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星降ル夜ノアリアドネ  作者: 東上春之
第一章 戦乱の始まり
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第二十話 戦乱の始まり その二十

更新です。Twitterでも活動しているので是非。「あやかしばかし」という作品も連載しているので見てみてください。

「我々も移動するぞ」


 安藤の号令で外に出ていた隊員は機内に戻った、もちろん晴人とジャンヌは席に着いたままだった。ファーレスを積んだ機体を先頭にして倉庫まで移動し、荷を解き、搬入したファーレスを整備ドックに格納した。

 特務大隊のメンバーはそれぞれ担当する配置に着き、晴人は新たな専用機である第七世代ファーレスType-D〇一「テリオス」の最終調整を行っていた。第七世代ファーレス「フルレイア」を晴人の反応速度や今までの戦闘データを反映されて製造された「パーソナルファーレス」。


 そもそも専用機とはヨーロッパ連邦のグランドナイツの中でも序列を与えられている上位メンバーだけに製造されるような特別なファーレスなのだ。現在情報が得られている中でもそのほとんどが一機で戦局を変えられる「ワンオフ機」ばかりで、このテリオスもその例に漏れず、単機で戦局を大きく左右させることができる。

 晴人と同じように自身の専用機の調整を行っていたジャンヌは情報を整理しながらこれから起こる戦闘について考えていた。東亜軍艦隊は現在、下関に向けて日本海を直進し、そろそろこちらの攻撃範囲に入る。


 監視衛星のデータと高性能レーダーによる解析情報を映像で逐一状況を確認しており、ジャンヌは更新され続ける情報の中で戦局を左右する可能性のあるものだけを抽出し、ジャンヌ専用機Type-D〇二「キリア」に入力していく。

 敵予想進路には先立って発進していた哨戒艦がいくつも罠を仕掛け、作戦通りに順調に事は進んでいた。その順調さが彼女には不気味でならなかった。


(潜入か。晴人が予想していた通りの展開にならぬように安藤へ伝えはしたが、どうなることか)


 ジャンヌは腕を組み、作戦と現状を照らし合わせる。やれるだけのことはやったはずだ。刻々と変化する戦場で何が起こるか、ただどんな状況になろうと晴人を守ることは変わらない。得られた情報を入力し終えたジャンヌはコクピットから降り、隣に並ぶ晴人のファーレスのコクピットに外側からノックした。


「晴人。調整は終わったか?」


 ジャンヌの声に顔を上げた晴人はコクピットの座席の右横から取り出したキーボードを折りたたみ、外に顔を出した。


「こっちは終わったよ。どうした?」


「中に入っていいか?」


「分かった」


 座席左横の端末を操作して複座の座席を出した。座席を出したぞと彼女を見るとジャンヌは手を差し出していた。「エスコートをしろ」と言わんばかりに差し出されたその手に晴人は「仕方ないな」と手を取り、座席に案内する。

 満足したように微笑む彼女に晴人も戦場にいながら陽だまりにいるような暖かさを感じ、自然と取った彼女の手を握りしめ、ジャンヌも絡めてきた晴人の指を受け入れた。


「士官学校の方は大丈夫か?」


「さっき明日は臨時休校になるって連絡があったから三連休になるかな」


「そうじゃない。大丈夫か?」


「・・・。まぁ大丈夫か大丈夫じゃないかで言えば大丈夫じゃないよ。オチの付け方に結構難航してて今後の学校生活がどういう方向になるか、不安はないけど安心できないなーって」


「電話に出なかったのもそれが原因か?」


「そう。ちょっと決闘することになってバタバタしてたんだよ」


「日本の士官学校は入学してすぐにそんなことになるのか?」


「そんな訳ないだろ。嵌められたって言い方は悪いけど仕掛けてきたから乗ったら思った以上の展開になってって感じかな」


「なんだ、いつものことじゃないか。そんなことにお前は頭を悩ませていたのか」


「そんなことって言わないでくれよ。それなりに」


 と言いかけた時、端末が振動し、二人の表情が一気に変化した。


「行くぞ」


「晴人、背中は任せろ」


『全体に報告します。作戦予定地点に敵艦隊が到達しました。これより殲滅戦を開始します』

作り物のようなこの日々に

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