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サークルワールド HERO ~一期一会編~  作者: 葱原龍乃介
第七章 中央大陸英雄譚 ―終結―
59/90

王都出発

―――記入日:皐月(さつき) 19ノ日(じゅうきゅうのひ) 金魂日(きんそうび)

           記入者:青原(あおはら)ミーシャ―――





中央大陸の王、陸王(りくおう)様…『天帝(あまみかど)バレーノ』さんに謁見(えっけん)しました

王様って結構見栄っ張りだったり…威張っていたりするイメージがあったけど…バレーノさんはそんな事なくて、おおらかで人柄がよくて、何て言うんだろ…『優しい王様』って感じがしました

バレーノさんが持っていたセンス『選択(ヘブンズゲート)』で『導いて』もらって、私達は『王国騎士団魂理工学隊(そうりこうがくたい)団長』、『ユゥカ・アラクネア』さんに会いに行きました

ユゥカさんの居る『王国騎士団本部』で私達は、シードの知りたい『呪い』の正体…スイちゃんの知りたい『自分自身』…そして私の知りたい『団長』の行方…それらを教えてもらいました

結局、 シードは『呪いを解く方法は()()()()()()()』と知り、スイちゃんは『自分が少しだけ何者か分かった』と知り、私は『団長が生きている』とだけ知りました

…私達は少しがっかりしましたが、それぞれ旅の目的が完全に失った訳ではありません

むしろ新しい目的を見つけました

私達が知りたい情報をもらった後、本部を出た時にアーサーさんと会いました

どうやらバレーノさんが私達にお話しがあるみたいで、そのままバレーノさんの所まで行きました

バレーノさんの居る王接間(おうせつま)でまず聞かれたのは、『旅を再開する日はどうするか』でした

なるべく早い方が良いとアレスとシードが言い出したので、翌日出発すると決めました

するとバレーノさんは騎士の一人に『明日の朝に間に合うように馬を用意してくれ』と伝えました

バレーノさんは私達の為に馬を用意してくれるらしいです

私達は馬で元々移動していましたが、前回の街で置いてきてしまいました

…それでも馬を用意してくれるなんて…さすが『陸王様』です…

次に聞かれたのは『次の目的地はどこか』でした

シードは次の目的地は第三大陸『リーバイド』だと言いました

どうやら『リーバイド』には、昔世界を救った英雄が居るらしいです

アレスがその人に会いたいらしく、次はそこに行くらしいです

そしたらバレーノさんが『旅費はあるのか』と尋ねました

…お金『マル』はほとんど無いと正直に言いました

第三大陸に行く船のお金もあるか分からないぐらいしか、手持ちにありませんでした

そしたらバレーノさんは『やっぱりな』みたいな顔をして、騎士の一人に()()()()()()()()()数えきれないぐらいの『マル』を、私達に差し出そうとしました

…さすがにそんな大金を私達は受け取れず、全部もらおうとしていたアレスとシードを引き離して、旅に必要な最低限の分だけ頂く事にしました

その様子を見て笑っていたバレーノさんは最後に、『明日の朝、見送りをレインカにさせてくれ』と言いました

もちろん私達はそれを承諾して、明日の朝に王都入口の門で会おうという事になりました

そして王接間を出て、私達は出発準備をしに王城の客室へと戻りました

明日王都を出発…色々大変な事もあったけど…なんだか名残惜しいな…








   ―――翌日 皐月(さつき) 20ノ日(にじゅうのひ) 土魂日(どそうび)―――




アレス達は王都の入口の大きな門の前に居た

同時にバレーノの娘『天帝レインカ』も、そこに居た

更にその隣には『王国騎士団特殊殲滅隊(とくしゅせんめつたい)』団長と副団長のアーサーとロウも居た

「…陸王様に頼まれた馬二頭と旅費…あとは荷物を軽くする為に『ルテイク』もユゥカさんが用意した。 君達の持つ荷物丸ごとを圧縮出来る様に設定してあるらしい。 受け取ってくれ」

タバコの箱ぐらいの魂機(そうき)から出る光線を物体に当て、その物体を圧縮して何時でも取り出せるという『物体圧縮携帯魂機』…ルテイクと旅の資金、そして馬二頭をミーシャに渡すアーサー

「ありがとうございますアーサーさん…! ていうか…こんなにもらっていいんでしょうか…?」

「構わない…それが陸王様の意思なのだからな。 だが、私自身も君達の旅の無事を願っている。 頑張って欲しい」

アーサーの隣では、ロウがシードと何か話している

「…あんた…()()()()()()んだな?」

シードがそう尋ねると、ロウは腕を組んで答える

「『言う必要』が無いからな… それに、黙っていて欲しいと思っているのだろう?」

「まあな…そっちの方が助かる」

どうやら『シードのセンス』の話をしているらしい

シードは自らのセンスをアレス達に知られるのが良く思っていない

それはそのセンスが『自己中心的な力』から発現しているの()関係している

その隣では、アレスとスイがレインカと話していた

「気を付けて旅を続けて下さい…いつでも、私達と王都『サニーライン』はみなさんを歓迎します…!」

「ああ! レインカも元気でな!」

「…お世話になりましたレインカさん…」

レインカが笑顔でアレス達を見送る

「…アレスさん…また…お会いできますか…?」

ちょっと潤んだ目でそう言うレインカ

「何言ってんだレインカ! 俺は『ヒーロー』になるんだ! 俺を呼んだらいつでも駆けつける! それがヒーローだからな!」

「…またお会いしましょう…!」

ニッコリと笑顔で返すアレスとスイ

そんな2人を呼ぶ声が聞こえた

「アレス、スイ、そろそろ行くぞ」

シードが馬に(また)がり2人を呼ぶ

「…アレス君」

「?」

不意にアレスを呼んだのはアーサーだった

「…()()()()()()…君ならきっと習得出来るはずだ。 頑張りたまえ」

「もちろんだ! 任せろ!」

グッと親指を立てるアレス

「…アレスアレス…」

「?」

今度はミーシャが小声でアレスに(ささや)

「昨日話した()()…ちゃんとやりなさいよ…!」

「……ああ! アレか! 忘れてた」

アレスはクルッとレインカの方を向き、いきなり()()()()()

「「!!!」」

あまりに突然の出来事に、アーサーもロウも驚いて硬直する

だがそんな2人よりも、当の本人であるレインカが一番驚いた

驚いたと言うよりは、むしろ驚きと嬉しさと恥ずかしさが混ぜ合わさった様な何とも言えない感じだった

目を丸くさせ、顔が真っ赤になり、体をわなわなと震わせ、

「あ&#%*¥℃@※★……!!」

などと意味不明な言葉を出しながら、口を大きく開けていた

「じゃあなレインカ! 次に会う時は必ず『ヒーロー』になってるからな!」

そんなレインカの様子など気にも止めず、ぎゅっと抱きしめながらそう言うアレス

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だ! またな! レインカ!」

そして別れの挨拶を終えると、アレスはレインカから離れてシードに続いて馬に跨がった

「…昨日の夜コソコソなんか話していたのは()()だったのかミーシャ?」

シードが細い目をしながらミーシャに尋ねる

「そうよ? お別れの時ぐらいロマンチックにしたいじゃない?」

シードとアレスとは別の馬に跨がりながら意地悪そうにニヤッとして答えるミーシャ

「ロマンチックねぇ…あんまりそうは見えねぇけどな… スイ、行くぞ」

「…レインカさん…わたし…負けませんから…」

スイは頬を若干膨らませレインカに小さくそう言うと、シードに呼ばれてミーシャの乗る馬に跨がり、ミーシャの背に掴まった

しかしそんなスイの『恋のライバル発言』もレインカには届かなかった

「♭♯▼*£◆%@℃♂≦…!!」

口を半開きにして頭から煙を出してよく分からない言葉を言っているレインカには届かなかった

「じゃーなー!」

シードとミーシャが手綱(たづな)を引き、馬を走らせる

そしてアレスがレインカ達に向けて手を振る

しかしそんなアレスの『別れの言葉』もレインカ達には届かなかった

「陸王様に…何とご報告すれば…」

「団長…しっかりして下さい!」

「×$∞♀℃%♯ゑ%★●☆◆…!!」

アーサーは四つん這いになって項垂(うなだ)れ、そのアーサーを心配そうに見るロウ、そして口を半開きにして頭から煙を出してよく分からない言葉を言っているレインカの3人には届かなかった

「よーし! シード! ミーシャ! スイ! 次の大陸に向かって行くぞ!!」

「まだまだ時間は掛かるけどな!」

「まずは港まで行くわよ!」

「…途中で街に寄りましょう…馬も休憩が必要です…!」

馬に揺られ、4人は次の目的地である第三大陸『リーバイド』に向かって、風を切り進んで行った
















 ―――皐月(さつき) 22ノ日(にじゅうにのひ) 月魂日(げつそうび) 午後3時37分―――




王都を出発して2日後、ミーシャはアーサーの言っていた言葉を思い出していた

「この王都から一番近い第三大陸行きの船が出る港は、中央大陸貿易港『アルカルミ』だ。 馬であれば、順調に行けば2日から3日程で到着出来るだろう。 流石に『自動魂車(じどうそうしゃ)』は高価で運転免許が必要である為渡せないが、陸王様に頼まれた馬二頭と旅費…あとは荷物を軽くする為に―――」

ミーシャ達4人は、馬を走らせながら町を目指していた

「この調子なら、明日には港に到着出来そうね!」

「今日はこの先にある町で休むぞ! 馬も相当走らせている…休息が必要だ!」

シードとミーシャは馬上で会話をする

「あと10分ぐらいで宿馬町(しゅくばまち)『シューラス』に着く! 今日はそこで宿を取るぞ!」

「分かったわ! …もう少しだから頑張って走ってね…!」




 ―――10分後 宿馬町『シューラス』到着―――




シード達は『シューラス』に到着後、馬や馬車を預けたりレンタル出来る宿馬所(しゅくばじょ)に馬を預けた

そして宿を目指して町を歩いた

宿馬町『シューラス』…多くの旅人がこの町を経由して王都や中央大陸主要の街を目指す、中継地点の様な町である

一戸建ての店が多く並び、武器や食材等の専門店もちらほら存在する

どれも中央大陸を代表とする物ばかりだ

しかし貿易港が近い事もあり、他大陸の商品も並べられている

そんな活気が溢れる商店街を彷彿(ほうふつ)とさせる町を歩いていると、一軒の店の前で何やらもめている人達が見えた

「…姉さん、このお金じゃ足りないよ」

「あら…どうしましょうか…? お金はこれだけしか無いわ…」

「お客さん…それじゃ諦めてもらうしかねぇな… こっちも生活かかってっから、1マルも負けられねぇからな!」

アレス達は足を止める

店の前でお金があるないでもめる事はそう珍しい事では無い

だが、気温は暖かくて心地よい風が吹く程度のこの時期に、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()2()()()()()()()()()()()()を見れば足を止めざるを得ない

『姉さん』と呼ばれた人物とそう呼んだ人物は、袖口と(すそ)をモコモコの素材で作られた茶色いコートを着ていた

2人は身長が大体165から170センチであまり変わらなく、『姉さん』と呼ばれた人物の方が若干高かった

黒髪のショートヘアーの『弟』と、同じく黒髪のロングヘアーの『姉』は、顔立ちも良く、その雰囲気はどこか『貴族』っぽさを感じさせた

だが次の言動からは、とても『貴族』とはかけ離れていた

「…じゃあ、このサンドイッチを()()に出来ないかい? そうすれば値段も半分で済むはずだ」

「まぁ! それは名案ね! 店主さん、それでお願いします!」

「いやいや! それは出来ねぇぞお客さん! これはこういう商品なんだ! 靴を片方だけくれって言ってるようなもんだぞ!?」

「あら…靴ならお値段を半分で購入出来るのかしら?」

「出来ねぇしそう言う事じゃねぇ!」

見慣れない人達がそう言い合っているのを軽く眺めていると、()()()()()()が元気良く声をかけた

「なら俺達がそれ買うよ!」

シードはふと横を見る

そこに居たはずのアレスが、いつの間にかそっちに居た

アレスはポケットからお金をポンッと出し、サンドイッチを購入した

そしてそれをその2人に渡した

「食べたかったのか? あげるよ!」

2人はそれを受け取ると礼を言った

「まぁ…いいのかしら? ありがとう!」

「すまないね…素直に礼を言わせてもらうよ」

「ていうかお腹減っているのか? なら何かそこらへんで食べよう! 大丈夫大丈夫! お金ならたくさん貰

「ストッッップ!!」

ミーシャが慌ててアレスの口を塞ぐ

「モゴムグゥ…!?」

ミーシャの行動と反応は当然だった

このままアレスを喋らせれば、『陸王からお金を貰った』なんて言うに決まっているからだ

ミーシャがアレスの口を塞いだ後、シードは強引に話題を反らす

「うちのアレスはお人好し過ぎるんだ…とりあえずそれは受け取ってくれ」

「ありがとう。 これで()()()()()()()()()()()()()()()()よ。 姉さん、早速探しに行こう」

「そうね…本当にありがとうね?」



グウゥゥ~ッ……



「あ…」

「…ご主人様…お腹がへったのですか…?」

(またベタなタイミングで鳴るもんだな… ま…()()()()()()か…)

アレスの腹が鳴った事を、シードは逆手に取って2人に提案した

「…あんたら、腹減ってないか? 良かったら俺らがおごるから飯でも食いに行かないか?」

そう言うと、シードは目線を一瞬だけミーシャに向ける

それで何かを感じ取ったのか、ミーシャも便乗して話を合わせる

「お金なら心配しなくて大丈夫です! 実は私達、これから第三大陸へ行こうとしていたんです… でも第三大陸の事、全然知らなくって…良かったら詳しく教えてほしいんです!」

それを聞いて、2人は顔を合わせる

そして頷いてシード達に笑顔を向ける

「喜んでご馳走になるわ…!」

「その代わり、僕達でよかったら何でも聞いてほしい…答えられる範囲で答えよう…!」

そしてアレス達4人と2人は、近くのレストランへと向かった




「…と、その前に自己紹介が先かな? 僕は地下(ちくだり)ザヌ」

「私は地下(ちくだり)エナイよ。 よろしくね? 旅人さん?」





前回の続き:魂石について説明しだしたユゥカは止まる事なく喋りだして、そこから一時間経過していた



「………という事だから、物体を動かす為に必要なソウルを各家庭や街に1つずつ設置して管理すれば良い…そう思うかもしれないけど、エニグマや犯罪者の襲撃により破壊される可能性は極めて高いの。 それを管理する騎士や業者など、人件費も多く掛かってしまう… なら、安価で交換が容易な魂機を取り付けられればそれに越した事は無い…そこで目を付けたのが自然界に存在する『細胞を宿した生命体である魂石』なのよ。 ソウルを自己生成可能、かつ自己練魂可能な『魂石』…これを元に創り上げた魂機が普及すれば、余計なスペースやソウルの消費を抑えられ、更に文化の発展や可能性を発見する事も出来る…! 私達はその研究を進め、今の形となったのよ。 …分かりやすく言えば、『自家発電装置を兼ね備えた電化製品』…とでも言えば少しは分かりやすくかしら? まあ、貴方達には何の事か分からないと思うけど」

「「「「…………」」」」

「とりあえず、『用語集』の『魂石について』で詳しく書いてあるから、読んでおいてちょうだい… それじゃ、また次回」




「終らせやがった…」



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