第二十二話 戦乱の始まり その二十二
更新です。Twitterでも活動しているので是非。「あやかしばかし」という作品も連載しているので見てみてください。
日本軍の作戦を思案しながらヴィアネス少佐は日本に潜り込む準備をする部下の元へ向かった。艦下部の潜水口でダイビングスーツを着た四人と彼らの囲んで話し合っていた部下達は上官が降りてきたことに気が付くと素早く立ち上がり、敬礼した。
「少佐、いかがされましたか?」
「そろそろ作戦が開始されるようですよ。皆、準備は整っていますか?」
「はい。全員準備は完了しています」
「よろしい。協力者より集合地点の安全は確保してあると連絡がありました。作戦通り東亜軍の陽動が成功したタイミングで四人には出立してもらいます。残りはファーレスで敵の迎撃に当たってください」
「はっ!」
「私はこのままこの艦で陽動に協力しつつ、気を見て撤退の指示を出します。地上部隊は深追いはせずに潜入の時間稼ぎに注力するように」
「了解しました」
艦内に警報が響き渡った。警報が鳴ったということは東亜軍が日本軍の戦闘区域に入ったということだ。ヴィアネスは銀髪の少女に目を向けた。
「最後に、エルメリア。お前の力は使わなくていい。仮に日本軍が例の精鋭部隊を出してきたとしても力を使う必要はない」
「分かった」
エルメシアと呼ばれた少女は表情を変えず、無感情に頷いた。無感情な彼女の代わりに首に巻かれたチョーカーが点滅し、その存在を主張していた。彼女の名はソフィア・エルメリア。新ロシア帝国軍第五陸戦師団所属の機装士、帝国流に言えば機縦士官で軍内でも特にファーレスの操縦が優れている者が任命される。彼女もその例に漏れず、若干十三歳ながら帝国第四級機縦士官の称号を授与され、現在は更に階位を上げ、第三級機縦士官に昇格し、最前線で戦果を上げ続けている。
「では全員、持ち場に着いて随時出撃してください」
「はっ!」
ヴィアネスは今回の任務、かなりの確率で成功すると考えていた。それはエルメリアを連れてきたからという訳ではない。そもそも今日の戦いは海上戦がメインになると予測はついていた。陸戦でなければファーレスは精度の高い固定砲台程度のものでしかない。自由共和連邦と新世界統合同盟のファーレスでは種類と性能に差が存在し、ハンブルグで奪取したデータを基にした機体で一時は埋まった差も二年で新たに差を作られ、帝国の技術部も焦燥感に駆られていた。
この作戦の肝はこちら側がとにかく敵の罠にかかり、そちらに注意を向けさせ続けること。その上でいつでも脱出可能な位置を取って潜入部隊が合流地点に到達でき次第、撤退する。日本軍の動きから見てファーレスの性能差を活かして陸地に引き込んで地上戦を行う算段なのだろう。
(相変わらず日本軍は丁寧な作戦がお好みなようですね。敵を殲滅することより作戦を遂行することの方に意識が向いていてやりたいことさえ分かってしまえばどうとでもできますからね。ただあの黒に統一された部隊だけが気掛かり)
「もしかしたらエルメリアですら勝てない可能性も考えられる。まぁ彼女に関してはいつでも処分できますし、どうとでもなりますか」
脳内で非情な計算をしつつ、ヴィアネスは指令室へ戻っていった。
何かが違うと知りながら




