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聖女 1

「よくいらしゃいました、我が世界を救ってくれる救世主・聖女様」


よく覚えていないけど、多分こんなような言葉だったろうか?


自分の部屋の自分のベットの布団で寝ていた私の目の前には、今までお目にかかった事もないほどの美形な男がいた


眠りから覚めた私だったが、頭がまだ回転していない中、その美形な男から、ここは異世界で世界の危機だからあなたに救ってほしいなどとふざけたセリフをもらった


美形ながら変な言葉を言うものだと思いながら、私のまわりを確認する


服は昨日家に帰って着替えていなかったので、高校の紺色の制服を着ていた


ベットがなくなっている代わりに布団があった


それ以外に、私物はない


あったとすれば、制服に入れといた単語帳とアメと携帯電話と財布だった


私物確認が出来た私は次に辺りを見渡す


薄暗いためによく見えないが、ここは多分宗教的な建物なのだろう


私の後ろに、大仏の様なしかしすこし不格好な姿の像があったからだ


そして、この建物の中には見渡す限り20名ほどの性別不明の人たちがいたからだ


不明なのは、目の前にいる男以外はフードで全体を被っている為だ


そこで、思い当たった私の考えは簡単だった


「意味が分かりませんが、宗教とかそういう関係で私はさらわれたのでしょうか? 異世界といわれても私はピンとこないし信じられないんですよ」


多分私は、超現実主義者だと自覚しているからだ


今、思い出すと最近続いていた頭痛と、昨日の制服のまま寝てしまった私は何かおかしかったとしか言いようがない


これは考えすぎかもしれないが、私の部屋にこのへんな連中が睡眠ガスや頭痛を引き起こす何かを頭痛がした何日か前から撒いておき、時期を狙い起きない私を部屋からどうやってか拉致、そして今この様な部屋に連れてきてこの様な演技をしているのではないか?


私の高校の先生から聞いた話だが、悪質な宗教団体などに捕まってしまったらその教えを完全に鵜呑みにしてしまう人と言うのは本当にいて、いくら犯罪行為に走ったとしても教えなのだからと、罪悪感もなく実効してしまうのだという


この人たちも、そのような集団なのだろうと言うのが私の、その時の仮説だった


しかし・・・・・・



「この世界は、今魔王なるものの手によって土地は腐敗し人々は殺され、数ヶ月前には、魔王誕生の地からほど近い場所にあった軍事大国が崩壊してしまいました。 我が手を尽くしましたが、魔王そしてその臣下にいる魔族の進行は止まるところを知らず、今なお多くの国が危機に陥っています」


先ほどの私の言葉を華麗に無視し、この世界の現状を説明してくる美形な男


私は、布団から体をだしどうやったらこの頭がイカれた人がいる場所から逃げれるかを考えていた


魔王? 魔族? どこぞのファンタジーゲーム? 


「先も言いましたが、私はあなた方の茶番に付き合っているほど時間はないんです、もうすぐセンター試験も近いんです」


度胸だけは、人一倍ある私だからこそ声にだして言える


多少自分のなかでこんなこと言って大丈夫かな? などと言う感情もあったが、言ってしまった物はしょうがない


しかし、この男は今度は少し困ったような顔をすると私に手を差し伸べてきます


いくら美形といっても、人様を拉致してくるような人間だ 


手を取ってしまえば危ない


私は、彼の手を借りずに立ち上がると、彼も少し驚いたような顔をしたが今度は、少し泣きそうな目をしていた


「今日は、疲れたでしょう。 この建物は、王宮管轄の神殿なので王宮は目と鼻の先にあります。 そこで今日は休んでください」


でも、私は今起きたばかり何ですが、などと思いながらも、逆らったらまずいかな? と、こちらへどうぞと言う彼についていく


歩いている中で、外が夜なことに気がつきおかしいな? と思った。


もし彼らが私を拉致してきたなら相当時間がかかったはずだ


私が自分の部屋で寝たのは11時頃で、建物の窓はまだ暗く太陽すら出るほど明るくない


つまり、今はまだ寝た11から5時間から6時間しかたっていないと言うことだ


でも、こんなでかい建物は、このあたりにはなかったし、建てるにしてもこんな宗教団体の建物だ


街中ということはないだろう


ということは、ここはどこか田舎もしくは山の中と言うことも考えられる


だけど、私が居たのは日本の首都で、いくら日本がたるんだ国だからとここまで怪しい集団にこのような場所を首都に提供するはずがない


ましてや、首都の土地なんて高いはずだからここまで広い土地を買うのだって資金的に無理な気がするからここは、首都ではないだろう


と、するとここは、最低でも土地があまり高くなくそして過疎化が進んでいる地域と言うことになるだろう


そして、ここが異世界でないと言う決定的なことは彼が日本語を使っていることだった


異世界だというなら、何故彼は日本語を喋ることが出来る? それが、ここが異世界でなく日本だという事を決定づけているではないか


そうこう考えている間に、私と彼は神殿と呼ばれる建物から出た、出てしまった・・・・・・・


「何? ・・・これ」


私が予想した通りにここは、この神殿は山の上にあった


この建物は山の上にあったのだ、しかし山から見える光景に私は自分の目を疑う


「この王宮はね、魔王が現れてから急ピッチでつくられた建物なんだよ。 なぜ山の上かと言うとまぁ、わかるよね? 敵の攻撃を避けるためだよ。 街の真ん中にこんな大きな建物があったら標的になってしまう」


私の目の前、山の下には街が建っていた


日本のような木造建築でつくられた建物ではない、レンガの建物だ


いや、日本も最近そんな家が増えてきているからありえなくもない


でも、あれは過疎化が進んだ地域にしては大きい町だ


山の上から見ているのに、分かる


そこは、大都市だと


「この国の名前はカーネス王国そしてあそこはカーネスの王都。 この国最大の都市だよ」


私の横からは、丸でそれが事実と言うような迫力ある声が聞こえる


「そして、人類の最後の砦の国だ」



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