第六話 其れゆるく其れゆるくせんや、既にすみやかならん。逃げるときはのんびりせずにさっさと去ろう!
第三章『恋は秋菊の香り』殺人事件の開幕です。恋と女子と連続殺人事件、クローズドミステリー。
■前回のあらすじ■
二人目の殺人事件、女官の惨殺死体。趙武は頭から血と脳漿ぶっかけられた。
本作の1話分は、アニメ1話(約30分)や連載漫画1話分に相当する、少し長めのボリュームです。
世界観やキャラクター、怪異描写をじっくり楽しんでもらえたら嬉しいです。
異常にかけつけた下役たちはすみやかに趙武を回収した。
身を清められ、衣服を改められ、なすがままになっている趙武が、士匄の前に運ばれてくる。
「趙氏の長が凶事に合われたよし、我らの口からは詳細を申し上げるわけには」
などと、逃げ口上で下役たちは逃げていく。
その間も趙武は、魂が抜けたように目の焦点が合っていない。
士匄は、その顔を覗きこみ、目の前で手を振ってやる。
洗っても、血の臭いというものはなかなかに抜けない。適当に水を絞ってむりやり結いあげた髪からも微かに血腥さが漂っていた。
「おお、趙孟。男ぶりがあがったのではないか?」
おどけたような士匄の声音に、趙武の視線が確かになっていく。
「あ。え? は! ……今度は、なにやったんですか、范叔……」
趙武が地の底からわきあがるような声を出し、睨み付ける。その目の奥にあるのは、確かな理性と士匄への疑いである。
常人であれば茫然自失トラウマPTSDである。我に返るあたりかなり図太い。
「は? わたしのような、品行方正で儀礼正しいものが何をするというのだ」
本気でのたまう士匄に、
「このような時に冗談はおやめください。女官とはいえ、人が亡くなっているのです」
と、趙武がやはり本気で返した。
士匄はひそかに傷ついた。
「私はあなたが凶事にいきあったこと、何故か宮中からお出にならぬことをうかがいました。韓伯がとてもご心配しておりました。私は代わりに様子を見に来たのですが……まさか、あんな……うぇ……」
真摯に話していた趙武の顔が、最後には嘔吐をこらえるものとなった。
両手で口を押さえたまま、う、う、と呻いた後、なんとかこらえたらしい。半泣きであった。
「わたしが見たのが一人、お前が一人、か。子細を知りたい、話せ。こういったものは口に出して他者と共有したほうが楽というもの、全部話せ」
めずらしく、先達としての度量を見せながら士匄は言った。
趙武は頷き、ひとつひとつを順番に話していく。
「私は韓伯の名代も兼ねてこちらに向かいました。女官のかたが三名、介添えくださりました。みなさま今回の凶事にご不安で、えっと、己の死後へのご不安が強くて私に訴えておりました。そのうち――」
趙武は普段の会話はともかく『弁』が下手である。
今回も己の体験、記憶を順々に語っており、他者からすれば要領を得ない。
随所随所に自分の感想、その時の気持ちを挿入するのであるから、普段の士匄であれば早々に打ち切らせたであろう。
が、この時は要所要所で合いの手を入れ交通整理をしてやり、最後まで辛抱強く聞いていた。
「と、いうわけです。あの女官は、私が蘭を望んだから、死んでしまったのでしょうか。そうであれば、悔やんでも悔やみきれません。あのような、惨い死に方をさせてしまった」
ゆうに十分以上、趙武は話し続けた。
士匄は聞きながら、
『女官にナンパされた』
『受けずに適当にしたら、勝手に死んだ』
の二行で終わると思った。時間にして約五秒。
鈍くさい後輩だと思いつつ、口を開く。
「そこまで細かく覚えているお前だ。その女官の首飾りに文字はあったか?」
士匄の問いに、趙武が目を丸くした。
「首飾り……はあったような気もします……けど、文字? ですか……?」
「己の都合の良いものは見え、どうでも良いものは見えておらん。女の本音にもさっぱりわかっておらん。お前、女にもてんぞ」
首をかしげる趙武を、士匄は嘲笑いながら諭した。
とたんに趙武が不快をあらわにする。
「女人の飾りをしげしげと見るなど、失礼ではないですか。それに女官が文字を身につけるわけがないです」
趙武の言葉に士匄はオボコくさいと言いそうになって、奇跡的に飲み込んだ。
舌禍の彼と思えば本当に奇跡である。ここで趙武を弄くっていれば話が進まないと気づいたのである。
先輩である荀罃が見れば、成長を言祝いだに違いない。
「読めぬものに文字など不要。お前の言葉は正しい。しかし、新たに入った女官に文字のはいった首飾りをするものが、いるようだ」
それがなにか、と趙武が言おうとしたところに士匄はさらに言葉を続けた。
「まあ、それが何というわけではないが、気になるだけだ、文字があったかどうか。あとは好奇心だな、何が書いてあるか」
隣に死体があった、木の上に死体ができた。その惨劇と首飾りの文字に関係するかなど、士匄にはわからない。
しかし、好奇心はある。
もし、文字が全て生産地と入荷日であるのなら、なかなかに趣味が悪く、あの小賢しい女官が何を思っていたのか興味深い。
士匄の感慨深そうな顔を、趙武が呆れた目で睨む。趙武からすれば首飾りや文字以前の話である。
「あのですね! こちらはあなたに何が起きたのかもわからないんです。この宮中で、惨たらしい殺人が起きたと窺いました。そのため、あなたはお出にならない。本来であれば、凶事に行き合った不徳を君公に詫び、速やかに辞して自邸にて謹慎するのものでしょう。それが礼であり儀。法制のお家を誇るあなたがなさらないということは、事情があるのでしょう。繰り返し申しますが! 韓伯もご心配! されておられました! ……我らどころか韓伯の手さえ余る状況ならば、知伯にご相談なされるよう、進言いたします」
「やめろ、バカ! いや、やめてくれマジやめろ!」
趙武の強い宣言に、士匄はあわてふためき怒鳴った。
その怒鳴り声にも怖じることなく、趙武が平然と座って睨み付けてきている。
韓無忌の気持ちを汲んで動いた趙武は何故か女子の惨殺死体を見て、しかもその血と脳みそをひっかぶることとなった。
そんな趙武を慮ることなく、己の都合だけを考える士匄に、気をつかう必要は無い。事態の平和的解決が一番だ。
趙武の目は雄弁にそれを語っていた。
「いや本当、やめて。やめろ、ください、やめてください! ご心配おかけしましたゴメンね!」
常に傲岸不遜、人に頭を下げるくらいなら相手の頭を切り落とす。
常はそのような態度を隠さない士匄のくせに、平身低頭土下座して趙武に懇願し謝った。
士匄が趙武を教導しているように、かつて士匄は荀罃に教導された。
荀罃。春の話に出てきた、荀氏知家の長男、字を知伯。一見穏やかだが公事に厳しく軍人気質の男である。
士匄はハートマン先任軍曹に教育される新兵のごとく、お世話になった。二度とお世話になりたくない。
そのくせ士匄はは荀罃に頼ることしばしばである。荀罃に士匄を預けたのは、節度高く戒め深い厳父の士爕であった。
ここまでされて士匄の性根は全く矯正されなかったのであるから、教育の敗北であろう。
趙武は、今まで見たことのない士匄の懇願と土下座に
「あ、私も先達に言いすぎたような、気がします。あの、何があったのでしょう」
と怯えながら言った。
士匄は気を取り直したように頷き、簡潔明瞭に説明した。
この男は、人に説明するときに過不足が全く無い。まさに弁が立つの見本である。
「――というわけで、だ。我が君は二日酔いでさぼる口実で、わたしに解決せよと命じられた。が、また一人死んだ。お前も来た。こうなるとおおごとになりかねぬ、じきに我が君も命令を撤回なされるであろう」
最後、士匄はよけいなことを添えて、口を閉じた。
趙武は連絡に来た女官たちのあいまいすぎる言葉に今頃気づき、苦い顔をした。
己が自由になりたいがため、韓無忌や趙武を巻き込もうとした、としか聞こえなかった。
が、趙武は追求をやめた。本題はそこではないのだ。
「女官をただ殺すだけではなく、惨いめに合わせる。よほど、その女官が憎かったのでしょうか。私が見た彼女も、同じものに殺されたのでしょうか」
士匄も趙武も、呪いのたぐいであることを疑っていない。
ただ、君主の住む宮中、最も清浄な場所で人を呪い殺すなどできようか、という問題はある。
「同じかどうかわからぬが。まあ、いまだ君命あり、その狄の女を見るか。趙孟、来い。先達の仕事に倣うも後輩の務めだ」
あの惨殺死体を再び見ろというのか。
趙武は顔を引きつらせたが、頷いて拝礼した。先達の教導に素直に従うのは趙武の美徳であった。
根性のある彼は、腹をくくって、今回も士匄についていくことを覚悟したのであった。
さて、女官、狄女の死体である。
宮中に死体置き場もなければ、不浄のものを屋内にいれるわけにもいかぬ。もっこにくるまれて、庭の端に放置されていた。
衛女がさっさと運びだされたことを考えれば少々不自然であった。
「指示がございませぬで」
案内を命じられた下役が言う。
士匄は適当に頷くと、もっこを力任せに開いた。両端の粗末な縄が土の上で一度、跳ねる。
頭を割られた、無惨な女であった。手足も引き裂かれながらも繋がっているのが逆に惨たらしかった。
趙武は思わず目を背ける。
庭の枝にちらほらと鳥が止まっていた。常なら微笑ましく見る風景であったが、この死体を狙っているのではないか、と思えば怖気が走る。
士匄といえば、女の傷を検分するように見たあと、首にかかった飾りを指で引っ張った。血に汚れた首飾りを、持っていた布でぬぐう。
「見ろ、趙孟。文字だ」
士匄の言葉に、趙武が嫌悪感を飲み込みながら、首飾りを見た。
「……『洛酉、庚辰』ですか」
趙武は眉をひそめた。士匄の隣に死んでいた女官は『洛甲乙亥』であった。違う文字でも、法則性はあっている。
「趙孟。この女は狄のものと言っていたな。洛、すなわち周都より『酉』。つまり西だ。西戎の女といったところか。女官として買われたのが庚辰、やはり先月の初めだな。洛甲よりは数日後というところだが、新たに入った女官の一人というわけだ」
西戎は晋侯爵国よりも西にある大国、秦伯爵国の勢力圏にいる狄である。
一時期は威勢強かったが、秦伯爵の度重なる討伐に圧迫され併呑されつつあり、女が戦の果てに売られることもあろう。
しかし、周より西には他にも狄の大勢力がある。
士匄が西戎と推定した理由がわからず、趙武は素直に問うた。
士匄は心底バカにした顔をする。
「お前がわたしに言ったのだ。夕焼けが美しい、一緒に見たい。女官の言葉であろう? 別にこの女官は、元々西日を特別視していたわけでもあるまいよ。ここに来て心は西に向いた。もっと言えば、お前に故郷の夕焼けを見せたいとくどいてきていた」
「いえいえいえいえ。あの女官は、望郷の思いに苦しみ、私に思わず言ってしまったまででしょう!? くどくとか飛躍しすぎではないですか?」
趙武が慌てて手を振った。鳥を見て山を思い、夕焼けに思いを馳せて言葉を紡ぐ女官は、故郷を求めていた。
趙武の主張に士匄は心底呆れ、嘲笑する。
「その女官がお前を一人で囲い込んで連れだした理由なんぞ、ひとつだ。お前をくどくためだ。身請けしてほしかったのだろうよ。ところがお前は何を言っても乗ってこん。お涙ちょうだいまで演出するとは、この女も必死だったのだろうよ。それさえも気づかず、お前は女の媚態を都合良く受け取っておきれいにしているだけだ、その女官も哀れなものだ。女は西へ行こうと言う。己の故郷は西だ、と言い切る狄は、西戎の可能性が高い。まあ、本人に答えを確かめようがないが、我が君が買い付けるほどの商人が扱う奴隷だ。狄でもある程度格が高かろう」
狄女の出身地に関する推測はともかく、彼女の品性が卑しかったと言われたようで趙武はふくれっつらで俯いた。
視界に、惨い姿の狄女が映る。
ほんのひととき話したていどの、名もしらぬ、奴隷の女である。
何故か見とれてきた顔、凶事に怯える瞳、ぐいぐいと寄ってくるような空気、いきなりの笑顔や悲しむ姿。
少女というものは、かくもめまぐるしいものか、と趙武に教えて、とうとつに死んだ。色素の薄い肌を血で汚し、幼げに見えた顔は半分叩きつぶされている。
「あの望郷に薄汚い計算があったと思えないです」
趙武は惨い死体から目をそらしたり、じっと見たりをくり返しながら、ふてくされたように言った。
この青年は、えげつない死体を見たくないという本能と、女官が哀れだという誠実さで妙な行動をくり返している。
士匄は、挙動不審の趙武の言葉に、心底呆れた。
「計算などあるか。趙孟。女がくどくも、弱みを見せるも、計算ではない本能だ。が、この女官がお前にそれをしたのは、どうも不自然……。まあ、いい。行くぞ」
立ち去ろうとした士匄の服を、趙武が即座に掴んだ。幼児の仕草であった。
感傷か、むずがっているのか。
士匄がオボコの非礼にどなってやろうと振り向くと、趙武が蒼白な顔をして、この死体、と呟く。
「……あの。范叔。この女官の体。顔。かおが、叩き潰されているんです。一息に大きなもので打ち潰したものでは、ないです。この、くらいの大きさのものが、何度も何度も、何度も何度も叩きつけられて潰れて、る」
服を掴んでいないほうの手で握り拳を作りながら、趙武が震える声で言った。
彼の手は男のくせに細く小さい。まるで女の手である、大きさも含めて。
士匄は狄女の体をもう一度、見た。引き裂かれたのは、腕と腿である。
これは、歩けないようにするもの、と士匄は思っていた。それは、きっと確かだ。山に捨て置く、戻れぬようにするなら手足を斬るのが一番である。
その腕と腿は切り裂かれてはいなかった。
衛女と同じように、こじ開けられている。むしり取ったように、こじ開けられている。
趙武が士匄から手を離すと、さっと座って狄女の体に手を伸ばした。打撲のあと、裂かれた傷に手を這わせる。
不浄そのもの、瘴気が趙武につたっていく。士匄は眉をひそめた。
「趙孟、何を――」
「やっぱり、私の手で合わせるとわかりやすいです。あなたはご覧になられましたでしょうが、わかったとなって、重くお考えになっていないのでしょう。私もこれが重要かなんてわかりません。この女官の頭を潰したのも、肉を裂いたのも、手、ではないでしょうか。私と同じくらいの……この女官と同じくらいの大きさの、手ではないでしょうか。ひとつの手でなく、たくさんの」
趙武が血に汚れた手をそのままに、厳しい眼差しを向けてくる。
士匄は趙武の言わんとしているところがわかり、口はしをゆがめた。
元々、呪殺であろう、というのが士匄と趙武の共通見解である。これは、現代で言わば同一犯の刺殺事件だろう、と思う程度のことである。
しかし、趙武の言葉にはさらに推測が付け加えられる。
集団によるものではないか。
もしくは、集団を使っているのではないか。
一人の人間の恨み辛みによる呪いではなく、集団で淫祠を行っているのではないか。
もしくはそのようにそそのかしているのではないか。
前述しているが、淫祠は文明的ではない、民間宗教である。それはインチキ宗教やカルト的な信仰に繋がりやすく、また、組織の腐敗にも繋がる。
例えば、逆らえば神の生け贄にするぞ、と淫祠と地方官が手を組む逸話もある。
宮中の奴隷の間でそのようなものが浸透しているとなれば、とんでもない問題であった。
「新たに入れ込んだ女官の中に、淫祠がいる。考えられる話だな」
商品票を護符だと喜んでいた衛女を思い出す。お守り、祟りという二つの言葉で民は簡単に言いくるめられるものであった。
「もしくは、みなさまの心を惑わす方。口に出したり動くわけではなく、いるだけで不祥を振りまく方がおられると、范叔は以前おっしゃってた」
狄女をもっこで丁寧に包みながら趙武が言った。
そこにいるだけで周囲を不幸にする、不祥の人間。
その推測は、誰も悪意が無いという前提であった。
甘ちゃんめ、と士匄は肩をすくめると、手で促して歩き出した。
趙武が立ち上がり、後に続く。
士匄は足早に歩きながら話し出す。
「お前の言う不祥のものは、瘴気がえぐい。わたしはそのようなものを見てはいない。あんなものと同じ屋根の下でいるだけで吐くわ。淫祠にせよ不祥の人間でも、我らの手に余る。僕大夫に言上する」
趙武が当然と頷いた。
「はい。韓主は何事も動じず冷静に対処するかたです。韓伯にお願い致しましょう」
僕大夫、韓主、すなわち韓無忌の父韓厥である。
冷静さ、公平さ、そして恐ろしいほどの有能さで、事態を収めてくれるであろう。
大人にばれないよう、おおごとにならぬようなどと言っている場合ではない。
本当に淫祠による集団ができあがっているのであれば、晋公の余計な与党になりかねない。
うさんくさい宗教集団の私兵を従えた晋公と、貴族集団を束ねる卿たちの対決など、地獄である。
若輩の大臣候補には確かに手が余る。
――杞憂なら、良いのであるが。
士匄と趙武は同じことを思いながら宮中の奥から出ようと歩いていく。
この当時の『後宮』も門が出入り口である。士匄たちは、そちらへ向かって、確かに歩いていった――はずだった。
「……私たち、どうして逆へ歩いてしまったのでしょうか?」
門が見えていたはずなのに、別の堂へと渡り、歩き続け、趙武が困惑し問うた。
士匄は応じず、趙武を掴むと改めて外へ向かう。こうなれば、庭を越え、出て行っても良い。
門だろうが垣根だろうが、とりあえず出るしかない。
しかし、向けていた足は何故か左折したり右折したり、目の前に門があるのに後ろにふり返って歩き出したりと、士匄と趙武は何故か外に出ようとしなかった。
外に出ようと思っているのに、何故か、できない。
茫然とする趙武を無視して、士匄は通りすがりの女官たちに怒鳴りつける勢いで命じた。
「我ら卿の嗣子はお役目により政堂に向かわねばならぬ。ここは我が君のお住まいのところ、勝手に進むわけにはいかぬ。お前たち、案内せよ」
男の大きな声に女官たちはびくりと震えた。
男の裂帛の声というものは、女にとっては怪物の吼え声に等しい。
さてそれはともかく、こわばっていた女官たちは少し考え込んだあと、不思議そうに首をかたむけた。
みな、同じ仕草でするものだから、趙武には花畑のように見えた。
「おそれいります、大夫さま。そういえば、お外にはどのように行けば良いのでしょうか」
わたしたち、どうやって出入りしていたのかしら。
趙武は茫然とし、士匄は舌打ちをした。――やられた。
「誰か知らん、場を固定しやがった!」
どのような技、どのような咒であるか。そのようなことはどうでもよい。
士匄と趙武は、宮中という華やかな檻に閉じ込められた。
お読みいただきありがとうございます。かわいい女の子がどんどん出てきます。クローズドミステリーらしくなってきました。次話、出られないままおっぱい大きい女の子編です。
登場人物表
氏諱→あざな
士匄→范叔
趙武→趙孟
荀偃→中行伯
欒黶→欒伯
韓無忌→韓伯
です。地の文は氏諱、会話はあざなとなります。




