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ジイン、ジインと耳鳴りがする。ここはどこだ?どうして俺はベッドで寝ているのだろうか?
まだ少し舌に痺れが残っている。まるで幽体離脱みたいに、遠い自分を操るような感覚に陥る。自分の身体じゃないみたいだ。
「リコ」
うまく喋ることはできないけれど、力の限り叫んだ。
…いや、叫ばずにはいられなかった。
何度も何度も繰り返される叫びは、壁にこだまするだけであったが。
薄れゆく意識の中のほんの僅かな記憶。あれが…真実ならば。…叫びは徒労であることは容易に想像もついたが、ほんの少しだけの可能性を俺はどこか…信じていたんだ。
重い身体を引きずるように、ベッドから床に転げ落ちる。ほふく前進みたいに、床を這いずり、壁になんとか掴まって身体を起こした。
ベッドルームから壁づたいに、リビングルームへ抜ける。もちろん姿なんて見えるはずもなく。
シン…と静まり返る部屋の中で、もう一度だけ名を呼んだ。
「くそっ」
拳を固め目の前の壁を叩いた。どうにもならないのがわかってしまっていたから。
信じていたんだ。いや…誰だって信じてしまうだろ?
最初のような不安はいつしか消えて、どこか…つながりさえ感じていたのに、残された結果は…間抜けな男が一人、ソファーで転がっているだけ。
信用してしまった俺が…きっと馬鹿だったのだろう。いつの間にかスルスルと心の奥まで入り込んできたリコ。それを…信じてしまったんだ。
本能的に感じる"終わり"。
それは俺の目から涙を溢れさせた。
リコ。リコ。リコ。
何度名を呼んでも、二度と届かないであろう想い。ゲームオーバーは、いつも突然やって来る。それなのに、ゲームのように、リセットボタンもセーブもできるはずもなく。
…八方塞がり。それは小さな希望が絶望に変わる瞬間であった。
リコ…忘れるには心に食い込みすぎているよ。
その爪痕が深ければ深いほど…探し求めてしまうんだ。
リコの裏切りを信じられるはずもなく、頭が一つも回らなかった。真っ白で…何も考えたくなかった。




