7話 サッカー部のアイドルとの夜のデート?
読者の皆様、作者の大森林聡史です。
この度は、この小説を気にかけていただきありがとうございます。
よろしければ、内容もお読みいただけると幸いです。
宜しくお願い致します。
香川達の学校は、夏休みとなり、8月の始めに香川は、サッカー部の合宿に参加した。
厳しい練習の毎日の中、ある日の夜、肝試しが行われる事になった。
肝試しは、二人一組で、マネージャーも参加する事になっていた。
サッカー部のマネージャーは、3人おり、相手はくじで決める事になっていた。
サッカー部の部員達は、当たれと願いを込めて、くじをひいた。
香川の相手は、マネージャーの中園だった。
「よろしく」
「う、うん……よ、よろしくね」
「ん? 怖いの?」
「う、うん……香川くんは怖くないの?」
「全然」
「そ、そうなんだ……羨ましい」
「よーし、じゃあ行くよ!」
「あっ……待って……」
「どうしたの?」
「絶対置いてかないでね……」
「もちろん。 俺についておいで」
香川と中園は、懐中電灯1つもって肝試しにでかけた。
合宿所は、山奥にあり、近くの広い公園で行われた。
この公園は、雑草が生い茂っていて、無音に近い状態で、辺り一面真っ暗だった。
「暗いよ……怖いよ……」
「大丈夫だって」
香川は、中園を慰めるように声をかけた。
「うん……」
「しかし、もう少しマシなとこは無かったのかな……」
公園の中は、雑草が生い茂り、ガサッガサッっと雑草を掻き分けて進まないといけない場所もあった。
「うぅ……何でこんなとこに来なきゃいけないの……」
「きゃっ!!」
「ん?」
急にガサガサッと音がして中園は、悲鳴をあげ、思わず香川の腕にしがみついた。
「な、なに……?」
中園は、香川の顔を見つめた。
その表情は、泣きかかっている。
「たぶん、野良猫かなんかやろ、安心して」
「そ、そうかな? うん……」
そのまま、公園の中を進んでいくと、古い滑り台の前に着いた。
「あっ!」
「どうしたの?」
「ご、ごめんなさい!」
中園は、香川の腕を、慌てて離した。
「い、痛かったでしょ?」
「大丈夫、俺の腕で良ければ、掴んでいいよ」
「あ、ありがとう……」
「ところでこれ……滑り台か?」
「そうなのかな……?」
二人が、懐中電灯で照らしながら滑り台かどうか調べようと近づこうとすると
「ドダダダダダターッ!」
「きゃーっ!」
何者かが、滑り台を一気に駆けおりた。
思わず中園は、驚いて悲鳴をあげた。
「うぅ~、もうヤダ! 香川くん! 引き返そう! 帰ろう!!」
「えっ!? いや、まだ中程だよ、多分」
「う……わぁーん……グスッグスッ……」
香川は、困り果ててしまい、中園が泣き止む方法を考えた。
(うーん……困ったぞ……中園さんがここまで怖がりだったとは……こういうときは頭なでたりしてあげた方が良いのだろうか?)
「中園さん、大丈夫、ちゃんと無事に帰れるよ」
「俺も一緒にいてあげるから」
「ね、一緒に頑張ろう」
香川は、とりあえず言葉で励ましてみることにした。
中園は、まだ泣いている。
(うーん、どうすりゃ良いんだ? よーし思いきって……)
「中園さん」
「ん……?」
「嫌かも知れんけど、手繋ごうか?」
「……うん」
(やった!)
香川がそっと手を差し出すと、中園はそっと手を握った。
(中園さんの手、小さいな……)
2人は、手をつないで歩き始めた。
香川は、女の子と手を繋ぐのははじめてで少しドキドキしていた。
しばらく歩くと、中園も泣き止んだ。
「ごめんなさい……」
「何を謝るのさ?」
「あんなワンワン泣いちゃって迷惑かけて……」
「ああ、気にしないで」
少しの間、香川は、何か言えないか考えた。
「それにいつもマネージャーには支えてもらってるからさ、少しは恩返しできたのかもしれないし」
「恩返しだなんて……」
「ほんとにそう思ってるよ」
「ありがとう……」
「さ、もうちょっとだろうから、行こう」
「うん」
香川は、中園の手を引いて歩き、肝試しのゴールについた。
「あ~、やっと着いたぁ……」
「ははっ! よく頑張ったね」
中園は、思わずその場に座り込み、香川は、中園を労った。
「ありがとう」
「ん?」
「香川くんがいなかったら、私どうにもできなかったわ……」
「いやいや、中園さんもよく頑張っ……」
「かーがーわーっ! てめぇっ! マネージャーに何しやがったぁ!!」
話の途中で、香川は強引にチームメートに連れていかれてしまった。
香川は、連れていかれながらも中園に笑って手を振り、中園もニコッと笑って手を振り返した。
数日後、サッカー部の夏合宿は終わった。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
長い文章に、お付き合いいただき、心より感謝申し上げます。