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そこには狐もおりまして-⑩




 翌朝、桃子と左近は庭で掃き掃除の練習をしていた。素振りをしていたら、左近がやって来て、水を使わないほうがやってみたいと言ったからだ。


「そう、そんなに地面に押しつける必要はないですからね。箒が曲がらないくらいの力で横に動かして、そーっと」

「そーっと、そーっと」

「うん、上手です。そのまま一箇所に集めてしまいましょう」


 口ずさみながら、左近は落ち葉を庭から山へ掃く。元々桃子が使う用に作ってしまったので、左近には少し大きい簡易箒だが、彼は存外力が強く、うまく扱えているようだった。


「……一晩の間に何があったんですか?」


 声に振り向くと、いつの間にか縁側に孤舟がいた。解せない様子で二人を見ている。


「おはよう、孤舟!」

「おはようございます、孤舟様」

「はい、おはようございます。で、急に仲良くなってませんか?」

「昨晩、仲直りを済ませまして。ね?」

「うん! 桃子、桃子、これは? 掃いていいやつか?」

「そうね、それはこの箒で掃くには重すぎますから、山に返してしまいましょう。はい、投げて。それ、ポーン」


 二人で石を掴んで放り投げる。上手上手、と、手を叩いて喜び合っていると


「……本当に仲良しじゃないですか」


 と孤舟がジメッとした声を出した。


「なんだ、拗ねてるのか? 孤舟」

「別に、拗ねてなんか……」

「拗ねるな、拗ねるな! 左近は孤舟の、一番の友達だぞ!」


 あっけらかんとした快活な笑顔に、孤舟は少し面食らった後、「この人たらしめ」と恨みがましく言った。

 左近は言葉の意味が分からないのか、「ふーん?」と、こてりと首をかしげている。

 桃子は思わず声をあげて笑ってしまった。


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