第40話 クレープ屋さんの回想 ◇加恋SIDE◇
◇ 加恋SIDE ◇
放課後に、シュートと一緒にクレープ屋さんに行ったりウインドウショッピングをした日の夜。
アタシは自分の部屋のベッドに寝転がって真っ白な天井を見上げながら、物思いにふけっていた。
もちろん、放課後デートの時のことだ。
「あれ、ナツミンだったよね」
アタシとシュートがオープンテラスでクレープを食べていた時、ふと見知った顔が目に入った。
高校で知り合ったばかりのクラスメイトで、シュートと同じ中学校の出身――釘宮夏美こと、ナツミン。
暗がりで遠目だったけど、両目とも視力2.0のアタシが友達の顔を見間違えるはずはない。
なによりうちの高校の女子制服って、赤いリボンタイが大きめで可愛くて、ブレザーも明るい茶色で特徴的だから、同世代の中でもすごく目立つんだよね。
そうでなくてもなつみんは可愛い子だし。
って言っても、容姿ガチャSSSSSRのアタシほどじゃないけどっ♪
でも学年で2番目、つまりアタシの次くらいには可愛いんじゃないかな?
そんなナツミンはアタシと目が合った瞬間に、逃げるように隠れてしまった。
ふむむ?
たしか放課後クレープに誘った時、ナツミンは用事があるって言っていたはずだよね?
たまたま用事がクレープ屋さんの近くだった――ってことはないだろうし、つまりこっそりとアタシとシュートに着いてきたってことだよね?
「ふーん、なーるほーどねー。やっぱりアタシの睨んだ通りでぇ、シュートとナツミンには何かがあったんだ」
今まではなんとなくの推測だったけど、もう完全に強い確信を持っちゃった。
やっぱりアタシが睨んだ通りで、2人はワケアリだったんだ。
ワケアリっていうかラブ? 恋? 付き合ってた?
チュウくらいはしてるのかな?
その先は――さすがにまだ早いよねっ、なんちゃって!
こほん。
「シュートとナツミンのおな中の生徒が、よそのクラスにいるはずだよね? 仲良くなって聞いてみようかな?」
まずは情報収集をしなければ。
アタシに全然興味を示さない初めての男の子、加賀見修斗。
愛され美少女なアタシの存在証明のためにも、なんとしても好きにさせたい。
そしてそんなシュートとワケアリ関係(確定)のナツミン。
これで興味を持つなっていう方が無理でしょ?
――まぁそれはそれとして。
「シュートってなんなの、ほんと?」
そのことを考えた瞬間、アタシは「ぶぅ!」と子供っぽくほっぺを膨らませてしまった。
外ではあまり見せないように意識しているんだけど、アタシは1人の時はけっこう子供っぽい仕草が出てしまうタチだった。
アタシのことは置いといて。
アタシの好意アピールにああも反応しない男子は、初めての経験だ。
シュートの前に、愛され美少女・加恋ちゃんのプライドはもうズタズタだった。
「しかも口元に付いたホイップクリームを舐め取っちゃうし!」
正確には指ですくって、それを舐めたんだけど、最終的な結果は一緒だから、そういうことでいいと思う。
そうなの!
しかも不意打ちでクールにサラッとされてしまったせいで、アタシは柄にもなくテンパってしまったのだ。
「あーもう! めちゃくちゃ取り乱しちゃって、恥ずかしかったよお……! なんでアタシがドキドキさせられないといけないの?」
正直に言おう。
あの時、すごくドキドキしてしまった。
自分が自分でなくなってしまったみたいで、すごく困惑もした。
まさか本当に――恋!?
「ないない。初めてのタイプでぇ、ビックリさせられただけなんだから」
だってアタシは世界で一番の愛され美少女。
みんながアタシを愛するのであって、その逆は違うから――違うんだもん――違うもんっ!
◇ 加恋SIDE END ◇




