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サークルワールド HERO ~一期一会編~  作者: 葱原龍乃介
第十一章 獅子閃煌王
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序章 〜第二大陸へ〜






『大陸は今一度『ひとつ』になるべきだ



          故に『国』は滅びるべきだ』




  ―――古代文学歴史書『天帝(あまみかど)の軌跡』から抜粋















―――かつてこの世界の各大陸には、『国』と呼ばれる領土形態があった

異なる面積・形・法律・産業・文化・言語・階級・財産・権利…

1つの大陸に10を超える『国』が存在し、そこを治める個別の『国王』が独自の『王国』を形成していた

しかしそれこそが『破滅』をもたらした

『違い』がそこにあれば、そこには必ず『()()』が起こる

血みどろの争いが繰り広げられ、敗者は全てを奪われ、勝者は更に力を増した

国同士が潰し合い、争いあった大地は荒れ果て、誰も止められない程の勢力を持ち、『国』は強くなっていった

中央大陸『セントレイン』はその争いにより、当時居た人口の僅か3分の1まで人口が減ってしまった

その『余波』は現在にまでおよび、中央大陸の大部分が木々に覆われた自然になり、街も過疎(かそ)化し人口も伸び悩んでいる




………そんな世界情勢を止めるべく、ある『男』が立ち上がった

その男の頭名(あたまな)(名字のこと)は『天帝(あまみかど)

『彼』が武器を手に取り戦ったのはおよそ300年前

しかし『武力』ではなく『()()』で

『国同士が争いをするならば、国そのものを無くせばいい』

彼はその『意志』を掲げ、大陸に住む『民』の協力を得ていった

多くの人々がその『意志』に賛同し、ほとんど血を流す事なく『国』そのものを廃止した

得る物よりも失う物の方が多い『争い』を望む者は少なく、やがて各国がそれぞれ所有する兵隊『王国騎士団』すらも、『天帝』の『意志』に賛同していった

『国民』は『国王』に反旗を(ひるがえ)し、国はその領土形態を維持出来なくなっていった

…『天帝』は中央大陸を治め、ある『政治』を行った

『大陸を1人の『陸王(りくおう)』が治め、『全大陸共通項目』を定める』

『国』は無くなり『言語』を統一、『法律』を制定し『組織』をまとめた

その影響を直に受ける中央大陸は、その『政治』の模範とも言えるだろう

そうやって大陸は『ひとつ』になっていった




…しかしこれまでの旅で、それはきちんと()()()()()()()と疑いたくなる

各地域に『特化区域』を設けたり、『人間』と『獣人』が分れていたり…

大陸の『基盤』は作られてはいるが、そこに建てる『()』が問題だった

『争い』は消えた…しかし『問題』は消えはしない






そしてそれは………これから向う大陸でも同じである





























「………これから向う大陸は第二大陸『サンズバルトル』。 下手すれば…今までの大陸の中で一番()()かもしれないな」

青年の声が船の中から聞こえる




―――ここは海上…そして彼らは『船の中』に居る

生命エネルギー『ソウル』を使用して動く、見た目は小型の漁船に似た白い『魂機船(そうきせん)』である

鉄と木で作られたこの船は頑丈、かつ小型ではあるが船内は思ったよりも広く快適

個室が二部屋と操舵室(そうだしつ)が一部屋、食事も出来る談話室が一部屋と合計四部屋もある

その談話室に、合計6人の男女が集まっていた

彼らは1()()()()()、少し硬そうな2つの茶色のソファに座っていた




「第二大陸『サンズバルトル』は大きく分けて『3つ』の『権力者』が治めてる。 『レオンライト』『べアルランテ』『狩獲猟(かとり)』…1つの大陸を、3つの地域に分割してそれぞれの権力者が別々に治める大陸だ。 だからこそ、()()()()()()()()()()()()()()()

彼の名は『白鷺(しらさぎ)シード』

白いTシャツと紺色の長ズボンを履いて茶色い半袖の上着を着る、身長170センチ前半で短く薄い茶髪の冷静沈着な『人間』である

少し大人びた声で5人に話しかける

「んな大陸になんで俺達が行かなくちゃならねーんだ?」

彼の名は『緑堂(りくどう)ジンビス』

白いTシャツで黒の短パンと黒のジャンパーを着る、上に短くしっかりと伸びた黒髪で身長170センチ後半の不良青年な『人間』である

少し威張った声で返す

「でも一番近い大陸はそこしかないわ… ここから別の大陸に行けるほどの『ソウル』も食料も無いし…」

彼女の名は『イェロン・キュバス』

紺色の修道女の服装をしており、背中の中心まで伸びた美しい黄色の長い髪で身長150センチ後半の容姿端麗(ようしたんれい)な『獣人』である

優しそうな声でジンビスに言う

「…地図を用意します…あらためて確認してみましょう…」

彼女の名は『スイ』

タートルネックに似た黒い布の半袖の服と太ももまでしか丈がない黒いズボンを履き、白い瞳と白いショートヘアーの身長140センチ前半の泰然自若(たいぜんじじゃく)な『エニグマ(魔物)の血を持つ人間』である

高めの暗めな声で言い、ササッと地図を机の上に広げる

「それじゃ、私達の『航路』もついでに書くわね」

彼女の名は『青原(あおはら)ミーシャ』

青いボーダーラインが入ったTシャツと白いベストに大小様々なポケットが付いた丈夫そうな薄青いズボンを着用し、長い水色の髪のポニーテールで身長約160センチの元気溌剌(げんきはつらつ)な『人間』である

明るく元気な声で言い、地図に線を書いていった












                   現在地

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「………こんな感じかしらね? 今は右上の海上に私達は居るのね?」

「そうだな。 明日か明後日には第二大陸に着くはずだ…この船もそこそこの速度が出てるが、大体それぐらいの時間はかかるだろうな」

シードはミーシャが記入した地図を指差しながら、5()()に説明する

「第二大陸は第三大陸と同じく一触即発の状況…だから俺達の乗るこの船が港に到着した所で、大陸に入れてはくれないだろう…こんな所属不明の怪しい船に乗る俺達は信用もされない。 …第二大陸に着いたら港じゃなく、どこか適当な陸に上がって徒歩で街を目指すぞ。 とりあえず第1目標地点は『レオンライト』の治める『王都』…そこに『陸王(りくおう)』も居るはずだ…治安も悪くないだろう」

「…『陸王』も居るって…どういう事? 前の第三大陸『リーバイド』と似た感じで、3つの権力者が居るなら何人かの『陸王』が居るんじゃないの?」

「あの第三大陸が変わってるだけで、『全大陸共通項目』で『陸王は必ず1人しか居ない』と定められている。 第二大陸は『レオンライト』の『陸王』1人のみだ。 …それでも他の権力者がバラバラで治めてるけどな」

「…そのあとは…どうするのでしょうか…?」

「『王都』に着いた後、必要な物を取り揃えて移動手段も確保する。 目指す第2目標地点は『狩獲猟(かとり)』の治める『王都』…そこから第3目標地点の『()()()()()()()()()()』を目指す。 最終目標地点の『第四大陸』を目指す…これが俺達の目指すべき『航路』だ」

シードはスイの質問に答えると、そこでスッと立ち上がった

「……で? ()()()()()()()()()()() ()()()()

シードは部屋の隅に歩いて行き、そこに座り込んでいる少年に話しかけた

「………」

彼の名は『(あかつき)アレス』

白いTシャツと青い半ズボン、赤白の薄い上着を軽く羽織っている身長約165センチの小柄な体格でツンツンの黒髪が特徴の…今は意気消沈(いきしょうちん)な『人間』である

沈んだ声で返事をする

「……シードにまかせる……分からないから…」

「……全く……」

シードは大きめなため息をはいて頭をかき、少し大きめの声でアレスに言った

「いいかアレス…! お前の思い描いてた『理想の英雄像』が打ち砕かれたからって、お前が()()()()になっても意味がねぇんだぞ…!? しっかりしろっての! …あの『紫村(しむら)リト』にも、何かしらの理由があったはずだ…()()()()()()()()()()()()が必ずある…少なくとも『誰か』のためにってのは分かってる…アレスもそれは理解出来ただろ…?」

「………」

あれは未だに顔を上げない

「…落ち込むのは勝手だがな…あの時、リトの前から逃げる前に言った『あの言葉』…忘れてるんじゃないだろうな…?」

「………」




『『()()()()』…! 俺は…()()()にはまだ何も言うことは出来ない…けど! 俺がいつか『ヒーロー』と呼ばれるようになった時! 俺は必ず言ってみせる!! 『()()()()()()()()()()()()()()』って!!』




「…『元英雄』とは言え…そんなケンカを売るような真似したんだ… その『()()』と『()()』は出来てるんだろ…? ならそんな所で落ち込んでんじゃねぇぞ…!?」

「………」

「……おい…聞いてんのか…?」

「………オレ……作ったことないし……」

「……??」

シードはそっと、うつむくアレスの顔を下からのぞき込んだ

「……料理……うまいなシード……」

「………コイツ…」



ゴンッッ!!



シードはアレスの頭を強めに殴った

「んぁだっっ!!? な…なんだ!?」

「なんだはこっちのセリフだ! お前…寝てたのか!?」

「んぁ…シード? ごはん出来た…?」

「何の夢を見てんだ! 俺が心配してんのに…寝てたのかアレス!?」

「んぁぁ…なんか難しい話をしてたから…ちょっとすみっこで座ってたら眠たくなって…船って自然と眠たくなっちゃうね」

「ちゃうねじゃないだろ!? 全く…へこんでるんじゃないのかお前…!?」

「へこむ? なんで?」

アレスはキョトン顔でシードを見上げると、シュタッと立ち上がる

「もしかして『ヒーロー』の事か? そんなことだったら俺は何も気にしてないぜ!」

アレスは元気に笑う

「だって()()()()()()()()()()()()()()()() ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()() だからなにも心配ないだろ? ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「………」

シードは先ほどと同じ…いやそれ以上の大きいため息をつき、片手で頭を押さえる

「あぁ…そうか…お前は()()だったな… 心配した俺が悪かった…」

シードは気を取り直して、ミーシャ達の方を見て言った

「…とにかく第二大陸に到着するのはまだまだ先だ。 それまで各自自由に過ごせばいい…と言っても当然船の中だけだがな… 陸が見え次第、下船する準備をしておけ…陸に着いたらすぐに行動出来るようにな」

「オイ待てやシード…」

説明し終えたシードにジンビスが反論する

「俺とイェロンは別に第二大陸まで行くつもりはねー…テメーらを第二大陸で降ろしたら戻るぞ」

「ちょっ…ジンビス君…!?」

「あのリトってやつが何を考えてんのか知らねーが、ばあちゃんやアイツらを置いて俺達だけノンビリ他の大陸でダラダラ過ごせるかってんだ…誰に何を言われてもな」

「……まぁ当然だろうな」

シードは腕を組み、軽く(うなず)

「分かってんなら話は()えー…なら俺達は

「だがそれは現実的じゃない。 現実的な話をすれば、この船には『片道』しか動力が残ってない。 行って帰ってくるほどの『ソウル』が最初から備わっていない…当然『船を動かすためのソウル』だから、俺達で補充が出来るもんじゃない。 そして食料も無い。 ただでさえ隣の大陸に行けるだけのギリギリの食料しかないにも関わらず、往復する分の食料があるはずないだろう…」

「だったら

「仮に第二大陸に到着してそこで『ソウル』と食料を補充したとしても、()()()()()()()()()()()()()()分かってるだろう? 戻った所で、()()()()()()()()()()()()()。 それとも…俺を納得させるほどの『手段』と『論理』がお前にあるのか…?」

「ヌグッ…んん…!」

ジンビスは言葉に詰まる

「…その辺はイェロンの方がまだ分かってるみたいだな。 お前と違ってな」

イェロンは静かに頷く

「…今の私達じゃ…第三大陸で出来る事はありません… 完全なる力不足…『知恵』も『実力』も無いんです… でも…このまま皆さんと一緒に旅をして、少しでもそれらを身に付ける事が出来れば…! 第三大陸に戻った時に、きっと何か『力』になれると思うんです…! …それが何時(いつ)になるかは分かりませんが…」

「ま、『現状』の第三大陸じゃ何も手は出せないだろう…それはリトがそう言っていたし、実際問題その通りだ… だが『()()』の第三大陸のために、今ここで『力』を付ける事が出来れば…どうなるか分からないだろうな… イェロンの方がよっぽど現実を見てるぞ」

「………」

ジンビスはイェロンとシードに完全に『論破(ろんぱ)』され、静かにソファに座った

「…とにかくこのまま私達は皆さんと一緒に行かせてもらいます…迷惑をかけてしまうかもしれませんが、どうか宜しくお願いします…!」

イェロンは軽く頭を下げる

するとアレスはニッコリ笑った

「おう! よろしくなイェロン! これでイェロンも仲間に…! 一緒に『ヒーロー』を目指そうぜ!!」

「え…ええ…それはちょっと…」

「イェロンちゃんよろしくね! アレスの事はほっといていいわよ」

「…よろしくおねがいします…イェロンさん…」

「………」

和気あいあいとした雰囲気の中、シードは一人考えていた




『…私は…この森と、この教会の『外』にほとんど出た事がありません… 理由は…ちょっと複雑な事情があるからですが…そんな私は『外』に憧れて、『外』で()()()()()()()()んです… いつか私が…『外』に出れる時が来たら…その時は、アレスさん達と一緒に旅をさせて下さいね…?』




(確かアレスにそんな事を言ってた気がするな… イェロンは『外』に出たい、逆にジンビスは『外』に出したくない… 何かしらの『()()』があるのか…)

そう思ったのがほんの数秒、そして次には『別にどうでもいいか』と割り切ったシード

『自己中心的』と自分でそう思っているシードの典型的な部分である

「まあいい…とにかく、このまま第二大陸を目指す。 さっき俺が言った『航路』で進めるぞ。 異論は認めん…それでいいな?」




そうして、一行は船を第二大陸へと進路をそのままに進んで行った






































「………あれからどれくらい時間がすぎたんだ…? つーか…何が起こったんだ…?」

「……さぁな…」

「『さぁな』じゃねーだろ!? なんで…」












()()()()()()()()()()()()()()()()()()()










Q.そんなヨットみたいな船で2日間ぐらいで大陸の移動って可能なの?



「大前提として、この世界はそれほど広くない。 大陸間も思ったより広いもんじゃないんだ。 そして『大陸間横断船』はゆっくりと低速で大陸間を移動する。 それは『遊覧船』の意味も込められているからな。 だからその『船』よりも速度がある『船』ならば一日中進んでいればそれほど早く大陸に到着できる」

「それでもそこまでかかるのね…まあ一日中船を動かせば船自体の負担も大きいし、進路も海上じゃ把握しづらいから時々進路を調節するために速度を落としたりしてるし、寝る時には船を停めたりしてるし、2日ぐらいが妥当じゃないかしら?」

「まあ、そこまで作り込まれた作品じゃないし、適当にそこら辺はなあなあでいいんじゃないか?」

「…あなた…一応私達の中では一番頭がいいんだから…」

「いいんだよここは『あとがき』なんだからな。 気にするな」

「…それじゃまた次回ね」




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