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22 ギルドへ

翌朝、いそいそと冒険者装備に着替えるとプラチナは塔から出ていった。


森を突っ切って学院の敷地を出る。気合いを入れるためにも今日は赤のリボンで髪を一くくりにまとめていた。


歩くたびに髪が右に左に揺れる。


やっぱり重たいけれど、ロングソードを背負って歩けば気分だけは一級冒険者だった。


朝の街は既に道行く人で活気づいており、通りには商人の威勢が響き渡る。

艶やかに輝くリンゴ、爽やかな香りを放つレモーネ、みずみずしい果汁ではち切れそうなマスカット…そうかと思えば隣には見たこともない異国の果実が山と積まれていた。


「美味しそうだわ」


顔を綻ばせて屋台を見つめた。


「お、いらっしゃい! こりゃまたえらいべっぴんの嬢ちゃんだねえ! 安くしとくよ!」


恰幅のいい40代前後のおじさんがニカッと笑って声をかけてくる。プラチナは食べたいものを選びそうになったが、はっ!と思い出したように首を振った。


「私、お金を持ってないの」


ごめんなさい、と申し訳なさそうに謝ると商人は途端にそれまでの愛想を顔から削ぎ落とした。


「何だ、冷やかしかい。商売の邪魔だよ、行った行った」とにべもなくあっさり追い払う。

追い払われたプラチナはと言うと、お金がないという事実による人の変貌ぶりに度肝を抜かれて呆気にとられた。


「ま…まぁ…失礼いたしましたわ…」


かろうじてそれだけ言うと、先を急いだ。


しばらく行くとギルドが見えてくる。

「ごめんください」と挨拶し、木で出来た扉をそっと開けた。きぃ…と軋む音を響かせて入ると、中は既に人で賑わっている。獣人や人族、トカゲ人、奥の方で取り引きしているのはドワーフだろうか。


(こんなにたくさんの人がいたんだ)


あの時とは違って、ちょっとだけ余裕を持って辺りを眺められる。


「おう、来たか」

カウンターの一角にもたれ掛かるようにしてエリックさんが立っていた。


「おはようございます、エリックさん」


駆け寄って挨拶すると、軽く返事をしてくれる。エリックはカウンター越しに話していた人に「調合セットつきのマジックポーチを一つくれ」と声をかけた。


カウンターの中にいる耳の尖った美人…多分、エルフ族だ…が一度奥に入ると小さな革製のショルダーポーチを持ってきた。


「どうぞ。金貨10枚よ」

「高いな。金貨5枚だ」


8枚よ、いいや6枚、無理言わないで8枚よりはまけられないわ…と掛け合いを続けていたが、結局金貨7枚と豆金貨5枚で商談が成立する。


二人のやり取りをプラチナは息もつけずに見守っていた。


「ほら、お前のだ。無くすなよ」


ぽいっと放って寄越されると、まだ呆けていたプラチナは「わわっ!」と声を上げる。

胸元でしっかりキャッチしたポーチは外からでは何も入っていないようにしか見えないくらい小さかった。


細く編み込まれたやや太めの革紐に細い糸のタッセルが一つずつ付いている。本体とそれを覆うように被さる蓋の2箇所からタッセル付きの革紐は垂れ下がっていて、それらを縛って口を閉じる作りになっている。


鞄の中を覗いても中には何も入っていない。


「マジックポーチだからな。何も見えねえよ。使い方はまた教えてやる。行くぞ」


さっさと歩き出したエリックに遅れまいとプラチナも外に出た。











あとがき

果物の名前が思いつかないです。

レモンだけレモーネじゃ、ちょっと…と思ったんですが。

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