「早く、早く伝えないと!」




そして女性はそれらも何も気にせずただ走る




「ヒャヒャハー!」



「っ!きゃあああ!!」




だが彼女の逃亡は無駄に終わる。彼女は後ろから不意に飛んできた網が足に絡み、地面に倒れた




「ハ、ハハ!オンナ!モウニゲレナイ!」



「オトナシクナグサミモノニナレ!」



「ひ!た、たすけ…」




女性は恐怖の面持ちで後ろにいた追跡者を見る。そこには4つの異形が近付いていた




異形は耳と鼻が尖って髪はなく、毛皮を原始人のように着こなし、背は小学生位という異質な存在だった。そして赤い瞳を女性に向け、各々が持つ短剣や棍棒、ボウガンを構えた




「コイツドウスル?ココデナグサミモノカ?」



「イヤ、ソレハモウジュウブンムコウニイル。シャクガオワレバイクラデモデキル!」



「ジャアコロスカ?」



「アア、ミグルミヲゼンブヒキサイテ!サイアクノシヲアタエテヤル!」




そして異形はゆっくりと女性に近づき、黒く汚れ、手入れされていない爪が伸びた手を伸ばした




(誰か…助けて!)




彼女は必死に助けを願うが声が出なかった。恐怖は体に染み渡り、体は萎縮していた。そして手は彼女の首に迫った





















































「ギャアッ!?」



「「「「!!!」」」」




だが次の瞬間、とてつもない破裂音の後、女性に近付いた異形は頭から紫の血を吹き出し、地面に倒れた




「Hey!レディに向かって四対一とは…お痛が過ぎるぜ腐れ外道が」




そしてその現象を引き起こしたであろう人物が、森の奥の茂みから現れ、先端から煙を上げた、彼女らからしては見たこともないものを異形の集団に突きつけた

とりあえず戦闘間際まで書きました。次は戦闘です!砕牙が遭遇した異形。彼の常識を打ち砕くだけでなく、助けた女性が告げたこととは?



では失礼!

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