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捧げる者  作者: 深香月玲
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71 浮遊大陸、下から見るか?上から見るか?

「浮遊大陸初めて見たにゃ。すっごくちっちゃいにゃ。」


僕たちは浮遊大陸発見の報を受けてナータルの沖合に来ている。

ナータルはフォルティスから三日月大陸を横断した東岸側にある大都市なのだが、大陸から少し離れた島にあるために周辺の都市との間で定期的に船が運航していることもあり、他の大陸の都市との船による交易も盛んにおこなわれているのだ。

南西大陸からの交易船が到着して、北上している浮遊大陸を見かけたという情報が入手できたので、ナータルに転移するとすぐに船を出してもらって今に至るというわけだ。


「真っ青な空に浮かぶ浮遊大陸はとても神秘的なのだ。」


そういう表情をするプリメーラこそ神秘的ですよ。絶好の機会を逃すことなく一枚いただいておいたのは言うまでもない。

さてさて、美しいプリメーラを愛でてばかりもいられないので、やることやりましょうかね。船が浮遊大陸の真下あたりに来たところで「検索」を発動してみても「魔王」の反応はないが、これは想定内だ。浮遊大陸の地図(マップ)情報が何も取得できていないからね。僕の「探索」による地図(マップ)情報の取得範囲は半径2500mに達しているはずだが、今の浮遊大陸の高度はそれ以上のようで仕方のないことだ。ということで、次は目測による「転移」を試みる。浮遊大陸に本当に「魔王」がいた場合、近づきすぎると気付かれるかもしれないけど、少しでもいいので浮遊大陸の地図(マップ)情報を入手するのが今の最優先だ。橋頭堡を確保しないとこちらからの攻め手が何もないからね。


「カナタ、気を付けるでござるよ。」


「危ないと思ったらすぐに逃げるのじゃぞ。」


「ん。」


ユイトセインさんや、股間を擦るのに何か意味はあるんでしょうか。

よし、行きますか。意を決して最初の「転移」をする。足場がないので自由落下してしまうが、三度目の「転移」で浮遊大陸を超えた高さに到達すると、浮遊大陸の全景が目の前に広がる。すごい。本当に島が浮いているという感じだ。事前に得ていた情報通り、浮遊大陸の上部は多くの緑が生い茂っているがそれだけではない。ちょっと小高い山や湖というほどではないが綺麗な水を称えて居るような場所も見て取れる。地上ではあまり見ない風景に目を奪われる。こんな絶景を見た人間は僕が初めてかもしれないね。ということで記念に一枚残しておこうか。いい感じで撮れたんじゃないかな。おっと、ここまで来た目的も忘れちゃいけないね。「探索」を発動させて地図(マップ)情報が入手できていることを確認すると、十英傑が待つ船に一旦戻る。


「大丈夫だったか」とか「どこも痛くないか」とか声かけられて体をあちこちぺたぺた触られて確認されたけど、そこまで心配する必要ないでしょ。ほんの一瞬じゃないですか。そして、ユイトセインさんや、そこはさっき擦ったばかりです。何も変わりないですよ。

それより…浮遊大陸の様子を伺ってみるが、特にこちらに気付いて何かを仕掛けてくるようなことはないようだ。

ということでざっくり見てきたものを説明して、上で撮ってきた一枚を通知(メッセージ)で共有しようとして愕然とした。だって、僕が見た風景とは全く異なる風景がそこにあったのだから。通知(メッセージ)の機能で撮った一枚にはただの海しか写っていない。浮遊大陸の何一つ写っていないのだ。見間違い?そんなことはない。現に地図(マップ)情報はちゃんと入手出来ている。ということは、僕の目が欺かれたか、通知(メッセージ)の目が欺かれたかのどちらかなのだろう。いや、ひょっとするとどちらも欺かれたなんてこともあり得るのか。いずれにしても浮遊大陸の真実にたどり着くには一筋縄ではいかないようだ。


「次はどうするのだ。」


これも予定していたことではあるが「観測(モニタリング)」の出番だね。ただ、これを公言してしまうのはやや憚られる。特にツヴァイクに知られると自分にも生やしてくれって強請ってきそうでなんかやだ。ということで、いろいろ誤魔化すために小休憩ということにしてその間に使用することにした。小休憩と決まると(キャトレーブ)さんは早速海に向かって釣竿を垂らしてお魚を求め始めた。他も思い思いに日光浴したり、海に潜ったりとこのひと時を楽しむことにしたようだ。僕は船室をあてがってもらい、そこでひと眠りすると言って甲板を後にする。ディスマルクあたりが忍び込んできても大丈夫なように「活動制限(リストリクションズ)」を発動させて準備万端にすると浮遊大陸上に「観測(モニタリング)」を発動させる。


脳裏に浮遊大陸の様子が浮かび上がるが、それは僕が空中から見たものでも、画像に収めたものでもない風景だった。浮遊大陸の得られた地図(マップ)情報の中でも端の方に「観測(モニタリング)」を発動させたのだが、あれほど生い茂っていた緑は縁の方に僅かしかなく、後は白っぽい石畳のようなものを敷き詰めた無機質な空間があるだけだった。うーん、どういうことだろう。どの情報が正しいのかよくわからなくなってきたね。見渡せる限りを見てみるが、同じような光景が広がっているだけで特に目を惹くようなものは何もみつからない。うーん、困ったね。岩盤のように見える下部の方に何かあるのかと思ったが、ここから見える限りでは地下に行けるような階段のようなものは確認することができない。外側から降りていける所があるか確認してみようと「観測(モニタリング)」を発動させる場所をずらした時に大きな変化があった。浮遊大陸の縁ギリギリから見る大陸の内側が、僕が空中から見たものと同じように緑が生い茂るものに変わったのだ。お?よくよくその緑の木々を見てみるとちょっとおかしいことに気づく。何がおかしいって言うと、粗いのだ。葉っぱの縁やいろんなところが滑らかではなくギザギザしてるって言えば分かってもらえるだろうか。つまり、外から見えていた緑の木々は偽物だろうということだ。恐らく大陸の上部を覆うように木々が生い茂っているように偽装する仕組みが施されているのだろう。浮遊大陸を緑が生い茂る状態に見せたいということは、人工的なものがないと思わせたいということで、ここに何かあるのは間違いないと見ていいだろう。そうしたいのは「魔王」なのかそれとも神意排他能力増幅機関(システム)なのか迷うところだが、どちらかというと神意排他能力増幅機関(システム)のような気がしている。というのも、世界の仕組みについて考えたりするといつの間にかはぐらかされていたように神意排他能力増幅機関(システム)がこういったことに気付かせないようにしているんじゃないかと思ったからだ。そう考えると通知(メッセージ)で残そうとした画像のことも細工されたとすれば納得がいくというものだ。管理者権限(アドミニストレータ)があってもまだ全ての干渉は排除しきれないっていうことなのかな。まあ何となく浮遊大陸は神意排他能力増幅機関(システム)が影響を及ぼしている場所って感じられたので思い切って「転移」してみることにした。


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