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広い通りに出て、タクシーを拾う。行き先を告げて、腕を組み、黙って下を向いた。
彼女自体がつけられている可能性は?彼女の携帯のGPSから居場所が割り出される可能性は?
あの一枚目のディスクを作った奴がいるのなら、それぐらい簡単にできそうだが…。いや、ならあの二枚目のディスクは存在すらしないだろう。まったく別のものと考えても大丈夫だろう。
…中央ロイヤルホテル。この近辺では敷居が高く、セキュリティも万全。なにより…友人が働いているのが心強い。
笑顔で切り盛りしている友人に声をかける。
「久しぶりだな」
『おう、唯人じゃないか元気だったか?』
「ま…それなりにな。それより…ずいぶん偉くなったんじゃないか?」
『まあな…やっとここまできたよ…。それより今日は?』
「野暮用でな」
口角を持ち上げてニヤリと笑う。
『お前も…若いな』
「ああ…」
苦笑いしながら、リコの特徴を伝え、部屋に通すように頼んだ。もちろん俺の名前は出さないように。
『それぐらい朝飯前だよ。それより今度…な?』
グラスを持ち上げるジェスチャーに、右手を上げて、エレベーターに乗り込んだ。
部屋の造りはシンプルで、ベッドの陰が死角になる。あらかじめカギはかけずに、彼女を待った。
砂時計の砂を一粒ずつ数えるような遠く長い時間。突然、部屋のベルが鳴った。
「はい」
『いやーすごい美人だな今エレベーターに乗ったぞ』
「ありがとう。とりあえず内緒で頼むよ」
『ホテルマンの義務ですから、まあ頑張れよ』
息を殺して彼女を待つ。
トントンと部屋の扉がノックされる。
「どうぞ、開いてるよ」
『失礼します』
姿が見えない不安なのか、一歩一歩ゆっくりと歩いてくる。ベッドの端から影が見えた瞬間。…入れ替わるようにしてカギを閉めた。
響き渡る悲鳴は漏れなかっただろうか?恐怖にひきつる彼女をゆっくりと振り返った。
『ゆ…唯人さん?ど…どうして?』
「探したよ…」
顔色の悪さを隠すためなのか、いつもより濃い化粧。ゆらりと近づいて…抱きしめた。
「心配させやがって」
『あ…あたし…ごめんなさい…』
静かに、静かにゆっくりと時は流れ始めた。
「ちゃんと話してくれないか?もう…一人にしないから」
そっと包み込むように抱きしめながら、囁くように伝えた精一杯の本音。
まっすぐに届くことを信じて。




