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【ごめんね】
…それは間違いなく俺に向けられたものだったのだが、心のどこかがそれを否定してやまない。
巻き込んでしまった後悔なのか、またそこに二人は戻ってしまっていた。
あの時、何度も確認した気持ち。あんなに確かめあったはずなのに、まるで幻のように消えてしまっていた。
俺の幸せは彼女のそばにしかない。それはもう消えない事実。
自分だけが傷つけばいいという彼女の破滅的な思考も、過去の傷跡がもたらした習慣。
…結局、今あるものにしがみついてしまうのかな。新しい一歩を踏み出すよりも、過去の慣例に縛られているのだから。
どんな理想の未来よりも、今ここで起こっている全てが現実。それを受け入れられなければ…未来など見えやしない。
開き直りとも、自棄ともつかない思考でネガティブな思いを振り払った。
『…あたし、また一人になってた…』
自分を責めるように吐き出す小さな本音。
彼女が求めている言葉は、どんなものだろう?
正解を探すように、次々と浮かぶ言葉たち。
だけど、実際に口をついたのは…説明してくれ、だった。
一度、悲しい表情で視線を切り、大きく息を吸い込むリコ。
痛みが伝わる。空気中の成分に悲しみが含まれたように。
皮膚でも、肌でも…感覚でも伝播する。
『その前に…お客が来るわ。離れていた方がいいわ』
えっ?と、聞き返す間もなく、窓ガラスが割れると共に、人が転がり込む。
…ウオッチマン。
まるで同じ人物とは思えないほどに、危ない目つき。
呆気に取られている俺を視界に捉えると同時に、拳を繰り出した。
…当たる
思わず反射的に目をつぶり、衝撃に耐えようとしたが…それは届くことはなかった。
ドサリ、と崩れ落ちる身体。
目の前に広がる光景に思わず目を疑った。
「これ…リコが?」
『唯人さんに意識が集中していたからね』
と、にこりと微笑む。
…それにしても、あまりにも想像がつかない。
こんなに簡単に人は気絶するのだろうか?
事実、ピクリとも動かないのだから、間違いなくそうなのだろうが。
「…す、凄いな…」
思わず言葉を失って、本題を忘れかけたけれど、何事もなかったかのように話し出すリコの言葉に、一気に現実に引き戻された。




