みんなで仲良く暮らしてる-⑤
「そ、うだったかも、しれません。あの時は、理由も知らず」
「あなたが」
申し訳ありませんでした、と続けようとした桃子の言葉を遮るように、孤舟が言う。
「左近を労ってくれて、嬉しかったです。きっと左近もそう思ったはずだ」
「なら、いいんですが」
「そうですよ。あの子はああ見えて、悪意に敏感だ。それが今じゃ、あなたの隣でぐーすか眠っている。気を許している証拠だ」
「良かった。私も、左近くんが好きですから」
眠る顔を微笑ましく見つめる。
そういえば、初めて会った時も、警戒はしていた様子だった。打ち解ける速さは凄まじかったけれど。それに、打つ云々の話もある。狐だった頃に、人に手酷く扱われたのかもしれない。
そう。左近は、孤舟のことも、また打ちに来たのか、と言っていたのだった。
と、そこまで考えて、また疑問が湧きそうになって、慌てて頭を振って追い出した。
「さっきも、私に素振り用の新しい枝を見繕ってくれました。重さが足りないと言っていたのを覚えていてくれて。いい子ですよね」
「うん」と孤舟がしみじみ頷くので、それがまた微笑ましい。
「孤舟様は、良い方ですね」
ふと言えば、孤舟は
「……そんなことは、ないと思いますよ」
とうつむく。
「私、父が防人でしょう。だから、本当に驚いたんです。陰陽師様が私に術をかけたと聞いて。陰陽師様は人間の味方で、神様のようなもので、悪いことなど考えないのだと思っていましたから」
「そう」
「でも、その先で、孤舟様に出会えました。陰陽師様方の中にも、いい人と悪い人がいて、でもその中に孤舟様がいてくださるなら、信じられる。これからたとえ、どんな陰陽師様に会っても、それを思えば、あんな悲しい気持ちにならずに済みそうです」
ひどい目に遭ったけれど、真の慈しみを持つ陰陽師に出会えたのは僥倖だった。そう胸を張ると、孤舟はますますうつむく。




