表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/92

第48話 ザ・チャラ男が現れた! 撃退しよう!

 3人で通学するようになってからは、こんなこともあった。


 高校からの帰り道。


 全員が帰宅部なオレと夏美と加恋は、同じく帰宅部の生徒たちの群れに交じって3人で話しながら歩いていたのだが――。


 高校最寄り駅の前まで来たところで、唐突にそれは起こった。


「うわっ、君ら2人ともヤバカワじゃん! 見たことない顔だけど、藤コーの新入生? 学校終わったの? 今から俺と遊ばない? メシでもスイーツでも奢るよ?」


 いきなりチャラそうな風体の、ホストっぽい男が声をかけてきたのだ。


 シルバーメッシュの無造作ヘアに、シルバーのピアス、夕方になって冷えてきたのに大きく開いた胸元には、これまたシルバーネックレス&グラサンを立て差ししている。

 日焼けサロンにでもいったのか、こんがり焼けた顔には軽薄そうな笑みが浮かんでいた。


 ちなみに「藤コー」とは俺たちの通う藤ノ宮高校の略称の1つだ。

 だが短縮するほど長いわけでもないし、多くの生徒は普通に「藤ノ宮高校」と呼んでいる。


 それはさておき。

 絵にかいたようなザ・チャラい男のお誘いを、


「遠慮しまーす」

「ど、どうぞお構いなく!」


 加恋は慣れた様子でほとんど無視するように。

 夏美は身体をビクリと固まらせると、ひきつった愛想笑いを浮かべながら。


 2人はそろって拒絶の言葉を伝えた。


「そう言わずにさー。今からゼミがあったんだけど、もう余裕でサボっちゃうわ。時間ないんなら、軽くお茶しようぜー?」


 しかしザ・チャラ男は――ゼミって言ってるから大学生だな――断られてもまったく気にした様子もない。


「知らない人とは遊びませーん。他をあたってくださーい」

「ぜんぜんお構いなく!」


 再び塩対応する加恋と、引きつった愛想笑いを浮かべながら断る夏美。


 しかしザ・チャラ男はそれでもなお、軽薄な笑みを浮かべたまま食い下がってきた。


「それなら俺、藤コーのOBだから、つまり君らの先輩なわけ。ほら、知らない人じゃないっしょ? 先輩・後輩の仲じゃん」


 滅茶苦茶すぎる論理だった。

 ぐだぐだと話を続けて行く手を塞ぐナンパ男に、オレはいい加減、呆れながら言った。


「悪いんですけど、2人ともまったく興味ないみたいなんで、これ以上誘うのはやめてもらえませんか?」


 年上相手なので、丁寧な言葉遣いを心掛ける。

 こんなでも一応、人生の先輩だからな。


 するとザ・チャラ男は急に態度を豹変させると、眉間にしわを寄せてオレを睨みつけながら罵ってきた。


「なんだよお前? 無関係はひっこんでろよ。っていうかいつから居たんだよ?」


「いや、最初からいましたけど、見えてなかったんですか?」

「なんだと?」


「というか無関係なのはそっちだと思うんですが」


 オレたちはクラスメイトだが、アンタはそれこそ何万人といる高校OBの1人で、つまり完全に赤の他人だよな?


「はぁ? なんなのお前? 女の前だからってイキってんの?」

「いえ、普通にしてます」


「ああ? 調子乗ってんじゃねーぞ」


 なんか逆切れされるしさ?

 思考回路が違いすぎて、もはや意味が分からないんだが。


 なんなのこの人?

 あれか、(すご)んだら引くと思われてんだろうな。


 昔のオレなら完全にビビッていたはず。

 だが今は、身長だってザ・チャラ男よりオレの方が高いし、なによりオレには周囲の状況が見えていた。


 都会とは言わないが街中にある駅前で、帰宅途中の生徒や通行人がたくさんいる。

 すぐ近くの駅やコンビニには監視カメラも付いているだろうし、車にはドラレコだって標準装備だ。


 それ以前に、揉め事になったら誰がスマホで撮影し始めるかわからない時代だ。


 こんな状況で暴力沙汰などあり得ない。


 オレが何と言ってこいつを撃退しようか考えていると、加恋が言った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ