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『本当の…あたし?…知ったらきっと幻滅するわ』
「…それもまた一つの結果だろうね。けれどそれについて、考えることができる」
『じゃあ…明日一緒に行ってもらいたいところがあるの。…黙って着いてきてくれる?』
まるで悪魔の誘い…か。
「いいよ。その代わり、今夜は、一緒に…いてよ」
まっすぐに目を見て、伝える。
『唯人さん、その目ズルい。断れないよ、そんな目をされたら』
ちょっと早口で、ほんのりと顔を赤らめる彼女。
違う。君を縛り付けたいだけだ。今夜は誰のところにも行かせたくない。…特に…あの飲み屋には。
『一人にしないよ。安心して…』
そうつぶやいて、そっと俺に口づけた。
優しく探るように、唇を触れ合わせる。高鳴る鼓動。それをごまかすように、きつくリコを抱きしめた。どこにも行かないように。
「俺…こんなに独占欲あったんだ」
抱きしめながら、つい漏れる本音。
『…嬉しい』
そんな風に言うから、また唇を求めた。
唇が離れたがらない。本当はもっと一つになりたい。そんな心からの衝動を必死で抑え込む。
その代わりに、彼女の顔にキスの嵐を降らせた。耳から首筋にかけて。もちろん頬や瞼にまで。
どんどんと高まる衝動と独占欲の行き場所がない。それが切なくて、胸が痛いよ。
「ねえ、リコ?」
『ん?なあに?』
…それは彼女も同じだったのだろうか。切ない声で答える。
「覚悟とかわからないけど、リコが好きだ」
欲望に流された訳じゃない。同情した訳でもない。
たぶん…初めて会った時から…かもしれない。
俺が不安だったのは、本気になってしまうことだったのだろう。
でも…もう世間体も何もかもどうでもよくて。ただ目の前のリコを好きでいたかった。
彼女の瞼から、キラキラと大粒の涙が頬を伝う。
他人同士が、本当に心を通わせようとするなら…涙ながらじゃなきゃ語れない。そんな想いは、誰もが胸に秘めているんだ。
さあ、カードは切った。片道分のチケット。…もう後戻りすらできやしない。
これは一種の賭けだ。
あとは…答えを待つしかない。ただ声だけが響く室内で、俺は黙ってそれが鳴るのを待っていた。




