第79話 (if)「お~~い! シュートぉ~! ナツミ~ン!」
こちらはもう一つのエンディングになります。
まるでギャルゲーのような、WEB小説という利点を最大限に生かしたマルチエンドをお楽しみいただければ幸いです(*- -)(*_ _)ペコリ
「あのさ夏美」「ねぇ、修斗くん」
俺が話しかけたちょうど同じタイミングで、夏美が口を開いた。
「――っと、悪い。夏美から先にどうぞ」
背中におぶさる夏美にそう声をかけると、
「あはは、被っちゃったね。ごめんね、修斗くんからお先にどうぞ」
夏美からはこれまた同じタイミングで、そんな答えが返ってきた。
「…………」
「…………」
お互いにタイミングを見計らうように少しの間があってから。
夏美の性格的におそらく俺が話すのを延々と待ち続けるはずだと思い、俺は口を開こうとしたのだが――。
「お~~い! シュートぉ~! ナツミ~ン!」
俺と夏美を呼ぶ声がしたかと思うと、タタタッという軽快な足音とともに、人ごみを縫って加恋が走り寄ってきた。
「おわっ!? か、加恋!? どうしてここに!?」
まったく想像もしていなかった加恋の登場。
俺は驚きすぎて、夏美を背負ったまま思わず小さく飛び跳ねてしまった。
「はわゎっ!」
背中の夏美がびっくりしたように、ぎゅむっと俺にしがみついてくる。
「おっとと。悪い。大丈夫か夏美?」
「うん、ぜんぜん平気だよ」
夏美をもう一度、背負い直した俺に、
「『おわっ!? か、加恋!? どうしてここに!?』じゃないよぉ~! ねぇねぇナツミン。おんぶしてもらってるけどぉ、もしかして足を怪我でもしたのぉ?」
加恋は律儀にまずツッコんでから、すぐに俺ではなく夏美に話しかけた。
「あ、えっと、違うの。これは、そういうのじゃなくてね?」
「じゃあどういうのぉ?」
「ちょっと腰が抜けちゃって。それで修斗くんにおんぶしてもらってたの。ただそれだけだから、怪我とかはしてないんだよ?」
「そうだったんだぁ。よかったぁ~。アタシもう見た瞬間にもう心配で心配でぇ。慌てて駆けつけちゃったよぉ~」
どうやら「そういうこと」のようだった。
「心配かけちゃってごめんね、加恋ちゃん」
「もぅ、ナツミンが謝る必要とかないんだからねっ。アタシが勝手に心配しちゃったんだしぃ」
「修斗くんも、ありがとう。もう大丈夫だから降りるね」
夏美はそう言うと、俺の背中からピョンと飛び降りた。
「お、その調子ならもう大丈夫そうだな」
「うん。ここまでありがとね、修斗くん」
「それにしても加恋はほんと、人のことを気にしいだよな。素直に偉いなって思うよ」
「なになにぃ? シュートってばぁ、褒めてくれても何にも出ないよぉ?」
「見返りとか求めてないから。マジで素直に感心してるから」
掛け値なしに、加恋はすごい女の子だと思う。
なんてことを考えていると、なぜか加恋が俺の顔をジッと見つめてきた。
「じー……」
「な、なんだよ?」
「その調子だと上手くいったみたいだねー。いい顔してるよ、シュート」
「おかげさまでな。ぐだってた俺の背中を押してくれて、ありがとな加恋。加恋のおかげだ」
「……うん。だってアタシは、みんなに愛される愛され美少女だからね」
加恋が笑顔でうなずく。
だけどその笑顔が、俺にはどこか作り物っぽく感じてしまった。
なにか別の感情を隠すための偽りの笑顔に見えてしまった。
俺の心の奥が、妙にざわつく。
「どうした?」
どこか調子の違う加恋に、俺が優しく声をかけると、加恋が言った。
「結局、2人は付き合うの?」




