第十四話 戦乱の始まり その十四
更新です。Twitterでも活動しているので是非。「あやかしばかし」という作品も連載しているので見てみてください。
そして、第六世代機最大の特徴は学習型戦術AIを搭載しているという点である。搭乗者の操縦技術や戦闘中の他機体への通信などを記録・学習し、膨大なデータを蓄積することで戦闘における瞬時の状況判断や高度な作戦指揮の補助が可能となる。
またサンライズを含む試作機六機には専用のAIアクセス権が付与されており、通常の第六世代機よりも優先的に統括AIからの支援を受けることができる。
サンライズの起動を確認し、操作レバーを握りしめる晴人。久しぶりの操縦だが、そうとは感じさせない程に手に馴染んでいる。
「行くか」
向かうは倉敷の待つ決闘の舞台。何百もの観衆を前に戦う戦士は二人だけ。決闘場まで続く通路に響くサンライズの音。反対側からは観衆の叫び声が木霊する。
士官学校で求められるのはその実力。武力、知力、判断力そのいずれも欠けてはならず、しかし、それだけでは不十分。この国の未来を担う者として、この世界の平和を目指す者としてその責務を全うするために例え士官候補生と言えど、それ相応の姿勢がある。
一歩ずつ近づくにつれて響く声は大きくなっていき、ゲートをくぐると空気を震わせる程の歓声が響き渡ってきた。
『これより士官科三年「倉敷勇」と士官科一年首席「祈上晴人」の決闘を執り行う。この決闘は決闘監督委員会三年永田樹が審判を務め、公正に決闘の監視することをここに宣言する』
そう永田のアナウンスが入った瞬間、会場が更に沸き立ち、観客のボルテージがもう一段階跳ね上がった。第二演習場は中央の戦闘が行われるスペースと観客席が円状に区切られており、永田や宮内を含む決闘を監督する立場の人間達は客席の更に上段に設置されているモニタールームから様子を伺っていた。
観客の歓声が上がり、ファーレスの中からでも分かる熱量に苦笑いを浮かべる晴人。自分のした行いの結果ではあるのだが、こうも分かりやすく盛り上がられるとこの歓声を上げる奴らの鼻をへし折ってやりたくなる。
『決闘のルールはシンプル。機体の損耗率が規定値を下回った方を敗北とする。この決闘で倉敷は祈上の退学を、祈上は統括本部・執行部からの不干渉を賭けてこの決闘は行われる。両者、以上の条件に異論はないか?』
そうファーレスの通信に問いかける永田。案の定、どちらも一言だけ口にしてモニタールームとの通信を切った。
『改めて両名の同意が得られたため、今から三十秒後より決闘を開始する。両者構えよ』
両者、各々のファーレスに持たせた剣を構え、向かい合った。晴人のサンライズは紅の双剣を、倉敷の第五世代機「リボルーター」は鋼の大剣を向け合い、開始のカウントダウンを待った。
すると倉敷の方から晴人に話しかけてきた。
『祈上。俺は全力で行くぞ、そう言われているからな』
「もちろん。勝ちますよ、俺は」
それだけの会話。しかし、交わす言葉以上にその考えは明確にぶつけ合われた。晴人としても士官学校に入学した目的を果たさずしてレールから外れるのは非常に不本意である。士官学校の首席卒業、それによる軍大学へ特別推薦での入学、この二点が晴人の将来の立場を確保するための必須条件であり、事の次第によっては今後のジャンヌの立場にも関係してくる。
つまり、一切の妥協など晴人の頭の中には存在しなかった。ただ問題なのは、
(やり過ぎると目立ちすぎるか。まだ早いよな)
三年間首席を維持するために多少本腰を入れるタイミングはあるだろうが、それは間違いなく今ではない。なら立ち回りは・・・。
そう晴人が思案を巡らせて数刻、開始のアナウンスが会場に鳴り響いた。
嵐の中で輝いて。




