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星降ル夜ノアリアドネ  作者: 東上春之
第一章 戦乱の始まり
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第十話 戦乱の始まり その十

更新です。Twitterでも活動しているので是非。「あやかしばかし」という作品も連載しているので見てみてください。

 エレベーターから降りた先にはいくつものファーレスが安定器に固定されて並べられていた。その中でも一機、周りの機体とは明確な違いを放つ赤い機体が鎮座していた。


「永田さん、新しい機体ってあの赤い機体ですよね」


「はい。N六型試作機タイプα「サンライズ」、軍から六機払い卸された内の一機です。タイプα以下六機はN六型機「アブソレイ」を基に改造されたものでそれぞれ異なる特徴を発展させる目的で使われていましたが、より多角的な視点でデータを得るために今回我々に提供していただいた訳です」


「機体データを見せてもらってもいいですか?」


「どうぞこちらです」


 永田からタブレットを受け取り、機体の詳細情報について目を通す晴人。


(やっぱり、ウチが一時期運用していた試作機の中の一つじゃないか。運動性能は破格だけど乗り手のことを考えないピーキーさが問題視されてデータ抽出だけして破棄されたと思ったけど)


 そもそも「ファーレス」とは迅速に人命救助を行うことを目的として日米共同で作り出された人型兵器である。全長は機体によって変化するが四m前後、局所救助が前提であったため、機動性に重きを置いており、下半身の比率の方が大きくなっている。

 コックピットは胸部開放式と背部搭乗式の二種類が存在し、第一、二世代機は胸部開放式を第三世代機では背部搭乗式を採用していたが、第四世代機以降からは胸部開放式が主に使われるようになり、最新鋭機である第七世代機は胸部開放式に統一されている。


 胸部開放式と背部搭乗式が考案された理由はそれぞれ開発・製造をした企業が異なるからである。主流となっている胸部開放式を開発したのは軍産複合体の色が強い「ティルア・エレクトリック」、一部の機体を除き現在では使われていない背部搭乗式を開発したのは「東相技研」である。


「祈上さん、サンライズの整備と調整は既に終わっています。もし本当に祈上さんが決闘を辞退されないのであればこちらを使っていただきますが、よろしいですか?」


「もちろん。最終調整は演習場でですか?」


「はい、そうなります。運搬の準備も完了しているのでお二人は先に演習場の方へ向かってください。岩崎さん、後はお願いします」


 岩崎は未だ晴人の不可解な自信に納得いかないのか眉間に皺を寄せていたが、永田の言葉に私情よりも仕事を優先し、きゅっと表情を引き締め、「演習場へ向かいます」と声を二人に声をかけてエレベーターに向かっていった。

 倉庫から一階に到着すると入ってきた時とは打って変わってロビーには誰一人おらず、嵐の前の静けさのように異様な程に静まり返っていた。


「決闘まで三十分を切ったので演習場の方に人が流れているのでしょう。表に車を呼んでいるのでそれで搬入口の方から入ってもらいます」


「あぁ」


「了解です」


「最後にこの決闘の監督委員として。両名とも健闘を祈る」


 機装局の前に停まった車に乗り込み、晴人と倉敷は決闘の舞台へ送られたのだった。

いざ尋常に。

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