第八話 戦乱の始まり その八
更新です。Twitterでも活動しているので是非。「あやかしばかし」という作品も連載しているので見てみてください。
「君に決闘を申し込もう」
決闘。倉敷のその言葉は晴人にとっては予想通りの言葉であったが、周りの生徒達にとってはあまりにも衝撃的な宣言だった。
決闘とは文字通り、ファーレスによる一対一の試合を指し、全ての決闘は「決闘監督委員会」の監視と統括本部による許可の元に行われる。決闘では統括本部旗下の「機装局」が管理・所有するファーレスの中から各決闘者が自由に機体と装備を選択し、決闘に使われる機体と装備を両者確認の上で貸し与えられる。
限りなく公正に決闘が行われるように監視・監督することが決闘監督委員会の役割であり、機装局は講義や演習、決闘で使われるファーレスの整備・管理に加え、機工科の生徒が多く在籍しているため、積極的なファーレスの研究や改造も行っている。
統括本部旗下には「決闘監督委員会」や「機装局」の他にも「事務局」、「監査局」、そして倉敷の所属する「執行部」の合計五組織が存在している。
「俺が「拒否権」を行使するとは考えないんですか?」
この士官学校において士官科Ⅰには二年進級時に戦略科Ⅱへ、戦略科Ⅱからの三年進級時に戦略科Ⅲもしくは参謀科Ⅲへそれぞれ成績上位者にクラス変更の権利が与えられる。戦略科とは主に現場指揮官の育成に重きを置いたクラスであり、参謀科は機装士官から離れ、作戦指揮官やその上の作戦立案について学ぶより専門的なクラスである。
この参謀科への進級が学年主席の生徒の負う四つの義務の内の一つである。学年で唯一紺服を着る主席の生徒は学内での破格の待遇の代わりに進級時には戦略科、参謀科へと進み、軍大学へ進学することが義務付けられており、また大学在学中であっても選任士官として軍役に召集され、卒業後は通常の士官候補生達とは異なり、大尉階級として軍へ入隊することとなる。
だが、学年主席にはその義務を補って余りある特権が存在する。その一つが決闘の拒否である。
「既に統括本部、決闘監督委員会に通達済みであり、統括本部長による監督が決まっているため主席特権の拒否権は意味をなさない。この決闘は強制だ、携帯端末を確認してみろ」
晴人は制服のポケットに入れていた端末を取り出した。端末の画面には「決闘受理を確認。会場は第二演習場、機装局にて機体を受領せよ」という決闘の成立を示す通知が映し出されており、倉敷の言う通り既に拒否権を行使する段階を通り過ぎていた。
(分かってたことだけどやってくれたな。本番で急に内容が変わった書、わざわざ教室までやってきた執行部の人間、本部長権限での強制的な決闘。傍から見れば統括本部側による新入生の横暴な行動への罰、本部長の強権発動も俺への懲罰という形なら教官側も咎めることはしないだろうし、他の関係ない生徒からしてみれば自分勝手な行動をした俺に非があるという風に見えている訳だし。本当に手の込んだことを)
「確かに決闘が受理されて機装局へ行くようにアナウンスが入っていました。それで?決闘の要求と代価は何にするんですか?」
「こちらが提示する要求は君の主席剥奪、代価は私が決闘に敗北した場合、今後一切君に対して執行部並びに統括本部は強権を発動しないことだ。君はどうする」
「大きく出ましたね、その代価は統括本部も了承していることなんですか?」
「あぁ。決闘申請に赴いた際に既に確認済みだ」
「そうですか。では俺からの望みはそちらがきちんと代価を支払ってもらうことで十分です。要求に関してももし俺が負けたらこの服は別の誰かに譲りますよ」
「君は決闘を受けた側だ。もっと要求しても構わないんだぞ」
「いえ、どうせ勝つのでこれくらいでいいですよ」
「ずいぶん生意気な口を利くものだ。では機装局までついてきてもらおう」
倉敷は晴人に背を向けて機装局へ歩き出した。
決闘です!
この辺はテンポ良く進めたいのでかなり短く更新しているのですが、いずれかのタイミングで内容を更新すると思うので安心してください。




