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#10 戦闘(後編)

 執筆速度が恐ろしく遅くてすいません。構想は出来てはいるのですが…文章に変換するとなると速度が激減…。大変申し訳ないです。 ご意見、誤字脱字のご指摘等頂けたら幸いです。

「隊長!!彼は素人なんスよ!?」


「…確かに彼は素人だ。だが既に何らかの能力が芽生えている可能性も否定出来ない。そうだろう?諏訪」


「そうッスけど…」


「とりあえず参考までに、な?」


「…分かったッス」


コイツ、諏訪京介っていうのか。陸がそんな事を考えていると、京介は懐からもう一つ通信機を取り出して陸に渡した。


「予備の通信機ッス。メインより感度は悪いんスけど、自分がメイン着けて無いと隊長からの指示がわからなくなっちゃうッスから勘弁してくださいッス」


「あ、あぁ…」


「それじゃ、自分はマリンさんの援護に入るッス。間違ってもココから動いちゃダメッスよ?」


そう言ってマリンさんと化物の元に駆ける京介。


「さて、それじゃ教えてくれないか?五所瓦君。何故キミにはヤツの得物が見えたのかを。こちらもあまり時間が無くてね、手短にお願いしたい」


通信機から声がする。先程隊長と呼ばれていた人物の声だ。


「アンタは誰だよ。俺の名前を何故知ってる?話はそれからだ」


「ふむ…こちらは時間無いと言っているんだが…まぁいい。私は黒峰 影月。何故キミの名前を知っているか、それはキミがヤツに狙われていたから。勝手で申し訳ないが、身辺調査をさせてもらった」


「おい、黒峰さんよ。プライバシーの保護って言葉知ってるか?訴えんぞ」


「…頭の良いキミなら既に感付いているのだろう?私達は非公開組織であり、『剛魔』に関する情報は全て隠蔽している。建前上存在しない組織をどうやって訴えるつもりかな?」



(『剛魔』とやらの情報もコイツラの組織も隠蔽されてるってか…てコトは今コイツが名乗った名も本名かは分からない、か)




「チッ…。わかった。上手く説明出来るか自信はねぇが、な」



 それから俺は先程起こった出来事を話した。










「ふむ…。何らかの能力がキミに芽生えているのは間違い無いな。ヤツの攻撃の原理も理解出来た。感謝する」


そう言って黒峰は陸との通信を切る。



「全体に告ぐ。作戦を決行する。予定通り私と諏訪でヤツの動きを封じ、桐崎君とマリン君で仕留める。圓谷君、一之瀬君は五所瓦君の援護を頼む」


「分かったッス!!」


「ウチが仕留めたる!!」


「んふ♪隊長の為なら、アタシ頑張っちゃう♪」


「…了解」


「はい!精一杯…守り…ます!」




「カウント…5 4 3 2 1」




ダンッ



 その音が京介の駆け出した音だと気付くのに3秒はかかった気がした。



「オォオオォォォ!!!!」



京介が拳を握って、化物に矢の様な速さで突っ込む。


化物は『糸』を振るうが、彼の身体の周りのみ不自然に軌道が逸れる。傷は付くものの、致命傷になるほどに深くは斬れない。


化物の懐に潜り込んだ京介は渾身の力でアッパーを繰り出す。


「グラビトン・ハンマー!!!!」




バガン!!!!


音と共に地面が割れ、化物の身体が3mは浮き上がる。



「隊長頼むッス!!」



 いつの間にココに入って来たのか、眼鏡を掛けた、どこか中世的なイメージを感じさせる男性がコンテナの陰から出てきた。


「…縛鎖」


男性が呟くと、化物の足元の影から無数の鎖が飛び出し、化物を捕えた。


「固定するッス!!!」



化物から10m程離れた位置で、両腕を前に突き出す。


「重力領域+(ヘヴィフィールド・プラス)!!!!」


化物の周囲の空間が歪み、ミシミシと不気味な音をたて始める。


「つっぶっれ……ろおぉぉぉぉ!!!!!」


空間の歪みが顕著になり、化物が膝をついた。身体を起こそうとしているみたいだが、不可視の力がそれを許さない。





「す…げぇ…」



ジャリッ、ジャリッ



陸が見とれていると背後から足音が。



 振り返ると、明らかに小学生風な女の子と、陸とタメ、若しくは1つか2つ上に見える、長い黒髪をポニーテールにしたモデルの様にスラリとした体型の女性が立っていた。


「だ…大丈夫です…か?今、治療…しますから」


「ふん、アレと対峙してまだ息があるとは…運が良いですね」


陸を心配する少女とは裏腹に、細身の女性は冷ややかな言葉を浴びせてくる。


「まずは…軽い傷から、治して…折れた足は…最後が…良いか…な?えっと…圓谷さん…護衛…頼み…ます」


「承知した。茜は彼の治療に専念してください」



圓谷と呼ばれた女性はそう言うと、腰に差した日本刀を柄からスラリと抜いた。


「へぇ、何でもアリってか…?」


陸がそう言うと、圓谷は前を向いたままこちらを一別してニヤリとした。


「そういう事です。些事は気にしない方が賢明です」




「…来たみたいですね。あの派手好きめ」


圓谷はそう呟いて上を向いた。


つられて陸も上を向く。月明かりや電灯の灯かりに照らされた誰かが、天窓を叩き割って飛び込んで来た。


「いっくで〜!!!」


 陸より年下に見える関西弁の女の子が降って来た。しかも両手に拳銃を携えて。


ダンダンガンダン!!!!


撃った時の反動を上手く殺しながら化物の周囲に銃を乱射する。


「隊長〜!!キャッチ頼むで〜!!!」



眼鏡男は目を閉じて呟く。


「…トランポリン?」



女の子の落下地点に黒いトランポリンが生まれた。


女の子は背中から着地した。



 がしかし、強度が足りなかったのか、トランポリンは破けて女の子はお尻から地面に落ちた。


「痛ぁ〜〜!!!!隊長アンタ何してんのや!!」




「いや、スマナイな桐崎君。イメージが上手くいかなかった」


「スマンで済むなら警察いらんわ!!尾骨折れてたら慰謝料請求するさかい、覚悟しぃや〜!!」



「…一之瀬君に治して貰えばいいのでは?」



「そういうんとちゃうねん!!キモチの問題やろ〜!!!」


「…ま、まぁ今はヤツを討伐するのが優先だ。その話は後だ」


ジト目で隊長を見る桐崎。


「…まぁええわ。今は、な。アレ殺すの優先なんは確かやし」




 桐崎の身体からバチバチという音と共に青白い電気が流れ、その影響で髪がフワフワとうごめく。



そのまま腰のポーチに手を入れ、野球ボール位の鉄球を取り出す。


右手に鉄球を握り、その手に左手を添える。



バチバチと鳴る音階がどんどん高くなり、身体に纏った電気が鉄球に集約していく。



桐崎は大きく振り被って叫んだ。



「ピッチャー第一球、ん投げましたあぁぁぁ!!!!」 鉄球は化物の頭上へ。すかさず桐崎は両手を合わせ、電撃を鉄球に撃ち込んだ。


荒魂御雷(あらたまみかずち)!!!」



近距離で落雷があったかのような轟音が轟き、鉄球から産み出された雷の柱が化物に直撃する。



「キシャアァアアアァァァ!!!!!」


化物の叫びが響く。


化物を貫通して落ちた雷は地面に多数撃ち込まれた銃弾に分散・集束し、再び鉄球に戻っていく。


「落雷5回も食らえば、とりあえず死ぬやろ」


平然と言い放つ桐崎。



2度目の落雷。これが後3回続くらしい…。


陸はその光景をただ呆然と見ている事しか出来なかった。









 5度目の落雷が終わった。もう化物はウンともスンとも言わなくなっていた。


「死んだの…か?」


「いいえ♪まだみたいねん♪」



 化物が目を開く。殺気の質が変わったのを陸は肌で感じ取った。死が間近に迫っているからだろうか。


今まで立ち上がりも出来なかったのに、ゆっくりと身体が持ち上がり始める。ギシギシと軋む音と共に外殻が所々剥がれ落ちる。


「ヤバいッス!!!…抑え切れない!?マリンさん!!急いで下さいッス!!」



「ま・か・せ・て♪京ちゃぁ〜ん♪頼むわよん♪」



 ムキムキ(マリン)は両の手の平にポケットから出したサバイバルナイフを突き立て、鮮血が滴るのも構わず引き抜くと、京介の元に駆ける。


「任せるッス!!でえぇえい!!!!」



京介はマリンの両腕を掴み、化物の遥か頭上に放り投げた。


「いっくわぁ〜ん♪『カーボンブレード・(ごう)』!!!!」



 手の平を合わせ、ぐるぐると縦回転しながら高速落下するマリン。






チェーンソーで物を切断する様な音がして、化物は真っ二つになった。












そして、苦しそうな呻き声をあげ、ゴボゴボと泡を立てながら消えていった。

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