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#9 戦闘(前編)

この話と次話を考えてる内に別の小説の構想も考え始めてしまいました…。なんで、更新が遅くなるかもです。

「んふ♪健全な心は健全な肉体に宿るって、ね!!!」


化物に回し蹴りを放つムキムキ男。ゴィンッ!!!!と、鉄の塊を叩き付けたかのような鈍い音が響き、腕をクロスさせて蹴りをガードした化物が10m近く吹っ飛ぶ。


「健全って…。洒落になってないッスよ」


そう言った茶髪の青年は高く飛び上がる。裕に10m以上の大跳躍。


一瞬空中で止まり、矢の様な速さで化物の頭へと落下した。



 ズドオォォォン!!!!と地響きが鳴り、まるで隕石が落下したかのようにクレーターが出来た。



「チッ。すばしっこいッスね」


化物は数m後ろに下がることで青年の攻撃を回避していた。



 化物は羽を拡げて飛翔し、腕を振り回す。



「見えない刀、ねん♪厄介よねぇ〜。京ちゃん、アタシの後ろに♪」


京ちゃん、と呼ばれる茶髪の青年はムキムキ男の後ろに身を隠す。


「毎度すまないッス、元…マリンさん!!」



あのままでは二人ともバラバラに切断されてしまう。



「おい、逃げろ!!バラバラにされるぞ!!!」


 陸はそう言ったが、ムキムキ男はニヤリと笑っていた。



「あらん♪ボロボロだけど、結構良い男じゃな〜い♪心配してくれてるの?カワイイわね〜♪」










 化物と出会った時とはまた違う悪寒が全身を駆け巡った。




 化物の糸がムキムキ男に迫る。



先程の福間達の光景を思い出した陸は、反射的に目を瞑る。







ズパァッ!!!


何かが切り裂かれる音がした。









だが、バラバラになった身体の崩れ落ちる音がしない。






 ゆっくりと目を開けると、化物の糸をまともに食らった筈のムキムキ男が、平然と立っていた。



「あンもう、服切れたじゃない♪」







服で隠れていない露出した肌が全て、…真っ黒に変化して黒光りしている。



化物は立て続けに腕を振るうが、ムキムキ男の身体は一行に斬れる様子がない。


「無駄よん♪今のアタシには効かないわん♪」


そう言って化物に突っ込むムキムキ男。化物と接近で殴り合ってるが、やはりムキムキ男にはダメージは無さそうだ。




気付いたら隣に京ちゃんと呼ばれていた茶髪の青年が。

「大丈夫ッスか?戦闘に巻き込まれ無いよう、安全な位置に移動させて頂くッスね」



やんわりと笑みを浮かべる青年。


俺より小柄にも関わらず、軽々と俺を背負う青年。


「あ〜足が折れてるッスね。茜ちゃんに任せればいいんスかね?」


ブツブツと一人言をつぶやく青年。


「アンタ達は…一体?」



「えぇ〜っと…。後で隊長が説明すると思うッスから、今は気にしないでいいッス。ちょっと痛むかもしれないッスけど、我慢して下さいッス!!」



 腰を低く屈めると、一気に駆け出す青年。俺を背負っていると微塵も感じさせない走り。しかもあり得ない程速い。



(痛っ…!!てか今『隊長』って言ったな…コイツ等は複数で動いている?)




 俺と青年が移動しているのに気付いた化物が腕を振るう。


「おっと。危ないッスね〜」


素早く腕の軌道から離れ、出口付近へと向かう。


「あらあら♪浮気かしらん?アンタの相手はアタシでっ…しょ!!!」


横から化物にタックルをかますマリンと呼ばれていたムキムキ男。


グシャアァ!!!!


と、トラックと軽自動車が衝動したかの様な音が響き、化物がコンテナに突っ込む。




「どうもッス、マリンさん」


「あら♪お安い御用よん♪」




入口付近に降ろされる。


「痛って……」


「すまないッス。まぁでもスグに治るッスから安心して下さいッス!」


「????」


スグに治る?コイツラは普通じゃない。何らかの特殊能力を持っている。傷を癒す能力を持つ奴がコイツの仲間にいるのか??







………面白い。俺が望んでた非日常ってのは確かにあった。



 ゲームの中にしか無い筈の光景が今、陸の目の前にある。常日頃から現実に退屈していた陸にとっては、その事は大きな喜びをもたらした。


「…なあ、俺にもあんな力があるのか?」



京ちゃんと呼ばれた青年は首を傾げて唸った。


「う〜ん…。どうなんスかね〜…。『剛魔』を昼間に感知したんスよね?なら可能性はあるッスね」


「…『剛魔』??」


「あの化物の事ッスよ。後で詳しく話はするッス。自分はそろそろマリンさんの加勢しないと…作戦がパーになっちゃうッスよ」


 京ちゃんと呼ばれた青年との話に夢中で気がつかなかったが、マリンと呼ばれたムキムキ男は化物に押され始めていた。




「んじゃ、君はここから動いちゃダメッスよ」


すると京ちゃんと呼ばれた青年の通信機から声が。



ザザッ…

「こちらAポイント。状況が確認したい。生存者の人数とヤツの見えない刀の射程距離は把握出来たか?」


「こちら京介。残念ながら生存者はターゲットのみッス。ヤツの見えない刀の射程距離は…未だに掴めて無いッスね…今マリンさんが交戦してるッスけど、状況は芳しくないッス」


「…そうか。仕方ない。無理にでも作戦は決行する。桐崎、準備は出来てるか?」


「ウチはいつでもオッケーやで!!ただ相手の射程距離が分からへんのがなぁ〜。気付いたらバラバラなんて笑えへんで?」


通信機から聞こえる声。どうやらコイツラは化物の得物が刀だと思っているらしい。


「なぁ…。京介、だっけ?」


「…?なんスか?今忙しいから出来たら手短にお願いするッス」


「あの化物の得物は刀なんかじゃないぞ?」



「…なんで素人のキミが分かるんスか?んじゃ、刀じゃなかったならなんなんスか?あ、別の刃物だっていう答えは無しの方向で」


 京介の声が真剣になる。その声には素人に分かる筈が無いと、若干の侮蔑が含まれていた。


「…。化物の得物は手首から伸びる『糸』だ。強度は分からんが、切れ味はワイヤー以上だった。俺が見た時は長さは2m程度だったけど、伸ばせる可能性もある」


「だからなんでキミが分かるんスか?」


「見たから、としか言い様が無いんだが…本当の話だ」


「…あれだけの速さで振るう得物がキミには見えたんスか?あり得ないッスよ」


京介の指指す先には未だ戦うムキムキ男と化物が。打撃音の中に時折斬撃の鋭い音が聞こえるが、速すぎて目では捉えられない。







陸が先程の現象をどう説明するか考えていた時、京介の通信機から声がした。


「その話、詳しく教えて頂けないかな?五所瓦 陸君」


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