第十五話 戦乱の始まり その十五
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決闘の開始がアナウンスされた瞬間、両者最高速で駆け出し、互いの武装がぶつかり合った。
晴人のサンライズのパワーに押し負ける倉敷のアブソレイだったが、持ち前の技術でそのパワーを利用して体勢を入れ替え、いったん距離を取った。晴人は離れた倉敷に左手の剣を投げ、開いた距離を助走に使い、脚部スラスターを噴射して機体を空中で回転させて斬りかかる。
サンライズの疑似関節フレームと重点的に強化された脚部だからこそできる規格外の攻撃だが、倉敷は投げられた剣を大きく回転しながら右に回避し、向かってくるサンライズの側面に回り込み、遠心力を加えて大剣を斬り上げた。しかし、晴人もそれは読んでおり、空いた左手に構えたライフルを撃ち放ち、斬りかかるアブソレイは攻撃を止め、大剣を盾にして再び間合いを取った。
一進一退の攻防が繰り返され、客席まで届く勢いで飛び散る火花に数秒前まで歓声をあげていた観客は二人のあまりにかけ離れた操縦技術に声を出せないでいた。
「凄い。倉敷先輩の動きについていけてるなんて」
「あの新入生が乗ってるファーレスってつい先週辺りに届いた物だろ。どうしてあんなに上手く扱えるんだ」
倉敷は学内でも特にファーレスの戦闘に秀でていると評価されている人間の一人で周りの士官科の生徒からも実力を認められている人間である。そんな倉敷と互角どころか圧倒さえする勢いで攻め立てる晴人。
倉敷の実力を知っているからこそ同じ士官科の生徒や機工科の生徒達も晴人の新入生ならざる動きに驚きを隠せなかった。
サンライズの性能はアブソレイよりも上だが、こうも接戦になっているのは倉敷の積み重ねてきた操縦技術とそれ以上に晴人が状況の締めを試行錯誤しながら立ち回っているからというのが大きい。サンライズの限界駆動を使用すればアブソレイなどものの数刻で規定ダメージまで達することができる。
だが、晴人がそれをせずに倉敷と戦っているのはサンライズへの理解度の高さから身元を不審がられる可能性があると考えているからである。
(でも、今の時点で結構怪しまれてるだろうな。接戦で進めてわざとらしく誘って終わらせるのが無難か)
再び武器を構え、戦いを再開する晴人。アブソレイの大剣を警戒しつつ、距離を詰めてダメージを与えていく。反対に倉敷はサンライズのライフルを警戒していた。サンライズが左手に構えるライフルは一度に撃たれる弾数は少ないが、その威力が桁違いに高い。
左肩部に当たっただけで機体ダメージが10%以上増加している。胸部コックピットは最も防御性が高い箇所ではあるが、この威力を近距離でくらえば、
(かなり厄介だな。あのライフルを向けられると攻撃よりも防御をせざるを得なくなる。こっちの損耗率が三割近くになってからまた戦い方を変えてきた。初めは近距離中心でダメージを稼いでいく動きをしていたのに二割を超えてきてから中距離戦闘に移行してきた。やはり宮内が言っていた通り)
『やるな、祈上。その力、もう少し見せてもらうぞ!』
「そんなこと言われたって強くなったりなんてしませんよ。俺も退学なんてしたくないんでできれば早く負けてくれませんか!」
『元は宮内が始めたことだが、この決闘は君が選んだ道だ。私はあくまで君が越えるべき壁として戦わせてもらおうか!』
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