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数学教師、吉川玲の非日常的な日常。
Chapter 1
もうどうにでもなれと思った。
もう、周りのすべてが消えてしまえばいいと思った。
疲れすぎている…と頭の中で声が響く。
ソファーで横になり、いつの間にかまた僕は夢の中に消えてしまった。
目が覚めると消し忘れた照明が僕を睨んでいた。
いつもの部屋のいつものソファー。
無意識に側に落ちていたスマホを触る。
反応がない。
充電が切れている。
もうだいぶ機種変更もしていない、古いケータイだから充電がもたないのも仕方がない。
部屋を見渡し壁に掛けた時計を見る。
朝の五時。
中途半端。
そう思った。
早すぎもしないが、遅くもない。
今日も仕事に出かけなくては。
そう思ったが、同時に、嫌だなと思った。
朝の八時。
いつものように僕は学校に来ていた。
これから朝礼だ。
教室で、ではない。
職員室で、だ。
ここで自己紹介をしておく必要があるだろう。
僕は吉川玲。数学教師をしている。