エピローグ「夏美 True End」
ふじパーで遊んだ数日後。
俺たち藤ノ宮高校1年生は、新入生球技大会に参加していた。
運動場ではソフトボールが。
そしてここ体育館ではフットサルが。
ともに男女混合の特別ルールにて行われている。
今は俺たち1年1組と、1年5組の試合の真っ最中だった。
スコアは4―4の同点。
残り時間はもうわずか。
副審がチラチラとストップウォッチに目をやっているので、おそらくラストワンプレー。
ボールが外に出たらその時点で試合終了だ。
「修斗くん! こっち!」
コートのほぼ中央でフリーでいた夏美の声に、素早く反応した俺は、左サイドライン際から左足でへろへろパスを送った。
(男子は利き足を使うとファウルになる特殊ルールがあるのだ。俺は右利きなんで、左足しか使えない)
それでもかなり練習したので、
超へろへろ
↓
ちょっとへろへろ
くらいには進化している。
夏美はパスを貰うと足裏トラップでピタリと止め、これまた練習通りに間髪入れずに右サイドにボールを展開する。
そこには加恋がいて、ボールを受けた加恋はするするとライン際をドリブルで駆け上がり、コーナー付近でグラウンダーパスで鋭く中央に折り返した。
(加恋は運動神経もかなりよく、フットサルもそつなくこなす)
そしてゴール前・中央には、これまた練習通りに夏美が走り込んでいて、ドンピシャでダイレクトシュートを打つ――振りをしてボールをスルーした。
ディフェンダーとキーパー(フットサル用語ではベキ、ゴレイロと言うらしいが、正直伝わらないので、みんな馴染みのあるサッカー用語を使っていた)は完全に夏美の動きに釣られてしまい、ゴールが瞬間的にがら空きになる。
そしてこれも練習通り、ゴール前・左ポストの辺りにいた俺は、
「シュート、シュートだよぉ!」
「修斗くん、打っちゃって!」
加恋と夏美の声援を耳にしながら、がら空きのゴールに、丁寧に押し込むように左足でボールを蹴り込んだ。
ピッピー!
審判役のサッカー部員から、ゴールを認定するホイッスルが盛大に鳴り響く。
「よっしゃぁ!」
本日の初ゴールを決めた俺は、興奮そのままに力いっぱいのガッツポーズを取った!
「修斗くんナイシュー!」
「夏美もナイススルー」
「いぇい!」
「いぇい!」
ゴール前で俺と夏美がパンッ! と歓喜の両手ハイタッチをしていると、
ピッピッピーー!
続けて試合終了を告げるホイッスルが鳴って、これにて試合終了。
5-4で俺たち1年1組の勝利だ!
「うぉぉ! やったぞ」
「俺たち勝ったよ!」
「んだんだ!」
選手交代で今は外に出て、休憩がてら応援してくれていた細川たちが、大盛り上がりに盛り上がる。
そしてコートの中では、
「2人とも息ピッタリじゃん♪ 愛のツープラトンって感じぃ? やーん、ラブーい♪」
俺と夏美の所に加恋が近寄ってきて、軽くイジってきた。
「もぅ加恋ちゃんてばっ」
「ほんと女子って恋バナ好きだよなぁ」
「とかなんとか言いながらぁ、2人ともまんざらでもなさそうだけどぉ?」
「えへへへ……」
「ま、まぁな」
つまりはそういうことだった。
なんていうかほら?
ついつい、2年間の空白を埋めようとしちゃうっていうか?
バカップルとは言わないまでも、気付いたら空白をお互い取り戻そうとしちゃうんだよなぁ。
「ま、いいけどねぇ。いろいろあったみたいだし。それよりぃ? シュート、シュート! って言いにくいよね」
「すっげー話が飛んだな……」
次から次へと話題を提供してくる加恋のトーク力は、球技大会でも健在だ。
「あ、実はそれ私もちょっと思ったかも」
「でしょでしょ?」
「修斗って名前が、どうにも悪さをしちゃうよな。シュートのあるスポーツにはちょっと向いてない名前だ」
話をしながら、俺たちはコートを後にする。
入れ替わりで次に対戦するクラスの面々がアップを始めた。
紆余曲折の既に夏美と2年ぶりに付き合うようになっても、日々の学校生活は「だからどうした?」と言わんばかりに、こうして変わることなく続いている。
だけどフットサルのコンビプレーで息が合うようになったりと。
夏美が彼女になったことで、俺の学校生活は今までと少し違った色合いを持ち始めていた――青春という名の鮮やかな色合いを。
『俺が恋愛不感症になったわけ。~俺を恋愛アンチにした元カノが隣の席に座っている。今度は友達になった~』
第六章「夏美 True End」-完-
ここまでお読みいただきありがとうございました~!
夏美とのハッピーエンド、見届けていただき感謝です♪
評価(★★★★★)を入れてもらえると嬉しいです!
(★が入るとすごく読まれるようになるんです!)
この後、キャラ設定を1話やってから、第六章IF「加恋&夏美 End」をやります。
いわゆるマルチエンドですね。
短めになる予定ですが、加恋ファンの皆さんにも喜んでもらえればなと思います。




