表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
88/101

-88-

【ごめんね】


…それは間違いなく俺に向けられたものだったのだが、心のどこかがそれを否定してやまない。


巻き込んでしまった後悔なのか、またそこに二人は戻ってしまっていた。


あの時、何度も確認した気持ち。あんなに確かめあったはずなのに、まるで幻のように消えてしまっていた。



俺の幸せは彼女のそばにしかない。それはもう消えない事実。


自分だけが傷つけばいいという彼女の破滅的な思考も、過去の傷跡がもたらした習慣。



…結局、今あるものにしがみついてしまうのかな。新しい一歩を踏み出すよりも、過去の慣例に縛られているのだから。



どんな理想の未来よりも、今ここで起こっている全てが現実。それを受け入れられなければ…未来など見えやしない。


開き直りとも、自棄ともつかない思考でネガティブな思いを振り払った。



『…あたし、また一人になってた…』


自分を責めるように吐き出す小さな本音。


彼女が求めている言葉は、どんなものだろう?


正解を探すように、次々と浮かぶ言葉たち。


だけど、実際に口をついたのは…説明してくれ、だった。



一度、悲しい表情で視線を切り、大きく息を吸い込むリコ。



痛みが伝わる。空気中の成分に悲しみが含まれたように。


皮膚でも、肌でも…感覚でも伝播する。



『その前に…お客が来るわ。離れていた方がいいわ』


えっ?と、聞き返す間もなく、窓ガラスが割れると共に、人が転がり込む。



…ウオッチマン。



まるで同じ人物とは思えないほどに、危ない目つき。


呆気に取られている俺を視界に捉えると同時に、拳を繰り出した。


…当たる


思わず反射的に目をつぶり、衝撃に耐えようとしたが…それは届くことはなかった。



ドサリ、と崩れ落ちる身体。


目の前に広がる光景に思わず目を疑った。



「これ…リコが?」


『唯人さんに意識が集中していたからね』


と、にこりと微笑む。



…それにしても、あまりにも想像がつかない。


こんなに簡単に人は気絶するのだろうか?


事実、ピクリとも動かないのだから、間違いなくそうなのだろうが。



「…す、凄いな…」


思わず言葉を失って、本題を忘れかけたけれど、何事もなかったかのように話し出すリコの言葉に、一気に現実に引き戻された。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ