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5話 初めてのデートのお誘い 

読者の皆様、作者の大森林聡史です。

この度は、この小説を気にかけていただきありがとうございます。

よろしければ、内容もお読みいただけると幸いです。

宜しくお願い致します。

 ダブルデートの後、香川と白川は、普通に話せるようになった。

 5月の下旬のある日、香川は、一人で校門を出ようとする、白川を見つけ追いかけた。


「おーい、白川さん!」

「あっ! 香川くん」


 白川は、香川の声に反応して、振り向いてニコッと微笑んだ。


「一緒に帰ろ?」

「うん、いいわよ」

(早く言わないと……)


 香川と白川は、バス通学なのだが、路線が違っていた。

 それもあり、香川は、内心少し焦っていた。


「あ、あの俺とさ……」

「うん?」

「一緒に遊びに行って欲しいんだ……」

「えっ!?」


 白川は、驚いた様子で言った。


「ダ、ダメかな……?」

「え? うーん……」

(や、ヤバいのか!? この反応)

 香川は、冷や汗ダラダラで緊張の糸が今にも切れそうだった。

 一方、白川が黙って考え込んでいると、白川が乗るバスがきてしまった。


「あっ……このバスに乗らなきゃ……」

「返事は、今でなくて大丈夫。乗って帰りなよ」

「あっ……うん……ごめんね」


 香川には、白川が申し訳なさそうに見えた。

 香川は、無理に笑ってみせ、手を振った。

 そして、バスが出ていった。

 香川は、ふぅっと息をついた。


(アカン……どっちなんやろ? 気になって仕方ない……)

(でも、言えたぞ! 後は相手次第だよな……)

 

 香川は、誘えた事に満足感を覚えたが、やはり心はドキドキしていて落ち着かなかった。

 一方、白川もバスに揺られながら考えていた。

 考え込んでいるうちに、頬が赤く染まっていた。

 翌日、2人は下駄箱でばったりと会った。


「あっ……」

「おはよう、白川さん」

「あ、おはよう……」


 香川は、いつもと変わらず挨拶をした。

 実は、香川は、昨晩中田に電話で相談して、普段通り振る舞った方が良いんじゃないか、答えを急かさないように注意するようにアドバイスを受けた。


「昨日の事だけど、返事はできるときで良いからね」

「あっ……うん……ごめんね」


 香川は、気さくに笑ったが、白川は、逃げるように行ってしまった。


(うぅ……そのごめんねは、どのごめんね?)


 白川が去った後、香川はどっと気疲れした。

 その日の昼休み、香川は白川に中庭に呼び出された。


「ごめんなさい。わざわざこんなとこに連れ出して」

「いや、いいんだ」


 平然を装っているが、香川の心は、緊張で今にも押し潰されそうだった。


「昨日の遊びに行く話なんだけど……」

「う、うん……」


 香川は、心臓の鼓動がドクンドクン耳に響く程ドキドキして、さすがに動揺を隠せなかった。


「うん、良いよ」

「え?」


 香川は、思わず耳を疑った。


「……」


 白川の頬は、少し赤く染まっていた。


「い、良いって言ったよね?」


 白川は、黙って頷いた。


「や、やったーっ!」


 香川は、思わず大声で叫んでしまった。

 心は、飛び上がって喜びが爆発しそうなくらい嬉しかった。

 

(そんなに嬉しいんだ……)

「それじゃ、どこに行こっか!?」

「そうね……ちょっとすぐは決められないわ」

「そっか、じゃあ俺も考えとくから、白川さんも考えといて!」

「うん……」


 香川は、声が弾んでいた。

 その後、2人は、携帯電話の連絡先を交換し、教室に戻った。

 そんな2人に、ジーッと視線を送っている人がいた。


(あれは、香川と白川さん……もしかしたら先を越されたか……)

 

 菅原だった。

 菅原には会話が聞こえて無いのだが、雰囲気で察した。


(だが、まだチャンスはあるはずだ。負けないからな、香川!)


 菅原は、好敵手を歓迎するように不適に笑い、去った。

 その後、香川と白川は、遊びに行く日を話し合ったのだが、なかなか都合が合う日がなく、遊びに行けないまま、時は流れ、7月の中旬になった。

 もうすぐ夏休みである。

 香川は、部活の練習を毎日休む事なく続け、必死に練習に食らいついていた。


(あいつ、下手だが、練習に取り組む姿勢はNo.1かも知れん……) 

(香川くん、最近すごく頑張ってる)


 そんな香川を見つめる視線が2つあった。

 1人は、2年生の新キャプテン熊田で、もう1人は、マネージャーの中園だった。


「はい、香川くん」

「あっ、ありがとう、マネージャー」


 中園が、香川にドリンクを渡した。


「香川くん、最近ほんとにすごく頑張ってるね」

「俺は、みんなより下手だからみんなよりも練習しないと上手くならないからさ」

「そんなことないよ」

「ははっ! ありがとう。でも、自分が1年の中でも1番下手なのは自覚してるんだ。だけど、下手なまま終わらないように頑張るよ」

「凄いね……でも、無理しないでね」

「ありがとう。じゃ、練習に戻るから」

「はい」


 中園は、練習に戻る香川の背中を眩しそうに見つめた。

 そんな毎日を送っている、ある日……


(ふぅ……今日はちょっと遅くなったな、腹減った)


 バス停に、香川が知っている女の子がいた。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

長い文章に、お付き合いいただき、心より感謝申し上げます。

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