ハロー!
僕の経歴を話そうか。
名は天満はじめ。天満は「あまみ」と読むんだよ。
そんなことは二の次だ。話の本質に迫ろう。
僕の父が死んだ。どんな理由で、どんな死に方をしたか、思い出したくないからパス。母は僕が幼少期の頃に、目の前で殺された。犯人は無事、牢屋にぶち込まれている。ざまぁないぜ。祖父母もとうの昔に他界し、僕の両親に兄弟はいない。完全に独り身というやつだ。
2月22日。僕は推薦入試で高校は確定している。市内の国立高校だ。僕が合格するなんて書類の手違いだろうか?
しかし、入学金が支払えない。児童相談所に駆けつける・・・のは好かないな。
一度行ったことがあるが、そのまま精神病院に連れてかれた。どうも感性が他人と比べて非常識だそうだ。
足元に落ちていた石を軽く投げ込む。楽しいものだ。
「えい!」
背後からの女性の声と共に、何かが僕の頭に直撃した。
「石を投げちゃダメだよ!」
「君も僕に石のような物を投げたじゃないか」
「石じゃないもん、お金だもん」
「・・・金持ちか?」
「やだ、一円だよ?」
一円をバカにすると・・・
「げぱぁ」
何て声出したんだ。僕は。相手の女性の肘が鳩尾にクリーンヒット。
「今から私の家で遊ばない?」
「いや、僕は他人だよ?」
「は?何言ってんの?野球部のマネージャーだったじゃん」
僕は野球を中学三年間やってきた。
あぁ・・・思い出した。
「ごめん、ごめん。須藤さんだね」
「そう!忘れたらアカンですよ~」
ヤカンみたいに言わないでくれ。
僕の記憶には齟齬からの齟齬が発生し、嘘と絶望と夢いっぱぁ~いとなってしまった。三者目は無しね。間違いなく、精神疾患。
「私のお家に来なよ。ご飯ご馳走するから。今から仲良くしないと、高校で友達いなくて。何あの子、カワイソーとか言われたくないしさあ」
「まぁ・・・いいよ」
須藤さんの自転車の荷台に須藤さんを乗せて、僕が漕ぐ。
自転車に掛かる引力が強いな(主に後ろ)
「ココが私のマイハウス」
「・・・カタカナ英語ご苦労。そして意味が重複・・・」
「中に入りたまえ」
まるで聞いてない。
玄関から居間に入ると、って家広いな。
明るい居間で須藤さんと目が合う。うむ、中々の美人とみた。
そんなことより、コイツ兄妹おおいな。
男2人に、女コイツを含めて5人。
「はい、はーい。見てみて!コイツ、私達の生き別れの兄妹で、私と双子なのー」
そんなに顔をじろじろ見るな。そして、何言ってんだコイツ・・・
「ええ~いきなりじゃ~ん!」
ちょっぴりキュートなメロメロファッションな女が立ち上がった。
・・・自分の口を裂きたくなるような言動だ。
もし口を裂くと、きっと赤い花が咲くんだろーなー
「ちょっとこっちに」
須藤さんに手を引っ張られて、彼女の部屋にイン。ベッドイン!・・・アハハハハハ
「アンタ家族いないって聞いた。アンタを私の家族にすればいい」
カタコト日本語だな。
「家の人に悪い」
「大丈夫!兄妹はいっぱいいるから一人くらいどうってことないよ♪」
意味が分からん。
「それに皆大歓迎さ」
「親とかには・・・」
「全部任せて!だからみんなのトコに行ってあげて」
仕方ないなと、さっきの居間に戻る。
「「「お兄ちゃんだ~」」」
「私チョット大きい弟が欲しかったのよ~」
大歓迎を受けた。
―――こうして僕の生活は変わっていった。