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みんなで仲良く暮らしてる-⑥

 照れているのかと思ったが、その後、孤舟の口から紡がれた言葉は、思いもよらないものだった。


「……陰陽師が、全員良きものだとするのは間違いです。組織は多面体であり、人間を守る責務は、組織が持つ一側面でしかない。業種で判断するのは危うい。俺もまた、そういうものの一人ですよ。あなたをまだ、失望させていないだけだ」


 突き放すような言葉に、まただ、と感じる。


 また、線を引かれた。


 ここから先は決して踏み込んでくれるなと、言葉の端々から針のような警戒が突き出ている。


「あなたは、鬼がどういうものか、知っていますか」


 突然の質問に、桃子は戸惑う。どんな意図があるか分からないまま、考え考え絞り出す。


「えっと……角があって、人より強く、妖術が使えて……夜に、人を喰う、怪物だと」

「陽の光に弱いから、昼は人のふりをして暮らしている、と?」


 おそるおそる頷けば、ふ、と孤舟が笑った。

 いつもと違う雰囲気に、桃子の心はそわりと波立った。


「鬼というのはね、本来、人のふりをしているんじゃない。動物の皮を被って暮らす生き物なんです。伸縮自在の身体を、鼻や耳の穴、口からねじ込むようにしてね。人間の皮を被ることが多いけれど、彼らの獲物は人間だけではありません」

「被る……?」

「ええ。そうすれば、昼でも陽の光に当たらずに済む」


 知らなかった。呆然としていると、孤舟が続ける。


「陽の光に弱い、というのは正確に言うと、陽に当たると寿命が減るということです」

「減る、って」

「鬼は命をたくさん持ってる。猫は九つ命を持つ、なんて言うでしょう? それと同じで、何度殺しても、命が全て尽きて、灰になるまでは死なないんだ。鬼との戦いが長引いているのはそのためです。だから陰陽師は、鬼の命が尽きるまで封印しておくか、全て使い果たさせるまで殺し続けるしかない」


「ちなみに、俺は封印を推奨しています」と孤舟は続ける。


「命を使い果たさせるのは至難の技だし、逃がした先で、もし……こどもでも作られたら、元の木阿弥どころの騒ぎではないですからね」

「はあ……」

「とにかく、鬼はそういう理由で動物の皮を被ります。けれど、皮が古くなると、些細なことで穴が空いてしまうんです。そうすると、鬼はまた別の皮を欲して動物を殺める。そうして中身をすっかり綺麗に食べ尽くしてしまうと、また、その皮を着て歩く。後には抜け殻のような皮が落ちているから、すぐに分かりますよ。……当然、鬼は、なるべく綺麗な、穴の空いていない皮を好みます。五体満足な皮を」


 父のことを言われているのだ、とすぐに分かった。

 心の柔らかいところを、無遠慮に針で刺された気がした。


「……父が、鬼に皮をやらないために、自分で、腕を切ったとおっしゃりたいんですか?」



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