第2話 ももびっくり
もものお家前までたんぽぽで走り、お家の前でオオカミのぼたん乗り換えた。
「ぼたん。ももをびっくりさせたい』
ぼたんはしばらく考え答えた。
「すみちゃんがポシェットに入って僕だけで行こうか?」
さすがぼたん。頭が良い。
あたしはぼたんの言う通りにポシェットに入った。
ぼたんはゆっくり進みもものお家の前に来ると後ろ足で立ち、ライオンさんの輪っかをトントントンと叩いた。
『は〜い』
玄関ドアの向こうから声がする。
ままさんだ。
あたしはポシェットの中で様子を伺う。鍵が開きドアが開く。
『あれ、すみちゃんは?』
『ぼたん、すみちゃんはぁ?』
ままさんとももだ。
あたしは今がいいタイミングだと思い、ポシェットから飛び出した。
ぽん
あたしは決めポーズでままさんとももの前に現れた。あたしが突然現れたものだから、ままさんはびっくり、ももは泣き出した。ももがわんわん泣いている。
あたしはままさんのお目目を見る。いつもよりお目目が吊り上がっている。一度目を落としももを見つめる。まだわんわん泣いている。あたしはももを優しく抱いた。
「ももごめんね。もうしないから」
「ぐすん、本当?ぐすん、もうしない?ぐすん」
「うん。もうしない」
あたしはももの目を見つめ頷き、ももの頭をなでなでした。ももは気持ちよさそうに目を細めた。涙がポロリとこぼれたが笑顔になった。ままさんも笑顔になった。
「すみちゃん、ご飯食べたぁ」
「まだぁ」
「すみちゃん、ご飯作るから上がって」
いつも通りに戻って良かった。安心安心。
「はいっ!」
あたしは元気よく返事をした。