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第61話 フジパー

 電車を降りて数分歩くとすぐにフジパーに着き、加恋の特別優待券を使ってゲートをくぐる。


 そこには非日常の夢の国が――まぁその? アトラクションが微妙に色あせたりして、なんとなく日常感を隠し切れないところが散見されなくもないのだが――オレたちを待ち受けていた。


「わっ、懐かしい~♪ 変わってないなぁ♪」

「久しぶりに来たけど、マジでぜんぜん変わってないな」

「同感~」


 オレたちはそろって昔を懐かしみながら、園内を歩く。


「でもアトラクションがちょっと色あせてるかも?」


「全体的にちょっとくたびれてる感があるよな」


「あ、それなんだけどね。私、昨日ネットで調べたんだけどね。来年プチリニューアルで、観覧車やジェットコースターの色を塗り替えるんだって。だからこの色は見納めみたい」


 夏美が会話に関連する関連情報を教えてくれる。


 ――そういえば中学時代も夏美はキラキラグループ内で、事前に調べた情報をあれこれ提供していたっけか。

 教室で夏美がよく『あ、それなんだけどね』とよく言っていたのを、オレはふと思い出していた。


 変わってないな。

 ま、俺には――オレにはどうでもいいことだが。


「へぇ~。じゃあ懐かしいって思えるのは、今年までってことなんだぁ」


「それはそれでラッキーだったかもな。思い出と同じ姿を最後にもう一度、見られてさ」


「だよね。新しいのは、この先いつでも見られるもんね」


「ありがとね、ナツミン。教えてくれて♪」

「ううん、ぜんぜん大したことじゃないから」


「またまたぁ。今日のためにぃ調べてくれてたんでしょ?」

「い、一応……」


「やーん♪ もぅナツミンってば縁の下の力持ちさんだったんだね♪ 助かる~♪」

「あ、うん! ありがとう加恋ちゃん」


「ありがとうはこっちだってばぁ。あ、そうだ。写真撮らないとだよねっ♪」


 言うが早いか、加恋はサッとスマホを取り出して手を伸ばすと、適当に自撮りでパシャパシャっとシャッターを数度、切った。


 早速見せてもらうと、写真はどれも加恋、オレ、夏美の顔が綺麗にフレームに収まっていた。


「おおぉぉっ! めっちゃ適当に撮ったっぽいのに、めちゃくちゃ上手に撮れてる!

 誰も見切れてない」


「ほんとだ。加恋ちゃんって、自撮り上手だね~!」


「ふふふーん。友だちと遊ぶときとかぁ、自撮りはいつもアタシが撮ってるからねー♪ どの辺ならフレームアウトしちゃうかはぁ、もう感覚で分かってるってゆーかー」


「あいからずのシゴデキっぷりだな」

「加恋ちゃんすごいなぁ……」


 クラス女王でありながら、率先してなんでもやる加恋の本領発揮だった。


 なんて話しているうちに、「地方遊園地にしては頑張った」と名高いジェットコースターの乗り場にたどり着く。


 遊園地に行くときは当たり前だが、昨日までにアトラクションに乗る順番はある程度決めてあった。

 なによりフジパーと言えば、通も素人もまずコレだからな。


 全長1250メートル、最高速度は70km。

 1周にかかる時間は約3分。


 そりゃニズディーとかの「国内有数のすごいジェットコースター」には勝てるよしもないが、近場の遊園地にあるジェットコースターとしてはなかなかのもんだろう?


 というわけで、とりま「初手ジェットコースター」なのである。



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