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サークルワールド HERO ~一期一会編~  作者: 葱原龍乃介
第七章 中央大陸英雄譚 ―終結―
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陸王謁見

―――皐月(さつき) 19ノ日(じゅうきゅうのひ) 金魂日(きんそうび) 午後12時08分


               王接間(おうせつま)にて―――




「…こうして顔を合わせるのは初めてかな? アレス君、シード君?」

少し低めの威厳(いげん)を感じる声でそう語り掛けたのは、中央大陸『セントレイン』で最も大きな権力を有する人物…陸王(りくおう)天帝(あまみかど)バレーノ』だった

背が高くて金髪のオールバックの様な髪をしたバレーノは、王接間奥に置かれた玉座にどっしりと腰を()え、笑みを浮かべている

その玉座の前に並ぶアレス達

ミーシャやスイはバレーノがどれ程の地位に居るか知っている為、片足を付いて(ひざまず)いてはいるが、アレスとシードはそうしていない

むしろアレスは『誰だアレ?』みたいなリアクションで棒立ちし、シードは不機嫌そうな顔をしている

そんな2人に、ミーシャは小声で注意する

(ちょっ…! あなた達何してんのよ!? ちゃんと座りなさい…!)

しかしシード動かない

むしろ逆に、挑発する様にバレーノに対して言う

「…確かに初めてだな… あんたが()()()()()()あそこに来ていれば、俺の腹に『穴』が空く事も無かったと思うな」

その瞬間、シードの背中に『()()』が突き刺さる

その『殺気』を放った人物は他でも無い、『天帝(あまみかど)アーサー』だった

金髪で薄いが強固な鎧を身に纏った『王国騎士団特殊殲滅隊(とくしゅせんめつたい)団長』…そして大陸で最も『強い』者、『聖騎士(せいきし)』でもある人物だ

陸王を崇拝する彼は、シードの背に目線で『殺気』を放つ

シードはそれに気付きながら、今度は皮肉たっぷりに言う

「陸王は何しても許される訳じゃねぇ…ってのはさすがに分かるが、椅子に座りっぱなしが仕事って訳でもねぇだろ? まずはその椅子から降りて、『()()()』でもして欲しいもんだな」

完全なる失言だったに違いない

シード達の居る王接間には数人の騎士とアーサー、そしてレインカも居た

彼らがざわつき、怒りや不快感を(あらわ)にした

自分の仕える主がけなされれば、誰だってそうなる

レインカは『確かにそれは共感できます…』みたいな顔をしたが、『さすがに土下座はやりすぎなのでは…』とも取れる顔をした

だが流石にアーサーは耐えきれない様子を見せた

殺気は最早無かった

腰に携えた剣の柄に手をあてがい、シードの首に狙いを定める

()()』…罪を犯した者を裁く、ただの『行為』に変わっていた

――だがその『行為』は止められる

他ならぬ『()()』の言葉によって

「ワァッハッハッハッハッハッ!! いやぁ~悪かった悪かった!」

「「!!?」」

アーサーもシードもその()()に驚きを見せる

ザワザワ…っと、周りの騎士も困惑に近い反応をする

「シード君! 私は君の将来が楽しみだよ! きっと君は『大物』になる…! とりあえず今は落ち着きたまえ…アーサー、君もな」

バレーノは目線をアーサーに向け、気の立ったアーサーを落ち着かせる

アーサーは軽く会釈すると、柄からそっと手を離した

それをバレーノは確認すると、目をシードへと向けて話を続ける

「シード君、君は私の『謝罪する姿』を見ても納得はしないだろう。 君には、()()()()()()良いだろう」

バレーノは懐から一枚の『写真』を取り出す

その写真には………()()()()()()()()()()

「いや~私の娘はいつ見ても愛らしいものだ! 私の妻に似て整った顔立ち! 気品溢れるその姿! たまらないだろう!?」

嬉々としてそう語るバレーノに、シードは若干引く

そんなシードとは対称的に、レインカは真っ赤になった顔を両手で隠して『恥ずかしい…!』っと小さく呟く

「レインカは私になついてくれた…だが、息子は放浪癖が強くてな… 今も私の妻が『中央大陸廻国(かいこく)視察』に行っている最中にも何処かに行ってしまうし…全く…自由に育って欲しいとは願ったものの…一体どうしたら良いのだろうか…」

バレーノの回りに(よど)んだ空気が纏い、ひどく落ち込んでしまう

その様子を見て、ミーシャやアーサーを含んだほぼ全員がしらけた顔をしてしまう

「…あんたの家庭事情を聞いている暇は無いんだが…」

シードが冷静につっこむ

「ぅぅむん…済まない済まない…話が逸れてしまったな…」

うなだれたバレーノが頭を上げる

「冗談はこれぐらいにして…()()()()()()()



―― 一瞬で空気が変わった



「!!?」

シードは咄嗟(とっさ)に身構えた

あまつさえ、背中に携えた長槍に手を伸ばしたぐらいだった

それほど、バレーノの纏った『雰囲気』がガラッと変わったのだ

見た目は()()変わっていない

顔付きが少し険しくなったぐらいと『()()()()()()()()()()()()()()だけだった

バレーノの右目から、まるでゆらめく『炎』の様に、ソウルが溢れ出ていた

そんな自分を警戒する目で見られたバレーノは、少し照れながら謝罪する

「おっと済まない…()()を『使う』のは久しぶりでね…調節の仕方を忘れてたな。 まぁいいか…このまま()()()

「!? 何をする気だ…?」

その言葉を聞いて、更に警戒を高めるシード

しかし笑って返すバレーノ

「大丈夫だ大丈夫! 何も()()()…『一言』だけ、言わせてくれ」

バレーノは真っ直ぐシード達4人に向かって目線を合わせる

そして『一言』だけ尋ねる



「『()()()()()()()()()()()』」



「? 旅の目的…?」

「あぁ! 言わなくて良い言わなくて良い…! ()()()()()()()()()()()()()()()()()

「「「「???」」」」

流石にバレーノのこの行動は理解出来なかった

『返事をしなくて良い、質問を聞くだけで十分だ』

そういう事なのだから

「…?」

アーサーも首を(かし)げた

『知らない』らしい

バレーノの『()()()()』では無く、『()()()』…と言えるものが分からなかった

「あぁ…アーサーも知らなかったか? 私の『才能(センス)』を」

その言葉で、王接間に居る全員がざわついた

当然である

なにせ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

これにはアーサーが声を(あら)らげる

「り…陸王様!? このような場所で貴方の『才能(センス)』を披露して宜しいのですか!?」

焦るアーサー対し、あっけらかんとするバレーノ

「何を言っているんだアーサー! そんな大した事では無いだろう? 気にするな気にするな」

「そ…『そんな事』で済ませれる事では

「そうだ! シード君、君達に『()び』として私の『才能(センス)』を教えよう。 特別だぞ? …いや…よくよく考えれば『詫び』としては当然かも知れないな… まあいい…これも『()()』の1つとして受け取っておいてくれ」

バレーノは片手をヒラヒラとさせ、アーサーをなだめる

アーサーは渋々それに従い身を引く

コホンッと軽く咳払いをして、バレーノは自らの『力』について語り始める

「まず君達は『センス』が幾つかの派生に別れる事を知っているだろうか? 才能を進化させたもの…人格や性格を現したもの…短所や欠点や望みといった(おぎな)う様にして発現したもの… 発現する『原点』は違えど、これらにはとある『共通点』がある。 それは『()()()()』と言う事だ。 誰かが発現した『センス』が、その子孫にまで『遺伝して発現する』事が確認されている。 『遺伝』…これも立派な『才能』だからだ。 発現した有能な『才能(センス)』は遺伝子に記憶され、それが時を超えて継がれた『才能』として開花する。 『才能を継ぐ才能(センス)』…そういう解釈で構わない。 …何故こんな話をするかと言うとだな…この私のセンスも、()()()()()()()だからだ」

バレーノは何かを思い出す様に遠い目をする

「『天帝家』は昔…この大陸がまだ複数の『国』によって構成されていた大陸だった時…そして、『争い』が絶えなかった時… 私の先祖の『天帝』の者がその時代を()()()。 天帝の先祖の者達が挙兵し、民衆の『魂』を掴んで皆をまとめた。 国同士の領土・物資・人民の奪い合いを止める為、戦いを望まぬ者達と共に平和的解決へと大陸を『()()()』。 それから…いや、既にその時に()()()()()のかも知れんな… 我々『天帝家』には1つの『才能』として、『()()()()()()()』が発現する様になった。 『(みちび)く才能』…それが人であれ物であれ、天帝家の者はそう言った才能を持ち合わせる事が多くなった。 そして…私もそうだ」

スッ…と目を閉じて、そしてゆっくりと開く

いつの間にか、目から溢れていた炎の様なソウルは消えていた

「…さて…君達に何も言わず『試す』様な事をして非常に申し訳無かった… その『詫び』として、君達の『望む』物へと少しだけ『()()()』みよう… 例えば…『()()()()()()』とか…『()()()()()()()()()()』とか…『()()()()()()()』とか…?」

「「「!!!」」」

バレーノの語った意味深なその言葉を聞いて、スイとミーシャとシードは目の色が変わった

驚きや疑問や焦り…そういったあらゆる感情が入り交じった何とも言えない表情を見せた

「…と言ってもだ…『答え』では無いぞ? あくまで『可能性』の話だからな? ()()()()()()()()()()、その目的に近付ける方へ私が『導いているだけ』だからな」

ますます訳が分からなくなってしまった

言葉は成立してはいるが、それを理解するのが困難を極めた

「さて…と… それじゃあ…3人共、『王国騎士団魂理工学隊(そうりこうがくたい)団長』、『ユゥカ・アラクネア』の所まで行くと良い… きっとその『目的』に少しは近付く事が出来るだろう」

「…あの…」

「ん?」

「俺の『目的』は…?」

アレスがポカーンっとした表情で尋ねる

するとバレーノは笑いながら返した

「あぁ~申し訳無い! 正直な話、君の『目的』については私にも『()()()()』。 正確に言えば、『私の持っている知識では答えられない』のだ。 君をどう『導ける』か分からないのだよ。 だが…」

バレーノはじぃっ…っとアレスの目を見つめる

「安心してくれ。 君は君の信じる道を突き進めば良い… その先に、きっと君の目指す『もの』があるはずだ… この私が保証しよう。 何せ…()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「えっ!? それってもしかして父さ

「あぁっ! これ以上は詳しく言えないのだ! 悪いね… だから君も、それ以上は何も言ってはいけないよ?」

「なんか…気になるな~…」

「そうだな…君が『英雄』に…いや、『ヒーロー』になった暁には、いくらでも話してあげよう!」

「本当か!?」

「あぁ勿論だとも! ハッハッハッ!」

「でもな~…今その話すっごい気になるんだけどな~…」

「まぁまぁ…今は気にする必要は無いさ… 私の過去よりも、今は『君達の目的を何故私が知っているのか?』の方が気になるだろう?」

『英雄』…

アレスの父『黒月(くろつき)トレス』は昔、そう呼ばれていた

現在、その『英雄』と言う称号はほとんど風化してしまい、今や誰もその『存在』を知らない

よって『英雄』と言う言葉を聞いても、この王接間に居る()()()()()()()()()は何で誰の事か全く分からなかった

…だが、()()を知っている人物はこう思った

(…あのバレーノっていう陸王… どうしてトレスさん(英雄)の事を知ってるんだ? シード()やアレスはもちろん、アレスの父さんが英雄って事は知っている…が、ミーシャやスイにもまだ言ってもいない『英雄』の存在を、なんで知っているんだ…? まぁ…中央大陸の陸王だから英雄の存在を知っててもおかしくはないんだが… だが…それにしても、どうして()()()()()()()()()()()? 今のやりとり…『意図的に隠している』感じがしたな… 『英雄』に触れられたくない理由が…何かあるのか…?)

シードは思案に明け暮れる

それでも、バレーノが話し始めたその()()に、耳を傾けざるを得なかった

『それ』以上に、『そっち』の方が気になっていたからだ

「簡潔に言ってしまおう。 私のセンスは、『他者への問い掛けに対して自身の持つ知識で導ける能力』だ。 このセンスを発動した状態で誰かに『問い掛け』をする。 それが一人でも複数人でも問題無い。 すると不思議な事に、私を含めた『()()()()()()3()0()()()()()()』のだ。 誰も何も動く事が出来ない。 そもそも『時が止まった』という事すらも私以外分からない。 しかし私だけ、『()』を動かす事が出来る。 その『目』で、私の問い掛けを聞いた者を見ると、頭上に漫画のフキダシやゲームのウィンドウの様な『枠』が現れ、その中に問い掛けの『答え』が映し出されるのだ。 …ここまでは良いか?」

早速、アレスの頭から煙が立ち上る

その様子を見て、笑いながらバレーノは語り続ける

「更にその上にもう1つ『枠』が現れる。 そこには、その『答え』に最も導ける『答え』が映し出されるのだ。 私はそれを見て、その内容を伝える事が出来る。 だが、その内容は『私の記憶されている知識』が映し出される。 私の知らない事や見た事もない物では導く事が出来ない。 ただし逆に、『私自身が覚えていなくても()()()()()()であれば問題無い』のだ。 遠い昔に知った事を私自身が覚えていなくても、センスにより脳に永久に記憶されている為、問い掛けに対する『()()()()()』がしっかりと表示されるのだ。 実に有り難い能力だろう? 私自身が覚えておらずとも、ちゃんと『応えて』くれるのだからな。 しかし、『()()()()()()()()()()()()()()()』は、2つ目の『枠』は現れない。 『問い掛けの答え』のみの『枠』が現れるのだ」

遂にアレスはバタンッ!っと音を立ててうつ伏せに倒れた

最早全身から煙が立ち上ってしまっている

そんなアレスを尻目に、シードは冷静にバレーノに尋ねる

「つまりあんたの能力は…

①能力を使用して誰かに質問をする

②30秒程時が止まる

③その間、誰も動けず自分さえも動けない

④唯一動ける『目』で、その質問した人物を見る

⑤頭上に質問の答えが映った『枠』が現れる

⑥更にその上に、自分の知った事のある知識が映った『枠』が現れる

⑦その⑥の『枠』には、⑤の内容を解決へと『導ける様な内容』が映し出される

⑧⑥の『枠』が現れない様な質問の場合、それは現れない

⑨それを自分がその誰かに伝える

…ってな感じか? ややこしいセンスだな…使い道あんのか…?」

シードがめんどくさそうな感じになる

「…ですが…『質問』さえすれば…半強制的に情報を聞き出せる…という事であれば…とてもおそろしいセンスです…」

スイの言う事は実際正しい

しかしそれほど万能では無いらしい

バレーノは渋い顔で応える

「確かにその通りだ…しかし実はそれほど万能では無いのだ… このセンスには欠点が『2つ』ある… 1つ目の欠点は、『()()()()()()()()()()()』。 これは致命的な欠点だが、当然と言えば当然だ。 耳を塞いだり、声や大きな音を出して、私の問い掛けそのものを聞かなければ発動しない。 私の能力はあくまで『導く』能力…対象者がおらず更に聞かなければ、『導く』事も出来ない」

バレーノは目を一瞬閉じて開く

そして急に真顔になった

「私はこのセンスを『選択(せんたく)』と書き、『ヘブンズゲート』と名付けた。 2つ目の欠点はここにある。 それは、『()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()』事だ。 『答え』を私が知っても、それを()()()()()()()()()()。 逆に、私はそれを()()()()()()()()()()。 人を導ける『答え』を知って、それを伝えて『導く』か、はたまた知った上で伝えずに『導かない』か、私自身が『選択』出来る… 『力』を使いながら問い掛けをしてしまえば、口を開かずとも問い掛けの『答え』が()()()()()()。 導こうとするが故に…その者が『何を考えているか()()()()()()()』…これがどれ程辛いか…()()分からないかも知れないな…」


選択(ヘブンズゲート)』…


センスを使いながら質問をして聞かせさえすれば、口を開かずにバレーノには『()()()()()()()()()()

直訳すれば、バレーノの前では『隠し事』は出来ない

強制的に分かってしまうからこその『苦悩』…

導く為に心を覗くという『罪悪感』…

そして知った『答え』に対して自身の口から導くという『使()()()』…

それは例えば…膨大な量のソウルを持ち得る者がほぼ無条件で『騎士』となり戦う事を義務付けられたかのような…『持ち得る者だからこそやらねばならない使命感』…それと同義だった

『知ったからこそ導かなければならない』…『()()()()()使()()()()()()()()()()()』のだ

そんなバレーノの過去に何があったかは、少なくともここに居る誰一人として分からない

しかしその言葉から、何かしらの重い『過去』があったというのがひしひしと感じられた

重苦しい空気が王接間に立ち込める

その空気を感じ取ったのか、バレーノが両手を叩いてパンパンッ!っと音を出す

「そんなしんみりした感じを出さないでくれ! 昔の事だ…気にする事は無い! それよりもアーサー、皆をユゥカの所に連れて行ってくれ! 彼等の目的を少しでも解決出来る様にユゥカに頼んでくれ」

「了解しました陸王様。 お任せ下さい。 …ユゥカの所まで案内しよう。 付いて来てくれ。 …そこの少年は…何とか連れて来てくれ…」

シードは渋々全身から煙を出して横たわったアレスを担ぐと、ミーシャやスイと共に王接間から出ていくアーサーに付いて行った








(アレス君…君は本当に似ている… 彼に…『英雄』と呼ばれたトレスに似ている… 君の旅の目的は…『ヒーローになる』…だったな… 君ならなれる…必ずな… だが…シード君の『呪いを解いて罪を無くす』…ミーシャ君の『団長を捜して会う』…スイ君の『自分の過去を知る』…それらを成し遂げるよりも、遥かに困難で険しいものだ… きっと『戦い』に身を焦がし…『悪』を討ち…『絶望』に(さいな)まれる事だろう… しかしそれを越えたその先に…君の目指す『ヒーロー』が必ずある… 私が保証しよう… だから()()()()()()、諦めずに先に進むのだ…ただ前に…進み続ける限り…きっと…大丈夫だ…)






バレーノは静かに、柔らかい目で、アレス達を見送った






Q.バレーノの『センス』って、本当に使えるの?

すごく意味無さそうだけど…


「大丈夫だ! ちゃんと使えるぞ!」

「うぉうっ!? びっくりした… あんたなんでこんな所に…」

「私のセンスなのだからな! 陸王たる私が直々に説明せねばなるまい!」

「…よろしくお願いします…」

「任せたまえ! まず私のセンス『ヘブンズゲート』だが…効果だけ見るとそれほど便利でも使いやすくも無い。 しかしこのセンスは使い方次第なのだ。 使い方がそもそも『誰かを導く』ものである為に、『それ以外』の効果を持ち合わせない。 『問い掛ける』→『何も言わなくても問い掛けの答えが見える』→『知った事のある知識でその答えに一番導ける答えが見える』→『伝えるか伝えないか自分で選択する』…これが一連の流れなのだ」

「………」

「あ…アレスからもう煙が…!」

「ミーシャ、ほっとけ…」

「だが良く考えてみて欲しい… この『問い掛け』の前では、『隠し事が出来ない』のだ。 例えば『年齢は?』と問い掛けたら、その人物の年齢が分かる。 更に『私に殺意があるか?』と問い掛けたら殺意があるか直ぐに分かる。 この様に、『問い掛けた内容に対して嘘偽り無く正直に答えさせられる』事が可能なのだ。 …もしこれが…『戦闘中』ならば…どうなると思う…?」

「えっ…と…?」

「なるほどな… 例えば剣を持って襲って来る奴に、『どこを斬る?』なんて質問したら…簡単に避けれるし防げるな… 逆に攻撃しようとした時に、『どこに避ける?』なんて質問したら…避けようとした方向に攻撃すりゃ間違いなく当たるわな… 案外恐ろしい能力じゃねぇか…」

「その通りだ。 こと戦闘において、これほど強い事は他に無い。 攻撃・回避・防御等の方向・方法が簡単に分かってしまうのだ。 しかし…本来の使い方では無いがな… 私の能力は『導く能力』…戦闘で使うべきでは無いのだ」

「例えば『王都への行き方が分からない』やつに『どこに行こうとしている』か質問して自分の記憶から行き方を伝えたり、『落とし物をした』やつに『何を落としたか』質問すればそれを見た場所や聞いた情報を伝える事が出来る訳だ。 あんたの能力は、そういった使い方が基本って事か」

「うむ…その解釈で問題無いぞ。 私のセンスは決して『便利』では無い。 しかし『誰かの為になる』事は可能だ。 使える使えないは二の次であり、便利は更にその次なのだ。 分かったかな?」

「………」

「…ご主人様が…返事をしません…」

「じゃ…じゃあまた次回!」



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