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サークルワールド HERO ~一期一会編~  作者: 葱原龍乃介
第八章 森に棲む『悪魔』
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2人のシスター

「皆さん、到着しました」

森を歩くこと数分…アレス達は森の中でも少し開けた場所に出た

まるで広場の様にそこだけ木々が無く、中央に立派な『教会』が建てられていた

木製の教会…紫の屋根に十字架が一つ建てられた、何ともシンプルな教会である

大きさは二階建ての一軒家が奥に三軒程繋がったぐらいの大きさで、小さく古くてあんまり綺麗とは言えないが、それでも大切に使われて来たのが分かる教会だった

「…ここが『教会』… ずいぶんボロいんだな」

ストレートに失礼な事を言うシード

「…失礼じゃないかしらシード?」

その通りである

「ふふっ…その通りですね… ですが中は綺麗に掃除していますし、構造自体はしっかりとした作りになっています。 簡単には壊れたり崩れたりしません」

シスターは教会の扉へと近付く

木製の茶色い両開きの扉の鍵を開ける

ギギギィッ……っと、鈍い音を出しながら開いた扉をくぐると、そこにはシスターの言っていた通りの綺麗に清掃が行き届いている教会が目に入った

木製の長椅子が左右に6個ずつ縦に並び、教会奥には巨大な十字架がそびえ立っている

その教会奥両端には、この教会の二階へと続く階段に行くための扉があった

天井から吊り下げられた照明と、教会上部に取り付けられたステンドグラスから差し込む太陽の光が、教会内の広く清潔な室内を明るく照らしている

綺麗で()ある

清掃されて清潔で()ある

しかし『()()()()』はされていない

床には、オモチャやらなんやらが所々落ちている

おそらくこの教会に居る子供の物だろう

それを見て、シスターは小さなため息をつく

「…また散らかして… 片づけてって言ったのに…」

そう(つぶや)いた時、教会奥の右扉が開いた

「イェロンおねーちゃーーん!!」

そこから出てきたのは4人の子供だった

2人は『人間』で、2人は『獣人』である

獣人の子は犬と猫の獣人である事が、そのもふもふとした毛で(おお)われた顔を見れば一目瞭然である

「イェロンおねーちゃん! おかえりー!」

元気一杯な声を出す子供達

しかし『シスター』は困った顔をする

「へぇ… あんた、『イェロン』って名前なのか…」

シード達に本名を知られてしまったからである

そんな事とはつゆ知らず、イェロンに駆け寄ろうとする子供達

だが、その足はピタッと止まる

「イェロンおねーちゃん…そのひとたちだれ?」

1人の人間の子供が尋ねる

「あっ! もしかしてイェロンおねーちゃんのおともだち?」

「ちがうよ! ジンビスおにいちゃんのおともだちだよ!」

「ううん…きっとシスターの『おきゃくさん』…ってひとだよ!」

子供達がやんややんやと、色々言い合っている

しかしイェロンが優しく(しか)

「みんな静かに… 私達は『シスター』に会いたいの。 上に居るのかしら?」

そう聞くと、子供達はうんうんと(うなず)

「そう…きっと『明細書』を見ているのね… ありがとうねみんな…」

イェロンはニコッと笑顔を見せる

だが直ぐに全員にまた優しく叱る

「ロロイ…外に出る前に、遊んだ玩具(おもちゃ)をちゃんと片付けるのよ? キナもお人形さんをしまって… ヘストルは上着を着て…毛がフサフサで暖かくても風邪をひいちゃうかもしれないわ。 チーは毛繕(けづくろ)いばっかりしてないで、水が嫌いでも帰ったらお風呂よ? 暗くなる前にみんな帰ってくる…約束よ? 分かったかしら?」

「「「「は~~い!!」」」」

元気良く返事をすると、4人の子供達は教会の外へと出て行った

「元気があってかわいい子供達ね…」

「元気があるのは嬉しいんですが…ちょっとやんちゃな子達です…」

ミーシャは朗らかな表情で子供達を見ていた

しかしシードはこう思っていた

(『イェロン』って名前を知られるのに抵抗があった…何か理由があるのか…? それと…やっぱりあの『ジンビス』ってやつもここに居るのか… そして『シスター』…たぶんそいつが俺達の捜している『ばあちゃん』ってやつか…?)

イェロンは子供達を見送ると、子供達が出て来た扉へと4人を連れて行った

上に縦に伸びた階段を上がると、そこは真ん中に真っ直ぐ続く廊下が一本だけあったちょっと狭いと感じる屋根裏の様な所だった

左右に各二部屋ずつ、突き当たり奥に一部屋…計五部屋が並ぶ少し薄暗い場所で、天井に取り付けられた照明が鈍く照らしている

「…たぶんですが…この突き当たりに『シスター』は居るはずです」

イェロンはその扉の前まで行き、ノックをする



コンコンッ…



「『シスター』…いらっしゃいますか…? イェロンです…少しお話したい事があります」

「…イェロンかい? ()()()は追い返したのかい?」

部屋の中から少し甲高(かんだか)い老人の声が聞こえた

「いえ…()()()()()()()()()()

「…良く分からないけど…話を聞こうかね… 入ってちょうだい」



ガチャッ…



イェロンとシード達は部屋へと入った

そこは廊下と違って明るい部屋だった

奥の壁際には本棚がズラッと並び、本やファイルがぎっしりと収納されていた

部屋の隅には赤色のベッドがあり、床には絨毯(じゅうたん)が敷かれていた

殺風景な部屋である

おそらく最低限生活出来る程度の家具があるだけで、本来は事務作業の為の部屋なのだろう

その証拠に部屋の中央少し奥には事務机があり、そこに『声の主』が居た

「…イェロンが連れて来た…てことは、あんた達の話を()()()聞いて良い…てことだね?」

「はい…少しで構いません… 皆さんも、それでよろしいですね…?」

「それでいい。 多く聞く事も無さそうだしな」

シードは改めてその声の主を見る

女性だった

イェロンと同じ色の修道女の服を着ていて、フードまですっぽりと被っている

髪は白髪が多く混じる黒髪

フードのせいで長さまでは分からない

顔は見た感じの年齢のわりにはシワが少ない

年はおそらく60~70までの間だろう

椅子に座っているため身長も分からない

立ってもおよそイェロンと同じかそれより少し上ぐらいだろう

怪しさはどちらかと言えば無い

むしろ『安らぎ』の様な安心感がある

イェロンは彼女を『シスター』と呼んでいた

だがどちらかと言えば『修道女(シスター)』よりも『祖母(グランマ)』と呼んだ方がしっくりくると思う程

それほど素朴な感じがしたのだ

しかし…

「おや…随分と元気そうな子達じゃないか… (うち)の子達より元気が良い… 元気が良い子供は外で遊ぶべきだよ…こんな所に来るもんじゃない…」

甲高い老人の声で軽くそう批判する

手には何か紙を持っている

机の上にも、何か紙が散らばっている

その紙を見ながら横目でシード達を見ていた

シード達には興味が無いらしい

(…第一印象は悪いみたいだな…)

シードは当然そうだと納得する

何も連絡等もせず突然こんな所に来たのだ

印象は良くない

「なあなあ! ばあちゃんが『英雄の話』をするのか!? 俺にも聞かせてよ!」

…そんな事を気にしない人物(アレス)も居るが…

「…? ……まさか、それを聞きにここに来たのかい?」

「はい…皆さんはシスターに『英雄の話(その話)』を聞きに来たみたいです」

ふぅ…っと、老婆はため息をつく

「随分と物好きだねぇ…こんな老人の話に興味があるなんてね… とにかくもう少し待っておくれ…この書類を片付けなきゃいけないんだよ…」

机の上にある紙にカリカリと何か書き始めた

サインをしているのだろうか?

「書類を片付けてる間に…その子…怪我をしているのかい? 治してやったらどうだい?」

「それもそうだな…イェロン、包帯や薬はどこにあるんだ?」

老婆はシードがおぶるアレスの怪我に気付いたようだ

「それでしたら…こちらの方に

「包帯やら薬やらは貴重品だよ…そう簡単に渡されちゃ困るよ」

老婆がスパッと言う

「じゃあどうすればいいんだ? 足が痛くて動けないよ!」

アレスが反論する

が、老婆はいたって冷静である

「…包帯も薬もあげないよ… イェロン、使()()()()()()()()()()()()()

「分かりましたシスター」

「…イェロン…てことは…あんたわざとここまで連れて来たね? それぐらいだったら治せたはずだろう?」

「いえいえ…シスターの『お許し』がないと使えませんから…」

「…まあいいさ… とにかく書類が片付くまで、その子を治してやりな」

「おまかせ下さい…」

するとイェロンは(ふところ)から何かを取り出した

それは『ネックレス』だった

少し大きめの十字架が()()繋がったネックレスだった

イェロンはそれを首に着ける

手を胸の前で組み、まるで祈る様な体勢を取る

そして目を閉じた

…彼女の体から、薄青い色の『ソウル』が溢れる

彼女は『練魂(れんそう)』しているのだ

魂術(そうじゅつ)』を使う為に



魂術(そうじゅつ)



ソウルは通常『無属性』である

それを属性付き…『火属性』や『水属性』へと変え、更に『形状』を変えた上で放出する…それが『魂術』である

①『属性』と『形状』を変えて②『放出』…

この①の作業を『練魂(れんそう)』と言い、②を行って初めて『魂術』となる

練魂は『魂術魂石(そうじゅつそうせき)』や一部の人が持つ特殊な『細胞』で行える

この練魂も含めた魂術は発動させるまで時間がかかる

魂術にはランクがあり、『下位』『中位』『上位』が基本存在する

上位になればなるほど消費するソウルや発動させるまでの時間が多くなるが、威力や効果が上がり高度な魂術が発動出来る

…やがてイェロンの練魂が終わる

時間にしてほんの数秒だった

「『エルガメディカ』」

イェロンの組んだ手から薄い緑色の光線が発射される

それがアレスの怪我を負っている足へと当たる

すると…

「おぉ…おおおっ!?」

足が不思議な薄緑の光と感覚に包まれると、あれほど深い刀傷がみるみる塞がっていく

そして刀傷は跡形もなく無くなり、傷なんて最初から無かったぐらいに元通りになった

「おおーー! 痛くない! 動ける!」

アレスはおぶっていたシードの背からピョンッと飛び下り、部屋をぐるぐると回り始める

「治ったー! ありがとうなイェロン!」

礼を言うアレス

「すごいわね… 私の『練魂籠手(れんそうごて)』じゃ、そんな強力な『治癒魂術(ちゆそうじゅつ)』を使えないのに… シードと同じで、体内に『特別な細胞』を持っているのかしら?」

「…わたしも『治癒魂術』が使えれば…ご主人様を治せたのですが…」

ミーシャやスイは感心したり(うらや)ましがる

「………」

一方シードは()()()いた

しかし『驚いた』…と言うよりかは、むしろ『唖然(あぜん)』とした表情だった

自分の中の常識が(くつがえ)ったかの様な、信じられない事が目の前で起きたような、そんな感情を表している表情だった

「…ありえない…」

「…? シード、どうしたのかしら? 確かにアレスの傷が治ったのはすごい事だけど

「『すごい』なんてもんじゃない…!」

シードが焦り始める

「『治癒魂術』は本来『自然治癒力活性化』を(うなが)すもんだ…! 『傷口を徐々に塞ぐ事』や『痛みを徐々に和らげる事』をソウルによって強力にしたものが『治癒魂術』だ… だがあくまでも『活性化』…あんな風に、()()()()()()()()()()()なんて至難の技だ…! ただ傷口付近の組織に『ソウルによって自然治癒力活性化をさせる』様な下位治癒魂術じゃ無理な話…それだけで、今のが『()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()』様な上位治癒魂術である事は誰でも理解出来る…!」

更にシードは語り続ける

「しかもだ…! 上位治癒魂術は『()()()()()()()()()()()』がないとほとんど使えない…! 傷の具合…細胞組織…人体構造…血液やそれにまつわる成分…そういったありとあらゆる『医療知識』がないと上位治癒魂術は使えない…! その知識を元にソウルを複雑かつ的確に傷を治す治癒属性ソウルを生成・形状変化させて『練魂』をする… 治癒魂術を使える俺が言うんだ…あれがどれほど難しい技術か嫌でも分かる…!」

まだまだシードの熱弁は止まらない

「それ以上に…! あの()()()()()がありえない…! それほど複雑で的確な高度すぎる魂術を発動するのに…たった『数秒』しか掛からないなんて…! 才能もあるが…()()()()()がないとそこまで出来ないぞ…!?」

「そ…そんなにすごい事なの…? もしかして…あなたって『聖騎士(せいきし)』だったりするのかしら?」

ミーシャの問い掛けに、イェロンは軽く首を横に振る

「私はそんな身分の高い()ではありません…」

イェロンはそう言うと、軽く会釈(えしゃく)する

「改めて自己紹介させていただきます… 私は15才、『イェロン・キュバス』と申します… この『教会』に住む修道女です…皆さん、よろしくお願いします」

ずいぶん丁寧な挨拶をするイェロン

「…『イェロン・キュバス』… 『キュバス』…!? そうか…『魔族』の『サキュバス族』か…! それならあの魂術の強さも納得出来る…が、それだけで()()はならない…その若さでどれだけ努力をしたか俺には分かる…」

「…そうね…『魔族』なら…『サキュバス族』なら…()()なっても当然ね… そうなるまで…どんな努力をしたのかしら… 若くて大きくて…うらやましいわね…」

「…ミーシャ…お前だけ違う話をしてるだろ…?」

シードはイェロンを見て感心していたが、ミーシャはイェロンの『胸』を見て羨ましがっていた

「…さて…と…書類の片付けが終わったよ… 待たせたね…話を聞こうかね?」

老婆が机の上の書類を一つにまとめ、机の端へと置く

そして一息つくと、自己紹介を始めた

「私は『城ヶ峰(じょうがみね)ハロノラ』…ここじゃ『シスター』って呼ばれているよ…あんた達もそう呼びな」

「分かった…シスター、俺達がここに来た理由は

「待ちな…」

シードの言葉を(さえぎ)るハロノラ

そして入口のドアを指差す

「イェロン…この子達は私に用があるらしいからね… あんたは外で子供達の相手と、『果樹園』の様子を見てきておくれ」

「分かりましたシスター…」

イェロンは軽く頭を下げると、部屋のドアを開けて外へと出て行った

バタンッとドアが閉まった事を確認すると、ハロノラは話し始めた

「さて…こんな老いぼれに用とは…物好きだねぇ… 用件を聞こうかね?」

ハロノラは少し甲高い老人の声で尋ねる

シードはスッパリと言った

「あなたがここに居る子供達に話している『英雄の話』…それを聞きに来ました」

するとハロノラは思わずニヤケ顔になる

「おやおや…そんな事の為にここまで来たのかい? …物好きじゃなくて…()()な物好き…てことかい…」

「失礼…訂正させて下さい… 『英雄の話』ではなく、『()()()()()()()()()()()()の話』を聞きに来ました」

シードはそう答えた

「………」

急にハロノラは顔が険しくなる

「…なるほど…やはり…『()()』のですね?」

シードはここで()()()()()()

ただ単に『英雄の話を聞きに来た』という用件だけ伝えれば、もちろんハロノラの様にニヤケたり拍子抜けした表情になる

そこまではいい

しかしそこでシード達の知りたい情報へと『切り替える』

シード達は『英雄の話』ではなく『英雄が誰なのか、実在するのか』という事を知りたかった

しかしそれを直接尋ねたらどうなるか?

答えは『はぐらかされる・知らない・ただの作り話』と、言い返されるだろう

そうなってしまえば、それ以上情報を聞き出すのは困難を極める

だからこそ、シードは()()()()()()()()のだ

本当にこの『英雄の話』が単なる作り話だとすれば、用件を『切り替え』ても別段反応は変わらないだろう

『そんなものはいない』とか『ただの作り話』とか、そうやって言われるだけだっただろう

しかし逆に、『英雄の話』に『()()()』が居たとすれば…?

それを急に指摘されれば…?

どんな人物でも、何かしらの違う反応をするだろう

今のハロノラの様に、顔が険しくなるといった反応を見せるだろう

シードはそれを狙った

そしてそれを見逃さなかった

ハロノラの反応を見て、シードは確信した

(やはり…()()…! 『英雄の話』には…その話のベースとなった…モデルとなった人物… 『()()』が居る…!)

シードは確信した

そこを攻めた

「俺達はその人物に会いたいのです。 あなたの知っている情報…どうか俺達に教えていただけませんか?」

下手に出る

「どんな些細(ささい)な情報でも構いません。 俺達…いえ、彼は会わなければならないのです」

小さくてもいい、そして自分ではない人物が会いたいという情報

「例えば住む場所…例えば性別… そして名前…なんでもいい…その英雄に繋がる情報を少しでも欲しいのです」

例をあげ、その後最も聞きたい『名前』を具体例として尋ねる

「お願いです…あなたの知る情報を自分達に教えて下さい… 情報を教える事に、特にあなたにデメリットはないはずです…それどころか、それで自分達が救われるのです… 人助けだと思って自分達を助けてくれませんか…?」

『デメリットがない』『人助け』…そして『俺達』から『自分達』と一人称を急に変えて相手の懐へと潜り込む

そうして下手下手になり、確実に情報を引き出そうとするシード

ハロノラの良心へと訴えかける様な巧妙な話術に、ハロノラ自身の顔がみるみる曇っていく

「………」

効果あり…しかし決定打に欠ける

シードはここまで食い下がっていて、次の一手に困っていた

(もう少し…か…? だが…まだ『()()()』は早い… ならば…『作戦2』だ…!)

そこで『話題を変えた』

「…分かりました… あなたにも、何か語れない理由があるようですね… でしたら…この『教会』や『ウィークエンドの森』について教えていただけませんか? それと…この第三大陸『リーバイド』についても…」

今のシード達にとってこの大陸は未知なる領域…

知らなければならない情報は山ほどある

今はそれを聞けるチャンスでもあり、更に目的である『英雄』の情報を知る大チャンスでもある

ここは何でもいいから『情報』が必要

まずは軽い情報…つまり、ハロノラを含めたこの『教会』や『森』の情報を入手し、()()()()()()()()()()()()

シードの思う『作戦2』とは、どんな情報でもどんな会話でもいいから長引かせハロノラと少し親密になる…

そして『奥の手』は――

「…まぁ…イェロンが連れて来たんだ… 手ぶらで帰す訳にもいかないね… この『教会』や『ウィークエンドの森』…そして『リーバイド』の事も…少しは教えてあげようかね…?」

仕方がない…といった様で、ハロノラはふぅ…っと小さくため息をつく

「ありがとうございます…助かります」

シードは頭を下げて礼を言う

「「………」」

ミーシャやスイは黙っていた

こういう交渉や取引といった話術を使う系はシードに一任した方がいい…そう思っていたからだ

「………?」

一方アレスは良く分かっていなかっただけだった

「それじゃ…」

ハロノラは小さく咳払いをする



「先ずは…この『大陸』について話そうかね…?」





Q.傷が治せるなら薬とか要らなくない?



「いえ…そう簡単な話ではありません」

「うぉっ!? イェロン!?」

「久しぶりに私達この後書きに出たのに、もうイェロンちゃんがここに来ているの?」

「ふふっ…お気になさらず… それはそうと…ここは一体…?」

「…ここは『後書き』です… わたしたちの居た『物語』とは…少しちがう所です…」

「…? よく分からないですが…とにかく質問に答えさせてもらいますね」

「確かに『治癒魂術』を使えば薬なんて要らない… それこそ、病院に『治癒魂術』のエキスパートを揃えれば何でも解決するはず…そういう事だな?」

「理屈じゃそうなるわね… でも実際は薬も病院も普通に流通しているわ。 …どうしてかしら?」

「…治癒魂術は…ケガだけを治せるから…でしょうか?」

「いや、そんな事はない。 治癒魂術は怪我だけでなく『気絶』や『毒』も治せる。 もちろん下位治癒魂術じゃ無理だが、上位治癒魂術ならそれも可能だ。 『毒』が治せるなら…理論的には病気も治せるはすだ」

「それじゃ、上位治癒魂術を使える人がものすごく少ないんじゃないかしら? それなら人手も足りなくて『薬』に頼る人もいる事になるわよ?」

「それならつじつまが合う…が、ミーシャの持つ『練魂籠手』の様に、魂術を使えるようになる装備も存在する。 コストをかければ、上位治癒魂術を使える装備も当然作れる…それが普及してないって事は、それが出来ない理由があるんだろう…」

「う~ん…分からないわね…」

「…イェロンさん…答えをお願いします…」

「はい…薬が必要とされる理由は

「おっと…今回はここら辺で終了だ」

「えっ!?」

「また次回な」





「あれ…俺の出番は…?」




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