表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
40/101

-40-

…これもまた、一つの謎を呼ぶだろう。


懸念していた通り、ディスクが無造作に入っている。よほど俺を信頼しているのか…もしくは罠か。


気づいた上で、泳がされているのかもしれない。


手に取ったディスクを眺めながら、ゴクリと生唾を飲み込んだ。


胸の鼓動が意識とリンクするように、耳の中で鳴る。

どうする?


無意識に自分に問いかける。このままにしておけば、戻れるかもしれない。何も知らなかったフリを続けて。


ただ…心からの欲求は正直だった。見たい。知りたい。もっと深くまで。…君のことを。


…ザアザアと水の流れる音はまだやまない。なぜか震えが止まらない。


俺は思い出したように、袖口でディスクの表面を拭った。指紋がついているかもしれない。些細な疑心暗鬼は、闇の中へと俺を引きずり込んだ。


…昨日は…そのまま触ってしまった。バレているかもしれない。一度芽生えた疑惑の根は、心の中をかき回す。


…その時、シャワーの音が不意に消えた。


ビクリと背中を震わせ、それをカバンの中に放り込んだ。


不自然じゃないように、少しカバンから距離を置いて、滝のように流れ出る冷や汗を拭った。



ガチャリ。扉が開く。


『…サッパリした。唯人さんも入ってきたら?』


「いや…出かける前に浴びたから」


『でも…なんだか汗をかいてるみたいよ?』


…彼女を一人にするわけにはいかない。その隙に何をされるのかわからないから。


リコを信じたい気持ちと、不安な気持ちが入り交じって吐き気がした。


相反する二つの想いを抱えたまま接するのは、俺には到底無理な芸当だ。



その場をごまかすように、一緒にいたいから、リコが眠ってから入るよ、と告げて、使ったカップをシンクに下げた。



『ねえ?唯人さん…』


まだ酔いが回っているのだろう、甘い声で俺の名を呼ぶ。


「なに?」


『本当に明日…一緒に来てくれる?』


…そうだ。何も言わずについてきて欲しいと。そんな約束をしたんだ。



「行き先さえ秘密なのか?」


『うん…まだ言えないんだ。だから…明日一緒に…』


酔いが抜けないのか、傷ついたレコードのように同じセリフを繰り返す。



「わかったよ。それなら早く眠らないと。リコも酔ってるみたいだし…」


『唯人さんも一緒に寝てくれる?』甘えた顔で言われたら、断れるはずもなく。


だけど…眠るわけにはいかないんだよ、リコ。


…あの秘密に近づくためには。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ