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第44話 想いそれぞれ三角トーク

 通学鞄を置いた加恋は、人好きのする笑顔を浮かべながら、オレと夏美と加恋でちょうど三角形を描く位置にやってきた。

 ガッツリ話し込む気満々の立ち位置な感じだ。


「そんなたいしたことじゃないよ。昨日遊んだ話とか、今朝の話をしていただけだから」

 それこそ特に隠すことでもないので、素直に話す。


「う、うん。そうなの」


「あ、アタシの話だったんだぁ? うんうん、昨日は楽しかったよねぇ♪ クレープも美味しかったし♪ シュートは優しかったし♪ ナツミンも一緒に来れたら良かったのにねー♪」


「あ、うん。昨日はごめんね加恋ちゃん。また機会があったら誘ってくれるかな?」


「本当? じゃあまた今度誘っちゃうねっ♪ あとぉ、そんなに謝らなくっても、用事があったんだからしょうがないよぉ」


 加恋が夏美に向かってニパーッと笑った。


「う、うん。ありがとうね」

 しかし夏美はそう答えると、バツが悪そうに視線を逸らした。

 

 なんだか、夏美がおどおどしているような?

 昨日は加恋に対して、そんな感じでもなかったよな?


 ってことは、加恋の誘いを断ったのをすごく気にしているってことか?


 ――と、そこでオレはとあることに思い至る。


 ああ、そうか。

 中学の時の1軍グループの女王だった千堂真紀(まき)は、自分のお誘いを断ると目に見えて不機嫌になっていたっけか。

 それこそ夏美は、ほとんど真紀に言われるがままに行動していた。


 だから新たな女王である加恋の誘いを断ったことに、夏美はこうも引け目を感じているに違いない。

 導き出した結論に、オレは心の中でうんうんと頷いた。


 悪くない推理だと思うが、どうだ?


 加恋は絶対にそういうタイプじゃないと夏美も頭ではわかってはいるんだろうが、長年染みついた感覚はなかなか抜けないもんだからな。


 となれば、ここは少しオチャラケてみせることで、場を温めるとするか。


「それがさ加恋。夏美のやつ、まるで見てきたみたいに言うんだぜ?」

「ちょ、ちょっと、修斗くん!? それは――」


「お世辞でもなんでもなく、もうガチの絶対に一緒に行きたかったっぽいから、マジでまた誘ってあげてくれよな」


 恥ずかしいのか、夏美が話を遮ろうとしてきたが、オレはスルーして最後まで言ってのけた。

 少しオチャラケつつ、夏美に次のチャンスも用意する。

 オレ、結構シゴデキじゃね? 


「まるで見てきた、かぁ」

「な、なにかなっ!?」


「もしかして本当に見てた、とかぁ?」

「えっ!? そ、そんなこと、はっ……な、ないし? な、ないよ?」


 なぜか夏美の身体がビクリと震えた。


「あははー、もちろん冗談だってばぁ♪ ナツミンは用事があったんだもんねっ♪ 見てるわけがないもんねっ♪」

「う、うん」

「ふふっ♪」

「……」

「……」

「…………」

「…………」


 笑顔の加恋と、まだ少しおどおどした様子の夏美が数秒、無言で見つめ合った。

 おしゃべり大好きで次から次へと話題に事欠かない加恋にしては、珍しく会話が止まる。


 なんか言わないとな、そうオレが思い始めたところで、それでもやっぱり口を開いたのは加恋だった。


「そういえばぁ、シュートとナツミンってなんで一緒に登校しないの? オナ中ってことは、乗る電車の駅も一緒なんだよね?」


 しかもサクッと別の話題に移っていた。

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