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あの黒い画像の謎に比べると、ずいぶん雑だな。
さて…と。車のナンバープレートは当たり前だけど、四桁の番号がついている。
大事なのは『〇〇〇〇』ではなく『〇〇-〇〇』ということなのだろう。
連続する四桁ではなく、二桁と二桁の組み合わせなのだ。
おそらく…左が種類、右が個数か?もしかしたら逆かもしれないが。左側に共通する数字が多く、右側は様々。…ならたぶん、左側が種類だと思う。
そしてあの黒い画像は…顧客管理データといったところか…。
あれは…六桁まで書き込みが出来るし、基本黒い画像にたった一ピクセルの何色が混ざっていたって、わかるはずもない。木を隠すには森。一ピクセルを隠すには、黒い画像を用意すればいいのだろう。
そして…あの電話番号は…きっとバイヤーの人間に直接つながるのだろう。
ただ気になるのは、二つの画像に共通点が見つからないことだ。
黒い画像の方が、プロの仕事だとすれば、風景画はアマチュア以下の画像処理レベル。
それだけが不安要素だ。
…あとは、すべて推測の域を出ないのが問題だけど。
目の前の携帯電話の番号と、しばらくにらみ合いを続けてみたものの、確信がない以上、危険に飛び込む勇気はなかった。
ただ唯一、確信がもてること…それは、リコは何らかの黒い話に、関わっているということだけだ。
彼女は何なんだ?データの運び屋か?
あの飲み屋のシンから受け取ったのが、黒い画像。今日の用事で手に入れたのが風景画。
ただカバンの中に、これ以上怪しいものは入っていないことから、ユーザーではないと推測できた。
明日はどこに連れていかれるのだろう?まさか…東京湾じゃないよな…。
一抹の不安を覚えながら、パソコンをシャットダウンして、USBメモリーは普段着ない服のポケットにしまいこんだ。
ベッドサイドに近づいても、まだ寝息を立てているリコの隣に滑り込み、不安と謎が入り交じる中、それを閉じるようにして眠りについた。