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盗賊退治 上

 六年後、ルイーザは十五才。

 深夜、ルイーザは荷物を背負うとこっそり部屋を出た。まずは厩に向かう。そこで馬を一頭盗み、城から抜け出す。そうしたら自由だ。

 廊下を歩き、最初の曲がり角を曲がったところで姉に出会した。

 エマは窓辺に佇んでいた。ルイーザに気づくと、微笑みかけてくる。

「なーにやってんの? 寝ないと背伸びないよ?」

「……別に。寝れなかったので、散歩でもしようかと」

「じゃあ私も一緒しようかな」

 ルイーザは答えず、荷物を握りしめる。

「そんな睨まないでよ、怖いな」

「どいてください」

「だめ。ルイーザ、帰ってこないつもりでしょ」

「帰るって言葉使うほどここに愛着ないですよ」

「ひねくれてるなあ」

「ひねくれは死んでも治りませんからね」

「どういうこと?」

「……なんでもないですよ。ていうか、なんでここで待ち伏せを? もしかして未来見えるタイプですか?」

「そりゃ、お姉ちゃんですから。弟のことはよく見てるんだよ」

 よく見ている。その、まるで親のような言葉に、頭の奥がチクチクと痛む。沸き起こってくる怒りを胸中に押しとどめ、軽蔑の笑みに変えた。

「じゃあ俺が本気だってことも見てくださいよ」

 どろどろと渦巻く感情などかけらも見せず、へらへら笑いながら言うと、エマはほんの少し寂しげな顔をした。それもすぐに強い決意に代わる。

「私だって本気だよ。ルイーザと会えなくなるなんて、本気で嫌」

 真剣な顔をされたところで、ルイーザの態度は変わらない。変えられない。

「そうですか。利害が噛み合いませんね」

「ほんとだよ、まったく。……ねえ、こんなところで言い合うんじゃなくてさ、一度落ち着いて話さない?」

「話し合いなんて意味ないですよ」

 歩み寄るエマの足をとめるような、強い声音。

 意味なんてない。わかりきったことだ。自衛隊に入って家を出るまでの十八年間、親に何を言っても変わらなかった。やめて欲しいことはやめてと言った。苦しいと伝えた。けれど、言葉に意味なんてない。そんなことすらわからない自分は、どうしようもなく愚かな子供だった。

 エマは弟の言葉を飲み下し、固く拳を握りしめる。

「それでも私は、君を救いたい」

「じゃあそこをどいてください」

 救いというなら自由になることだけだ。それはだれかに与えられるものではなく、自分の力で手に入れるもの。

 エマは諦めたように息をはく。

「ねえ、ルイーザ」

「なんです?」

「決闘しようか。ルイーザが勝ったら、私はもう何もしない。けど、私が勝ったら、どんな手段を使ってでも君をとめる。どう?」

 六年前の記憶がよみがえる。バートルの少年とエマの試合。あのときは憧れるだけだった。勝ち目なんてないと思ってしまった。

 だから、それからは一日も休んだことはない。

 体中悲鳴をあげても、手の皮がぐちゃぐちゃになっても、剣を振るい続けた。エマが試合をするときは必ず研究した。その一挙手一投足まで観察し、脳裏に刻み付けた。

 だから、選択肢はひとつしかなかった。


 王宮内の空き部屋で、木剣を持った二人が対峙する。

 ルイーザは一気に距離をつめ、突く。

エマは最初の一撃を左に避ける癖がある。それを追うように剣を左に振るった。エマは剣で受ける。ルイーザは押し込みながら、体を入れ替えてエマの側方に入り込み、柄で腹を殴った。エマはそれを肘で受け、後ろに飛んで威力を流す。

 攻防は続く。

 やはり技量で勝ち目はない。力なら上。だが力ずくではいなされる。

 ルイーザは頭を回す。相手の癖は知り尽くしている。二手三手先どころか、四手五手先を読む。それに合わせて戦術を組み立てる。

 小手を狙う。姉は必ず引いてカウンターで袈裟を狙ってくる。だから小手をうったらすぐに避けられる体勢に入り、さらに逆袈裟のカウンターを入れる。姉は上から押さえるように受けるから、鍔迫り合いに強い位置に体を持っていく。

 狙い通りの鍔迫り合い。あらかじめ後ろ足は動けるよう、わずかに重心を移動させている。鍔迫り合いに入り、エマが前に出ようとした瞬間、膝を蹴る。エマが驚愕に目を見開いた。あたった、はじめて攻撃があたった。

 蹴られた衝撃でたたらを踏み、エマが居着く。生じた隙を逃さず、胴を狙い、薙ぐ。エマはすぐ体勢を立て直し、抱きつくように距離を詰めてきた。結果、剣ではなく腕がエマの腹に当たる。もちろん威力などない。

 エマはそのまま体当たりして弟の重心を崩すと、足を払って地面に倒した。喉元に剣を突きつける。

 二人の荒い息だけが響く。呼吸を整えると、エマが嬉しそうに口を開いた。

「やっぱ強いね、ルイーザ」

 なんの嫌味だろうか。こんな、負けてばかりの自分に向かって。

 じくじくと心が痛む。けれど、弱みなんて見せたくない。

「私ね、ルイーザが練習してたの知ってるよ。毎日毎日、ずっとひとりでがんばってたよね」

 うるさい、負けたら意味ない。

 エマは膝をつき、口を真一文字に結んだままの弟をなでる。

「けど、ひとりでやることにこだわらなくていいんじゃないかな。一緒に練習しようよ。そのほうが楽しいじゃん」

「……ふざけてんのか、お前」

 我慢の限界だった。口を開けば感情がとまらなくなる。だから黙っていた。けれど、もうどうでもいい。

「楽しさなんていらないんだよ! さっきからごちゃごちゃ言いやがって!! がんばっただと? だからなんなんだよ! 大事なのは結果だ、俺は負けた、それが全てだ。意味ないんだよ、今までのこと全部!」

「そんなことないよ。ルイーザは強くなってる。毎日やってるから自分じゃ気づいてないだけだよ。今、王宮でルイーザに勝てる人間なんてほとんどいない。まだ十五歳なんだよ? 焦る必要なんてない。劣等感持たなくたっていいんだよ」

「劣った人間の気持ちなんてお前にはわからないだろ!」

 視界の隅がじわりとにじむ。眦から涙が落ちないよう、堰を切った感情を押しとどめる。感情と理性が対立する。

 やめろ、その先は言うな。理性がそう叫ぶ。それはただの言い訳だ。努力しないやつらの、成功者を自分とは違う存在だとわりきるための都合のいい言葉。今までの自分を否定する言葉。

 けれど、一度あふれた涙は重力に従って落ちるだけ。

「お前みたいな……お前みたいな、天才に、できない人間の気持ちなんてわかるわけないだろ!!」

 もはや恥も外聞もない。ルイーザは子供のように泣きじゃくる。ぬぐってもぬぐっても涙が零れ落ちる。

 抱きしめられた。

 エマもまた泣いていた。流れる涙を顧みることもなく弟を抱きしめる。

「やめろ」

 押しのけようとしても、エマはそれ以上に力をこめる。

「はなせよ」

「……やだ」

 即答され、ルイーザはもがく腕をとめた。徐々に体から力が抜けていく。

「なんでだよ。……なんでそんなに、俺にかまうんだよ。俺が逃げたって別に困らねえだろ」

「今外に出ても、ルイーザが救われると思えないから」

「救われるよ。俺はただ、自由に生きたいだけだ」

「じゃあなんで強くなんてなろうとするの? 強くならないと自由は手に入らないって自分を縛るの? 今外に出ても、きっと変わらないよ。今みたいに、何かから逃げるようにして生きていくようにしか思えない。君は真面目すぎるんだよ」

「俺に真面目な要素ありました?」

「ルイーザは自己分析が苦手だね。ぜんぜん自分のことわかってない。こんないい子、世界中どこにもいないんだから」

「姉上、世界狭いですね」

「今は君の後頭部しか見えてないからね」

「それただの物理」

 答える声はない。エマはただひたすらに抱きしめている。愛おしくてたまらないかのように抱きしめ、ずっと頭を撫でている。

 もう邪見にする気力もない。ルイーザは完全に力を抜き、姉の肩に顎を乗せ、寄りかかる。

 姉に対する好感度が変わったわけじゃない。けれど今は、このまま甘えていようと思った。


 翌朝目を覚ますと、姉に抱きつかれていた。

 蹴り落とした。

「いててて……ひどいなあ、朝から」

「勝手に人のベッド入るからだ」

 エマは目をこすりながら起き上がり、目が合う。

「おはよ」

「ああ、うん」

 今更になって昨日の醜態が恥ずかしくなってきた。ルイーザは姉の顔を見ないようにしながらベッドから出る。

「そうだ、街行こうよ」

「……は?」

「だから、街だよ、街」

「昨日、俺の家出阻止しませんでした?」

「別に家出とかじゃなくてさ。こっそりお城抜け出して遊びに行くだけだよ」

「まあ、いいですけど」

「よっしゃ! じゃあ、厩行っててよ。私も準備できたらすぐ行くから」

「はいはい」

 エマは上機嫌で部屋を飛び出していく。ルイーザもまた、着替えを済ませると人目を避けながら外に出た。

 厩は王宮の北側、兵舎の隣にある。城壁に張り付いている建物で、早朝なら人もいない。

ルイーザは王宮の城壁沿いをぐるりと回り、人目を避けながら移動。無事、だれかに見つかることもなく厩に到着。エマを待つ。

「おまたせー。待った?」

「だいぶ」

 呼ばれて入り口に目を向けると、二人の人物が入ってきていた。エマと、もの凄まじい美貌の少女だ。

 一目見てピンときた。

「ああ、バートル人の」

 六年前、バートルからやってきた人質のひとりだ。ボルジアでの暮らしも慣れたもので、宮廷服も優雅に着こなしている。

「覚えてたんだ。そうそう。ミケーネ・エルロットっていうの。かわいいでしょ」

「そうだな、姉上とは比べ物にならんな」

「ああ!?」

 怒号をあげる姉の隣で、ミケーネは小さくお辞儀する。

「てか、人質って貴族の家に預けられませんでしたっけ?」

「王宮にも何人かは住んでるよ。なんでうちのことなのに知らないの?」

「俺、書庫とグランドと寝室周辺のことしか知らないんで」

「行動範囲せま!? いや、まあ、知ってたけどさ」

「で、なんで人質連れていくんですか? 逃すんですか?」

「拾ってきた小動物みたいなノリで言わないでよ。ルイーザ、家出したらバートルに行くつもりだったんでしょ? 話が合うかなと思って」

「そうですけど……なんで知ってるんです?」

「お姉ちゃんだから」

「キモ……」

 ルイーザは顔をしかめ、馬の準備をする。ミケーネが乗ると、ルイーザはエマに視線を向けた。

「…………なに?」

「いや、なにじゃなくて。乗れよ」

「なぜそうなる。あんたが先に乗るでしょ、普通」

「いやいやいやいや、おかしいでしょう。女同士でくっついてくださいよ。俺は姉上の後ろ乗りますんで」

「私とくっつくことには何も思わないのか。ていうかこの子、男だよ?」

「は?」

 ぎぎぎと、ぎこちない動きで首を動かして馬上の美少女を見上げる。かわいい。どこからどう見てもパーフェクト美少女である。

「マジ?」

「マジ」

 姉がうなずくのを見て、またミケーネを見る。ミケーネは不機嫌そうに舌打ちした。

「そうですけど。なにか?」

「ああ、や、すまん。つい」

 ルイーザは謝り、馬に乗る。その後ろからエマが乗ってきた。木々で隠れていた城壁の抜け穴から外に出る。

 はじめての外出というのに、前後を姉と美少年に挟まれて景色を楽しむどころではない。馬に乗ってるのにやたらいい匂いに包まれていた。


 昼下がり、ようやく目的地に着いた。城下町には王宮の関係者も多いため、少し離れた街までやってきたのだ。

街のそばに広がる林の中に馬をつなぎ、三人は平民の服に着替える。

 林を抜けると、目の前に川が現れた。まばゆい陽光に照らされて蒼く輝いている。流れの速い川には石造りの橋がかかり、街の中へと続いていた。

 対岸は無数の民家が密集する、狭苦しい場所。細い路地をぬうように進むと、ようやく大通りに出た。

 通りは人で賑わっていた。地球の中世ほど衛生環境は悪くないらしく、ゴミや匂いも気にならない。上下水道や公共施設などのインフラにも力が入っている。

「とりあえずお腹減ったよね」

「や、別にそんな」

「なに食べる? お肉?」

「人の話聞けよ…」

 エマは空腹でたまらないらしい。食欲のままに食べるからよく育つのだろう。平民の服は生地が薄いのでさらしを巻いていても大きく盛り上がっている。前世で携帯の画面越しに胸を見続けたルイーザの見立てでは少なく見積もってE。もしかしたらGの大台に乗っているかもしれない。が、まあ姉なのでどうでもいい。

 エマは肉の焼ける匂いにつられ、屋台へと駆け寄っていく。ルイーザは追おうするも、すぐに立ち止まって三歩後ろをついてくるミケーネを振り返った。目が合うと、ミケーネは「別にいいんじゃない?」とでもいうかのようにうなずいた。

「おじさん。ロブ三つ」

「あいよ、銅貨十二枚ね」

 数分待ち、できあがったブツを受け取る。この世界では初めて見る食べ物だ。パン生地の中に具が入っている。タレで焼いた肉と、野菜がいくつか。ハンバーガーとかケバブとかそんな感じ。

 一口かじると、肉汁があふれてくる。

「うーん、やっぱり食べ物はバートルのがいいね」

「これってバートルの料理なんですか?」

「うん。うちの国は小麦と魚ばっかりだからね。私は肉のがいいよ」

「なるほど。やっぱり身体づくりは食か……」

 ルイーザがうなずく横ではミケーネが食べ終わっていた。唇についたタレをなめとる動作が嫌になまめかしい。

「ま、ボルジアのバートル料理は現地のよりおいしいけどね」

「そうなの!?」

 エマが過去一の驚愕を見せる。

「うん。バートルにはこんな調味料ないからね。南部に行けば別かもしれないけど。味付けは塩とチーズくらいだよ」

 バートル人の産業はおもに牧畜と狩猟であり、経済は発達していない。ボルジアから見れば未開の民族だ。しかし南部は土地が豊かなために農耕を基盤とする経済構造が成立し、文明化が進んでいる。嗜好品なども手に入りやすい。

 農耕民族のボルジア人と違い、主食が肉なので体格がよく、生業のひとつに略奪もあるため、戦場では勇猛だ。馬の産地なので生まれたときから馬に乗り慣れており、人馬一体となった突撃力は重装歩兵の隊列でも簡単に蹴散らすと言われている。いくつもの部族に分かれているおかげで普段は大きな脅威にはならないが、多数の部族が連合して大軍となれば恐ろしい存在である。

 バートルの話題で盛り上がっていると、人通りが多くなってきた。近くの広場に人だかりができている。

 何事かと思い行ってみると、ひとりの男が台に乗って大仰な身振りで演説していた。

「俺はかつてプロヴィア戦役で軍団長として従軍した! ところだ今はどうだ!? みじめなその日暮らしだ!」

 四十をすぎた、強面の男が叫ぶ。顔には太刀傷がいくつもあり、右腕は肘から先がない。聞いていた人々は何人かがうなずいていた。

「戦争に行っている間、家族の面倒を見る者がいない! 十年続いた戦役から帰ってきたら家は借金まみれ! 返そうにも俺はこの腕だ! 仕事なんてない! そして国家はなんの保証もしてくれない、俺は国のために、すべてをささげて尽したのにだ!」

 エマが二人の裾を引く。

「離れようか」

 反社会的な演説の場に王族がいるとバレればろくなことがないだろう。ルイーザはうなずき、広場を後にする。

「畑は借金のカタでリサド家に取られた! 女房は借地で働いたが、それも大農園が小麦を作りすぎるせいで大した実入りにならない・これならいっそデーニャにでも国政をやらせた方がマシだ! あの親分なら俺みたいなクズでも仲間に入れてもらえるだろうからな!」

 くすくすと笑い声。突然はさまったジョークに聴衆は笑うが、強く拒絶する者もいない。

 三人は通りを横切り、路地に入ると、ようやく男の声が聞こえなくなった。

 ルイーザは遠目に集団を眺める。

 前世では自衛隊にいたおかげで集団を数えるのは得意だ。中隊が百人。連隊朝礼のときにグランドに並ぶのが六百人ほど。団朝礼のときは二千人。

 朝礼の光景を脳内で俯瞰し、目の前の光景と照らし合わせる。二百人は優に超えるだろう。隊列を組んでいるわけではないので正確には数えられないが、それでも十分に多い。

「で、あの男なんの話してたの?」

「ルイーザ、あんたぜんぜん国のこと勉強してないじゃない」

「だって公民つまんないんですもん」

 エマはため息ひとつ、解説をはじめる。

「プロヴィア戦役はわかる?」

「ええ」

 プロヴィア戦役、二十年前に起きたバートル人との戦争だ。プロヴィア族が複数の部族を従え、十万の大軍でボルジアの国境を突破。ボルジアはこれを撃破するために予備役までも招集し、十五個軍団7万5千の兵を送るも、大敗。バートル人はボルジア領内にとどまり、略奪の限りを尽くした。しかし略奪により大軍を養うのは不可能だ。長期戦になれば兵站面でボルジアが有利。

 三年目にはバートル人を追い返し、逆に彼らの本拠地に侵攻。プロヴィア族とその同盟部族の土地を占領し、ボルジアの領土に組み入れた。新領土は属州として、王が任命した長官によって収められている。

「あのとき、勝ち取った領地は戦争で功をあげた貴族たちに与えられたの。貴族たちはそこで大農園の経営をはじめた。戦争の最中に奴隷もたくさん獲得したから、労働力にも困らない。そこで作られた小麦が大量に安く売られたの。そのせいでもともと農業に従事してた人たちが打撃を受けて、失業者もかなり出た。それで大農園を規制するように抗議してる。あの男が借金してたっていうリサド家は大農園やってる貴族たちの中の筆頭格」

「ならデーニャってのは?」

「盗賊のボス。ここから東にある、フィルツって街の近くに出没する盗賊団を率いてる。五年前に討伐軍が差し向けられたんだけど、撃退されたの。以来、支配に抗う勢力の象徴みたいになってる。団の名前も、フィルツ義勇軍、なんて立派なのに変えてね」

「義賊って感じですか?」

「そういうわけじゃないよ。普通に農民からも略奪する。あがめてるのは直接被害にあってない、離れた場所の人だけ。そういう場所では、さっきの男みたいにデーニャを英雄視してる人間もいるの」

「この国大丈夫かよ……」

 やばさでいうと後漢末期くらいのやばさ。そろそろ滅ぶかもしれない。その前に逃げたい。

「あそこに集まってるのも大半は借金で首が回らなくなった農民たちだろうね。なんとかしないといけないんだけどリサド家は公爵家だし、陛下にも気に入られてるからとめられる人がいない」

 言い終えると、エマは悔しそうに歯を食いしばる。

「それでエマ殿下、国王陛下と喧嘩してましたね」

「ちょ、ミケーネ、なんで知ってるの!?」

「噂になってますから。宮殿で知らない人はいないです」

 俺、知らなかったけど、ルイーザは思うが、前の世界でも噂話とかひとつも知らなかったのであまり気にしないことにした。ぼっちは死んでも治らない。

「陛下は黙認どころか、そこであがった収益を国庫に入れたりもしてる。兄上も一部は着服してるし」

 エマは悔しそうに拳を握りしめる。

「もう全員ぶっ殺して姉上が王になればいいじゃないですか」

「こーら、ルイーザ。すぐ殺すとか言わない。家族でしょ?」

「腐った既得階級殺さないと下々が殺されてますからね。無血革命なんてそうそう無理ですよ」

「時間はかかるかもしれないけど、説得するべきでしょ。王族内で派閥割れして、内乱にでも発展したらそれこそ世も末じゃない」

「そうですかねえ。ま、俺はどうでもいいですけど」

「ブレないなあ、ルイーザは」

「俺、悪人なんで。人の苦しみとか興味ないんですよ」

「またまた、悪ぶっちゃって」

 エマの口調は軽いが、瞳だけは悲しそうに集会を見つめていた。


 演説する男を眺めていると、通りの方から数人の男がやってきた。先頭の男は体格がよく、暑いのに体全体を覆うような上着を着ている。エマはそれを見るや、わずかに重心を落とした。ミケーネも隠し持っている短剣に手を添える。

「貴族か?」

 男が訪ねてくる。

「まさか」

「はっ。嘘つくなよ。見ればわかる」

 じゃあ最初から聞くなよ、そんな返しをするより早く、男が上着の中に隠していた短剣を出した。

「来な。大人しくしてりゃ怪我させねえよ」

 剣を出した瞬間、エマが動いた。男は驚きながら短剣を振り上げるも、エマのほうが早い。喉を殴って怯ませると、金的を蹴り上げる。さっと手首をとって関節を極めながら短剣を奪い取った。

「ほい、ルイーザ。後ろよろしく」

 短剣をルイーザに投げ渡し、すぐに別の男から短剣を奪うと、ミケーネとともに切り込んでいく。エマは別格として、ミケーネもなかなかの使い手だ。自分より背の高い相手を二人同時に相手にしながら優勢を保っている。

 二人の戦いを見て、ルイーザは路地の奥へ視線を向ける。そこにはひとりの男が壁にもたれていた。

 ひょろっちいやつ。それが最初に抱いた印象。長く伸びた髪は手入れされておらずぼさぼさで、目はどんよりと沈んでいる。やるせなさそうな表情のまま、腰に下げていた片手剣を抜いた。正眼に構える。

 ルイーザもまた、頭を切り替える。リーチは不利。細身だが引き締まっているので、腕力も侮れない。だがリーチを考えるとさっさと距離をつめてインファイトに持っていったほうがやりやすいか。

 ルイーザは剣を構えたまま歩み足で距離をつめる。一足一刀の間合いに入った瞬間、地面を蹴った。

 相手の剣を払い、そのまま打ち下ろして腕を切ろうとする。男は脱力したままするりとかわし、剣の腹でルイーザの首を殴った。

 意識が飛ぶ。

 ルイーザが崩れ落ちると、男は「悪いね」と言いながら体を抱き上げ、エマたちに向き直った。

 エマとミケーネもまた、戦いを終えたところだった。こちらは勝利で。しかし男の手にあるルイーザを見て、動きをとめる。

「この子は弟かな? 大人しくしてくれ。僕も子供を殺したくはないんだ」

 弱々しい、控えめな口調。だが必要とあらば躊躇なく殺す、そんな気概が伝わってきた。

 エマは剣を下ろす。ミケーネは迷っていたが、エマに従った。


 盗賊たちは三人を馬車に乗せた。ルイーザを倒した男は車内に乗り、他二人は御者。残りはもう一台の馬車に乗った。

 馬のいななきひとつ、車体が揺れ、動き始める。

 ルイーザはぼんやりと拘束された腕を見つめていた。エマとミケーネも手足を縛られている。

 男は椅子の下から包みを取り出すと、中からバケットを取り出して食べ始めた。

「逃げないって約束する?」

 突然の問い。ルイーザは戸惑いながらも口を開く。

「……ああ、馬車から飛び降りるわけにもいかないからな」

「そうかい」

 言って、男はルイーザの手を縛っていた縄を切る。

「どうぞ」

 そして、バケットを半分にして手渡してきた。ルイーザは隣の二人を見る。

「俺だけ?」

「そっちのお嬢ちゃんたちはちょっとね……」

 つまり、ルイーザなら暴れても取り押さえられるが、エマとミケーネは手に負えないから、ということなのだろう。

 侮辱だった。弱いと言われているようなものだ。

 だが言い返すこともできない。自分はあっさりと負けたのだから。エマとミケーネだけなら捕まることもなかった。

 怒りが込み上げてくる。体が小刻みに震え、目頭が熱くなる。

 ぽん、と肩を叩かれた。エマが身を寄せるようにしてぶつかってきたのだ。そのままルイーザに寄りかかってくる。

「一口ちょーだい」

 無言でバケットをちぎって姉の口に詰め込む。

「んー。ルイーザに食べさせてもらえるなら縛られるのも悪くないかも」

「……あほ」

 呆れながら、姉の向かいにいるミケーネにもひとかけ渡した。

「仲良いんだねえ」

 男が和やかな笑みを浮かべていた。とても悪人には見えない表情だ。

「おじさん、名前は?」

 エマが尋ねると、男はにこやかに答える。

「ん? 僕かい? 僕はニック。よろしく」

「ニックたちは盗賊?」

「うーん。まあ、そうなるね。僕らはフィルツ義勇軍、なんて勇ましい名前使ってるけど。やってることはただの盗賊」

「身代金目当て?」

「そうなるね」

「よく貴族ってわかったわね」

「そりゃ、雰囲気が違うからね。見ればわかるよ」

 一通り好奇心を満たしたのか、エマは椅子にもたれ、弟の肩を枕にした。


 フィルツは王宮から馬で三日の距離にある街だ。長時間硬いいすに座っていると、盗賊に囚われる不安よりも、腰の痛みという目の前の苦痛が勝っていく。

 盗賊たちの基地に到着し、馬車から解放されたときには安堵さえしたほどだ。

 基地は丘の上に建てられた二階建ての屋敷。貴族が建てたものなのだろう、盗賊には似合わない立派な作りだ。周囲を囲む深い森は北へ向かってどこまでも続いている。

 重厚な扉を開けると、一階はまるまるホールになっていた。長方形の空間に三百人は下らない盗賊たちがたむろしている。無骨な男たちに混じり、十数人の薄絹をまとっただけの女が酒をついで回っていた。彼女たちは仲間というわけではないだろう。盛った賊が乱暴に女を抱き寄せると、女は抵抗の意思すら表さず、ぐったりと力なく男の手に落ちる。

「さ、上に」

 ニックに連れられ、二階の部屋に入った。扉を閉めると階下の喧噪が遠のく。

 部屋は学校の教室よりも一回り広い。だが雑多に物が積み上げられているせいで狭く感じる。奥にはひとりの男がガラクタの山の上で寝そべっていた。

 長身で細身、ブロンドの髪。品のいい正装に身を包んでいるが、表情はねっとりといやらしい。顔全体にひどい火傷でただれた痕があり、唇は歪に膨れ上がっている。

男は来客を見るや笑顔を装い、顔をなでつけた。

「あー……はは、はあ……おじさんの家に遊びに来たのかな? 貴族の坊やたち」

 脈絡のないセリフ。男は立ち上がり、慇懃に礼をした。

「おじさんの名前はデーニャ・イスタール。この辺りじゃちょっとばかし有名なんだけど、知ってるかな?」

 黙っていると、デーニャは近づいてきた。

「緊張してる? 大丈夫、安心して。リラックスだ。えーっと、黒髪のお二人は、姉弟かな? 年を当てよう。17と16、どうだい? あってる?」

「15と19だ」

「おっとぉ、まちがえちゃったかー。いやー、おじさん目が悪くてねえ、それとそこの金髪の君。君はー、バートル人かな? じゃあ奴隷ってわけだ」

「ミケは友達よ」

「あちゃー、おじさんまたまちがえちゃった」

 デーニャは愉快げに笑う。

「君たち三人は我が家に招待された。けど、残念ながらひとりは帰ってもらわないと。パパとママに伝えるんだ。大事なお子様たちを返してほしかったらおじさんにお小遣いをあげて、ってね。っふっふふふふ、ふふふ、はっははは!!」

 手を叩き、口をめいっぱい裂いて楽しそうに笑う。満面の笑顔のままミケに迫った。

「それにはやっぱり、馬にのらせりゃ一番のバートル人かな。ちょっと行っておじさんのメッセージを伝えてきておくれ。値段は、そうだなー。金貨10枚。いや、これじゃ失礼か。なんせ王女様と王子様。金貨100枚くらいでなきゃ釣り合わない」

「なんで知ってるのかしら? 私たちのこと」

「そりゃあ、私は愛国的な市民だからね。やんごとなき血筋の方々の顔くらい覚えてるよ」

「でもさっき年まちがえたじゃん」

「これはしたり。弟くん、手厳しいね」

 ミケは感情を表に出すこともなく、エマに視線を向ける。エマは一呼吸置き、うなずいた。それを確認すると部屋を出ていく。

「じゃ、これであとは僕たちがお金持ちになるのを待つだけだ。あ、そうそうそう……」

 デーニャはぶつぶつ呟きながらゴミ山をあさる。中から一本のボトルが出てきた。年季の入った色をしている。

「ついこの間いいワインを手に入れてね。どうかな、この出会いを祝して。いや! 待て待て待て違うぞデーニャ、それは俺の好みだ。きっともっと飲みやすい酒のほうがいい。シードルなんてどうかな?」

「まだ15なんだけど」

「おやおやおやおや、しつけの行き届いた良い子だ。でも、ここはおじさんの世界なんだ。我慢することはない。飲みたければ飲めばいいし、ほかの楽しみもある」

「あんまり弟にちょっかいかけるのはやめてくれるかしら? ひどく不愉快よ」

 エマは前に出ると、ルイーザを背中に回す。

「うーん。姉弟仲が良くて何よりだ」

 デーニャは舌を鳴らしながら二人を順繰りに見る。

「まだまだ緊張してるみたいだね。なんせ初めましてなんだ。今日は自己紹介だけにして、少しずつ親睦を深めようじゃないか。なに、俺たちの間には立場の違いはあるけど、きっと理解しあえる。俺だって根っからの悪党ってわけじゃない。やむにやまれぬ事情があるんだぜ? プロヴィア戦役で畑が焼けちまってな。食うに困って泥棒するしかなかったんだ。で、ある日貴族さまの持ち物をくすねたら捕まっちまって。そいつの家の地下牢にぶちこまれた。それで聞いてくれよ、あの伯爵ったら、俺の顔を掴んで、暖炉にぶちこんだんだぜ? おかげでせっかくの色男が台無し。……ふはははははは!」

 やけどを指さし、声をあげて笑う。

「町にいられなくなった。それで仕方なく盗賊団に入ったんだ。今はでみんなと仲良くなっておじさんがここの大黒柱さ。大所帯だとどうしても実入りが必要になってね。食べていくためにも、盗賊稼業をしなくちゃいけない」

「じゃあ金貨百枚もありゃ畑買いなおして足洗えばいいだろ」

「ダメダメダメ、そのお金は違う事に使うんだ」

 ルイーザが首をかしげると、デーニャはぐっと顔を近づけてきた。

「パーティだよ! フィルツの町のみんなも誘ってパーティを開くんだ。この屋敷を飾り付けしてね、でっかいお肉を買ってみんなで食べるんだよ。きっと楽しい。君たちもお忍びで来るかい? そのときは捕まえたりしないからさ」

 ぼっちの習慣としてとりあえず招待を断ろうとすると、姉が小さく舌打ちした。

「それで民心を得て自分を売り込もうっていうのかしら? そういえば、街であんたを讃えてた男がいたわね。あれもあんたのお友達?」

「おや、知らない間にファンが増えてたみたいだ。今度握手会でも開こうかな」

「それに、宣伝がうまくいけばここに参加したいって人も出てくるでしょうね。先だっての政府軍との戦いで人が減ってるみたいだし、人員を補充してもとの力を取り戻したいのかしら?」

「うーん、そんな小難しいことは考えてないんだけど。頭がいいんだね、お嬢さん」

「道化を演じるのもたいがいになさい。五年前、討伐軍を派遣したときにはリーダーは別の人間だった。なのに戦いが終わるころには盗賊団の外にまであなたの名前は広まっていた。戦乱の中で成り上がって民心まで味方につける。権謀術数に優れてないとできないことよね」

 デーニャはわずかに首を傾けながら目を閉じた。五指でほっぺをぺちぺちと叩きながら大きく息を吸う。

「あんまり難しい話をされると、おじさんちょっと頭がパンクしそうだ。今日はこれくらいにして、君たちを部屋に案内させよう。この部屋にはいつでも遊びにきていいからね」

 ニックに連れられて部屋を出る。階段を下りて広間を通っていると、賊たちが視線を向けてきた。

 口笛が鳴る。

「ニック! 女はこっちだ」

 呼び止めたのは身長2メートルはありそうな大男。それまで抱いていた女を突き放し、エマを手招きする。

 エマは倒れた少女を見る。拳を握りしめて怒りを押し殺し、冷たい表情を作った。

「私、自分より弱い男に抱かれるのは嫌かな」

 言うと、げらげらと笑い声。賊たちは腹を抱える。大男は勢いよく立ち上がると、わざとらしく肩を回し始めた。

「おお、おお! 威勢のいいお嬢ちゃんだ。じゃあちょっと、強いとこ見せちゃおうかな」

 して、三十秒後。

 顎を撃ち抜かれ、倒れた大男をしり目にエマはルイーザのもとへ戻ってくる。

 仲間を倒された盗賊たちは、なぜか大歓声をあげていた。

「おお! すげえ、なんだあの嬢ちゃん!」

「しびれるねえ! 俺も手合わせ願おうかな!」

「冷たい視線もいいねえ! こっち来て一杯どうだい!?」

 やんややんやと騒ぐ男たちに、エマは振り向きもしない。ルイーザの手を取ると歩き出した。空気を読んだニックがそのまま部屋へと案内する。

 二人の通された部屋は人質にふさわしくない、豪華な部屋だった。

 デーニャの部屋よりも広いだろう。重厚なカーペットがしかれ、それ以外の調度品も質がいい。窓こそ逃げられないようにふさがれているが、生活に困ることはない水準の部屋だ。

「それじゃあ、僕はこれで。悪いけど、外から鍵をかけるから」

 ニックが立ち去ると、ルイーザは恐る恐るベッドに腰かけた。スプリングなどはないので地球のベッドと比べると見劣りするが、この世界の基準ではかなりいいほう。

「ずいぶんと豪勢な部屋ですね」

 話しかけたつもりなのだが、返事がない。姉は怪訝な顔で部屋を見回す。家具などを検めた上でルイーザの隣に腰かけた。とくに意味もなく密着してくる。うっとうしいが、いつものことなので放っておくことにした。

 弟の肩に顔をうずめたまま、ぽしょぽしょとしゃべりだす。

「ねえ、あのデーニャとかいう男、なにが目的だと思う?」

「さあ? 本人の言葉通りなら、パーティじゃないんですか?」

言っても、エマは納得いかない様子。

「姉上のあれは考えすぎだと思いますよ。だれしもが二手三手先を読んで行動してるわけじゃない」

「考えなしで動いてるんだとしたら、私たちに上等な扱いをするのも気まぐれ?」

 知るかよと思うが、眉をひそめるにとどめる。エマは腰に抱きつきながらさらにくっついてきた。

「考え事するときにくっつくのやめてくれます? 暑苦しい」

「王族内にシンパを作れたら、有利だと思わない?」

「話聞けよ……。ああ、シンパ? 特赦でもさせようとしてるってことですか?」

「自分たちの立場を有利にするだけじゃない。朝廷内に亀裂を入れることもできる」

 やはり考えすぎだろう。ルイーザはため息をつく。

「国家転覆でもたくらんでると? そんなたいそうなテロリストには見えませんけど。ただの愉快犯じゃないんですか? それに、支配体制を覆したいなら勝手にすればいい。俺は混乱に乗じて国外にでも逃げますし、貴族の特権を排した民衆革命は姉上の望むところでしょう」

「私は別に壊したいんじゃない、変えたいんだよ」

「同じことですよ。あんたはやたら説得だの啓蒙だのと手段にこだわりますけど、血を流さずして体制を変えることなんて不可能です。壊さなきゃ変えられない」

「壊した後の体制まで作ろうとしてるなら、私だって全否定はしないよ」

「何が言いたいんです?」

「デーニャが国を壊した後に見てるのは無政府状態。ここの支配を見ればわかるでしょう? 命令は最低限だけ。他は放任してる。無秩序のまま放置してる。支配するつもりなんてないんだよ」

「支配欲がないのはけっこうなことじゃないですか。つーか、革命のあと、結果として無政府状態になることはありますが、最初からそれを目指すやつなんていないでしょう。何かしら理想があってやってるにしても、それを実現させるためには力が必要だ」

「ルイーザがさっき言ったでしょ、愉快犯だって。あいつは混沌とした世界を楽しみたいだけなんだよ。理想もなければ野心もない」

「そこまで言うなら姉上が倒すなりなんなりすればいいでしょう。俺には関係ない。いい加減離れてくださいよ」

 姉を突き放し、毛布にくるまる。

 エマもそれ以上は言わず、明かりを吹き消した。

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