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サークルワールド HERO ~一期一会編~  作者: 葱原龍乃介
第六章 中央大陸英雄譚 ―騒乱―
48/90

『国』

      ―――『才能(センス)』―――


人が持つ特技や長所、または獣人の持つ身体的特徴や特性といった『才能』がソウルにより強化され『進化』した力…それが『センス』である

脳にソウルが宿り、偶発的に『能力』として発現されたその力は、もちろん誰にでも現れる訳では無い

事実、ロウ・パサードはその力を持っていない

『才能』が『センス』として発現する方法…詳しい要因等は現在も解明はされていない

しかし、前述した『才能』以外にも『センス』として発現する『()()』がある事が証明されている



その『もの』――それはその人の『()()』や『()()()』…つまり、『()()』そのものがセンスとして『現れる(表れる)』――




   それは果たして『()()』なのか―――




  はたまた『()()』なのかは分からない―――







「『自己中心的な国(カントリー)』…だと…?」

意味不明すぎて、シードへの攻撃を中断してしまうロウ

「…あんたは理解しなくてもいいぜ…? どっちにしろ…あんたをもう…どこにも行かせはしねぇからな…!」

シードは体勢を整え、槍を再び構える

そして槍の柄先を持ち、大きく槍を振りかぶって振り払う

「『狩烏(かりがらす)』!!」

ブウゥンッ!!っと槍が空中を切り裂く音が鳴る

しかし当然の如く、いくら槍のリーチを最大限に引き伸ばしたとは言え、槍がロウに届く事は無い

だがシードの槍の刃先から斬撃が伸び、ロウを切り裂こうとする

風属性のソウルの刃が、まるで『鎌』の様に伸びてロウに襲い掛かる

「ハッ!」

『防ぐ』のも1つの手だ

だが、シードの力『自己中心的な国(カントリー)』が得体の知れない力である以上、無用なソウルの消費は避けるべき…そう思ったロウはその攻撃を()()()()()()()()()()

「!!?」

説明などいらない

そこはもちろん、シードの攻撃の間合いだった

「ぐぬぅっ!!」

ロウは両刃斧にソウルを纏わせ、シードの『狩烏(かりがらす)』を防ぐ

ギギャァンッ!っと鋭い金属音を鳴らし、ロウは体勢を崩してしまい床に倒れる

もちろんそれをシードは逃がしはしない

「『天空(てんくう)』」

いつの間にか上に跳んでいたシードが、ロウの倒れ込む床に目掛けて、両手で握った槍を突き刺す

当たれば腹に風穴が空くような、風属性ソウルを纏わした槍を

「!!」

ロウは床を転がり、なんとかそれを回避する

ゴロゴロゴロッと転がった先で立ち上がり、なんとか体勢を立て直す

しかしシードの追撃は終わらない

槍を地面から引き抜き、槍先に風属性ソウルを纏わせ、それを地面に振って当てる

良く見ると、その纏っているソウルは『渦』を巻いている

「『山嵐(やまあらし)』!」

槍が擦った地面からつむじ風の様な小さな竜巻が発生した

シードと大体同じぐらいの高さのそれは、成人男性が歩くのと変わらない程のスピードでロウへ向かって行く

(触れると…まずいな…!)

直感でそう思ったロウは、ソウルを纏わせながら斧を振り上げて振り下ろす

「『ラギルス』!」

斧から大きなソウルの斬撃が飛び、竜巻へと向かって行く

ロウの放った『ラギルス』は強力な技だ

竜巻に当たれば相殺どころか打ち勝つ事も可能だろう

だがその斬撃は竜巻に当たらず()()()

それどころか、()()()()()()()()()()()()()()、シードに向かって行った

「何ッ!?」

明らかに不自然な軌道を描いて飛んだ斬撃を、シードは難なく避ける

ロウは飛ばした斬撃がどうしてそんな軌道を描くのかを考える前に、『この目の前にある竜巻をどうするか…?』…それを考えざるを得なかった

そして出た答えが『右に避ける』だった

だからロウは『()()()()()()()()()()

「なっ…!?」

何か声を出す余裕も無かった

眼前まで迫っていた竜巻に、体が全て呑み込まれてしまう


ザシュザシュザシュッッ!!


「ッグアアァアッッ!!」

苦痛による獣の雄叫びが、竜巻の中心から聞こえる

全身を風属性ソウルで作られた斬撃が襲っているのだ

それでも、シードの言葉を借りるなら『腐っても特殊殲滅隊(とくしゅせんめつたい)』…竜巻に呑まれる前に、ロウは全身にソウルを纏って防御していた

しかし竜巻の斬撃は威力が高く、咄嗟に纏ったソウルでは威力を完全に防ぐ事は出来なかった

早くこの竜巻から逃れる為…ロウは体に纏ったソウルを全て、体外へと爆発させる様なイメージで放出した

バチィンッッ!!っと音が鳴り、竜巻ごとロウが纏っていたソウルが弾けた

間髪入れずに、シードが槍を突き出す

「『風刃(ふうじん)』――


シードはそれを放った瞬間、自らの体が動かなくなってしまった事に気付いた

それは…ロウが明確なる『()()』を持って、シードを(にら)み付けたからである

「――ッ!?」

ゾクッ…と、シードの背筋が凍る

シードが動けなくなってしまった理由…それを一言で表せば…



          『恐怖』



それにより、体が(すく)み上がってしまった…そう言わざるを得ない

「『レージュ』…」

動けなくなったシードに、ロウは左手を突き出して掌底を放つ

ドグッ!!っと鈍い音がして、シードは後方へと吹っ飛んでしまう

ズザアァッ!っと地面を擦るシードを、ロウは追撃しなかった

「…スゥー…フゥー…」

その代わり、ロウは深呼吸をしていた

「――っああっ! …ハッ…ハァッ…ハァッ…!」

急いで立ち上がったシードは、乱れた呼吸を整えていた

「…ふぅ…悪かったな… 少し…大人げない姿を見せて…な…」

「……」

謝罪するロウに対し、シードは何も言わなかった

…シードは後悔していたのだ

昔…そう、3年程昔…自分の脳内にべっとりとこびりついてしまう程の『()()()()()()()』を…シードはその時覚えてしまった

それからシードには1つ『決意』した事があった

()()()()()()()()()()()()()()()

そう、(こころ)に決めていた

だからこそである

その出来事と同等の『恐怖』を感じてしまった事に…ひどく後悔している事を…

(俺が…『()()』を…? 俺はあの時の『()()()()』を知ってる… 2度とそんな『恐怖』を…俺は感じないと…そう…決めたはずなのに… その為に俺は…『()()』なったのに…!)

その後悔も…一瞬だけだった

目の前に居る(ロウ)が喋り掛けて来たからである

「『自己中心的な国(カントリー)』…なるほど…恐ろしい力だ… あらゆる物体・ソウル…更に人体すらも『自身の方向に向ける事』が出来るのか… いや…『()()()()()()()()()()()』…のか… 『向かう』という行為…『方向』や『行動』といった『認識して行う』行為そのものを自分に向ける能力… アレスに向けて投げた斧を自分の方向に向けさせて軌道をずらしたり、同じくアレスに向けて放った斬撃が自分の方向である右に逸らさせる… 更には、斧を突き出した体そのものの向きを自分へと変える… 極め付けには、『竜巻に向けて放った斬撃』を『()()()()()()()()()()()』へと変える… その為、斬撃の軌道を物理法則を無視して途中で方向転換させる…正に『自己中心的』…そう言える能力だな…」

ロウはそれを理解した上で、()()()()()

「…!!」

「『認識を向ける』…それはつまり、『()()()()()()()()()()()()()()』と言う事だ。 例えばこうして…『目を閉じる』攻撃には…無力だ」

ロウはソウルを纏った斧を、乱雑に振りまくる

「『ランギルス』」


ブゥンッブゥンッブゥンッ…!!


斧が上下左右様々な方向に音を出して振り回される

すると斧から大小のソウルの斬撃が飛びまくる

ありとあらゆる方向に飛ぶ斬撃は、バラバラの方向とはいえシードへとある程度飛んで行く

「うっ…ぉおっ…!」

ランダムに飛んで来る斬撃を必死で避けるシード

だがどの斬撃も、規則性を持って飛んでいる訳では無かった

大小の大きさから飛ぶ速度までバラバラなのである

不規則に飛ぶ斬撃は、時として回避不能の空間をも作り上げてしまう

足下に飛んで来た斬撃を上へ跳んで回避…したその先に、斬撃が真正面に飛んで来てしまえばもう避けられない

「っあがぁっ!!」

槍にソウルを纏って懸命にガードするが、その威力の強さに吹き飛ばされてしまう

地面に打ち付けられて転がされてしまう…そんなシードを、斬撃の雨が襲う

「くっ…そ…!」

槍で防ぎ、跳んで避け、転がりまくるシード

そんなシードなどお構い無しに、ロウは目を閉じたまま、淡々と説明する

「今の俺の行動を『自己中心的な国(カントリー)』で操作すれば、俺の『斧を振る方向を全て自分に向ける』事は出来ただろう… それは『自分に向けて斬撃を放つ腕』に能力を使用するという事だ… そうすれば斬撃を全て自分の方向に一直線にする事が出来る…だが俺は目を閉じている…つまり、『()()()()()()()()()()()()()()()()』…だから俺の『腕』に対して能力は使えず、斬撃はあらゆる方向へと飛ぶしか無いのだ… よってこの状況で能力を使えば、あらゆる方向に飛んだ『壁や床に向かって飛んで行く斬撃』が急に軌道を変え、『()()()()()()()()()()()()()』事になる… そして更に」

…シードは、自分を含めたあらゆる方向から飛んで来る斬撃を避けるのに必死で、いつの間にか斬撃が止んでいるのに気付かなかった

「ぅっ!!」

そして斬撃の代わりに、ロウが目の前に居る事に()()()()()()()()()

反射的に、シードは槍をビュオッ!っと振っていた

だが斬ったのは…ロウでも無く空中でも無く、『()』だった


バッシャアァァァッッ!!


「なにっ!?」

突然どこからともなく『水』が表れたのだ

正確に言えば『水属性のソウル』だったが

(これは…っ! 『洗水魂玉(せんすいそうだま)』…! なんでこれを使

「目眩まし…そして『()()』の為だ…」

半歩…それだけ後ろへ下がり、ロウは槍の間合いから外れていた

体勢を低くし、前傾姿勢のまましゃがんでおり、その状態で左手をシードへ突き出した

「『アクリス・レージュ』」

突き出した左手が空中に舞っている『水』を、まるでポンプの様に押し出して『水の弾丸』となって発射された

掌底の威力をそのまま『水』を押し出す力へと使った為、たかが『水』とは言えその威力はそこらへんにある石壁であれば難なく破壊できる程の威力だった

「っがっ…っは…!!」

そんな物がシードの腹部を直撃したのだ

痛くない訳が無い

吹き飛びはしなかったがグラつくシード

ロウはもちろん、追撃を止めない

今度は空中に舞い散った『水』で左手を濡らし、人差し指と中指だけを立てる

濡らした2本の指を、そのまま上から下に向けて一気に振り下ろす

「ぐぁっ…!?」

振った瞬間には、もう既にシードの足が()()()()()

何か鋭利な刃物でスパッと切った様な切り傷が、シードの太ももに付いていた

「安心しろ…切り傷を付けるだけだ… 『アクリス・シギルス』」

『水』が落ちて濡れた床で左手を再び濡らし、同じ様に2本の指を素早く振る

するとたちまち、振った所の延長線上にある場所が切り裂かれる

それを2…3…やがて8回行った所で、ロウがその攻撃を止めた

シードは既に、足や腕…頬に至るまで、全身が切り傷に覆われていた

その傷口からは…真っ赤な血が滴り落ちていた

「ハァッ…! ハァッ…! くそっ…そんな使い方がっ…!」

「『洗水魂玉(せんすいそうだま)』… 握ってソウルを流し込めば大量の『水に限りなく近い水属性ソウル』が溢れ出る道具… 君も知っているはずだ… そして『敵を怯ませる事にも使える』…そう言ったはずだぞ…? 旅人の簡易風呂として使うこの玉も、使い方によっては『大怪我をさせない程度の傷を付ける』事や、『()()()()()()()()()()()()()()()()』事にも使えるのだ…」

「……!!」

「更に弱点は存在する… 現在の様な『一対一』ではほとんどこの力を活かせない。 攻撃全てを自分に向けても、それでは大した効果は得られん。 『()()』ならではの力だろう。 また、例えば個人が体から放つソウル…ただそこに存在するだけの物…何にも認識していない人物…そう言った『自然に放出される・存在する物』や『何かを認識をしていない人』を『自分に向ける事は出来ない』… そして…」

ロウは軽く斧を振り上げ、シードへ斬撃を飛ばす

「ぁぐっ…!!」

シードはそれをソウルを纏った槍で防ぐ…が、とても弱々しいソウルしか纏わせなかった

簡単に吹き飛ばされ、床に仰向けで倒される

「ハァッ…ハァッ…」

「『ソウルの消耗が激しい』…それも重大な弱点だ。 『向かおうとする力を強制的に変える』…そんな力を、少量のソウルで行える訳が無い… 当然大量のソウルが必要だ…よって直ぐにソウルが底を尽きる…」

「ハァッ…ハァッ…」

息も()()えのシードは床に仰向けになりながらもロウの話を聞いていた

「君の『自己中心的な国(カントリー)』は、『一定範囲内の視認・感知した認識して行われた行動・力を自分へと向ける能力』… 『対象に向けて放たれた斬撃』を、『シード(能力発動者)へと向けて放たれた斬撃』へと、その軌道を変えさせる… 例えそれが『人物』や『物体』や『ソウル』であっても、だ… だが逆に…『()()()()()()()()』を自身へ向ける事は出来ない。 『放たれた斬撃』や『飛んで行く物体』は壁や床など『どこかに向かって』行く為に自身の方向へ向けられるが、『目を閉じて』だったり『感覚で』放った『攻撃そのものの方向』は自身へと向けられない。 目を閉じて振った腕、見ずに自身の後方へ放った腕は操作出来ない。 あくまで『何かに向けて』を『自身に向けて』へと変える『才能(センス)』と言う事だ。 だからこそ()()が多い… 『認識しないで行われた行動』には無意味…『自身が視認・感知出来なかった行動』にも発動出来ない…『静止している無機物・生物の行動』にも干渉出来ず…『ソウルの消耗が激しい』…故に『乱戦のみに有効』… ここまで『()()』だらけの力は…正直俺との戦いでは通用しない。 …分かったか…? …その力の扱いにくさ…ではなく、『()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()』を…」

シードは当然理解していた

「ハァッ……ハァッ……」

「…答えよう… 『()()』なのだ… これ以上…この戦いは無駄であると…そう俺は言っているのだ。 つまり『()()()()』。 …諦めて…その場で倒れておけば…それ以上傷付く事も無いだろう…」

ロウは心配の意味も込めて、シードを見つめる

しかしその目には、『(あわ)れみ』の感情がより込められていた

ロウはもう、シードと戦闘する気力も無い

それは…彼を『()()()()()()()()』からだ

仲間を先に行かせる為に…

怪我を負ってまで…

()()』をその身に刻み付けられ…

そこまでして戦う理由は何なのか?

「何故…そこまでして戦う…? 陸姫(りくひめ)様の為とは言え…そこまで傷付きながら…『恐怖』を刻まれながら…何故戦うのだ…? 『逃げる』事も出来たはずだろう…? 『抵抗』しなければ…傷付く事も無かっただろう…? 何故だ…?」

ロウは聞かずにはいられなかった

理解出来ない

『陸姫』であるレインカを救出する為にここまで来たシード達

戦闘は極力避け、救出のみを優先するべきなのは理解出来る

ミーシャとスイはユゥカの足止め…アレスはレインカの救出の為に先に行く…そこも理解出来る…

が…シードが、()()()()()()()()()()()()が分からない

ロウの目的は、アレスとシードをこの先に行かせない事

だがアレスは先に行ってしまった

その時点で、シード()()の足止めという目的に変わったロウに、シードは戦いを挑んだのだ

この理由が分からない

何もしなくてもいい

ただそこに居れば良かった

ロウ自身も『大人しくした方が良い…抵抗すれば怪我が増えるだけ』…そう言っている

事実シードも、『自己中心的な国(カントリー)』だけを使って、アレスを追い掛けようとするロウを『自分の方向に向ける』だけで良かったはず

しかし…シードは『戦闘』を選んだ

圧倒的な『恐怖』を感じ…血の滴る『怪我』を負い…身も心も傷付いても尚立ち上がり、『敵意』をロウへと向ける

その理由が…ロウには分からなかった

それを、ボロボロになりながらもゆっくりと立ち上がるシードに尋ねるしか無かった

「ハァッ………ハァッ………」

「…答えてくれ…シード…!」

「ハァッ………ハハッ…! おいおい…」

ゆらり…と…フラフラになりながらも立つシードは…()()()()()

「理由なんてねぇよ… ただ…あんたに負けるのが…嫌なだけさ…」

「…それだけでは無いだろう…! そんな状態で…そうになるまで…戦う理由は何だ! 意地だけでは…『戦闘』は出来ても『勝利』は出来ない! そんな事は分かっているだろう!? 戦う理由は…一体何だ!?」

「……俺は…さ…『()()()』なんだよ…」

「…!?」

突然そう言い出したシードに、ロウは色んな意味で困惑する

「俺は…この旅自体も…アレスと一緒に居るのも…全部…『自分の為』なんだよ…」

「…確か…『ヒーローになる為に』…そう言っていたな… それがアレスの旅の目的であるならば、君の目的は…」

「俺はあいつに付いて行って…『ヒーローになるまで』アレスを守る…名目ではそう俺は言っている… だけど俺は…あいつの…()()()の為に…アリアの『呪い』を解く…その方法を探す為に…旅をしている…」

(あかつき)アリア…アレスの妹であり、腰上まで伸びた微かに赤みがかった長い髪が特徴の活発()()()女の子だ

3年前のとある事件により、下半身が上手く動かせなくなってしまい、同時に『(こころ)』にも傷を負い、かつての元気を無くしてしまった少女である

「…それが…君の旅の目的か…? だがそれが一体何の関係が

「俺は…それをアレスには()()()()()… 俺が誰にも言わず…その目的で…自分勝手に行動してるんだよ… ずいぶん…自己中心的だろ…?」

「…だからそれが一体

「俺はそれだけじゃねぇ… 自分の目的を果たす為なら…他人をも簡単に利用する…自分の判断基準で物事を進める…自分だけで考え自分だけで行動する… ははっ…全く…俺って人間は…どうしようもねぇやつだな…」

「……」

ロウは何も言わなくなった

これがソウルが貯まるまでの時間稼ぎだとしても、自分のソウルも貯まるので結果は変わらない

シードの力の底が知れている以上、何も問題は無い

むしろ、シードの話に興味すら出てきた事もある

なのでロウはその話を最後まで聞く事にした

「だけど俺は気付いたんだよ… 俺は…()()()()()()()()()…『()()()()()()()()()()()()()()』って…気付いちまったんだよ…」

「…!?」

「俺は…()()()に『()』を背負ったんだ… アリアを守れなかった事…動く事が出来なかった自分…『()()』に染まった弱い『(こころ)』…全てが俺の『罪』だ… 守りたいものを守れず…恐怖が弱い体を支配し…結局何も出来なかった…それが『罪』… 俺は…アリアの『呪い』を解く為に旅する… それは…『呪い』に(おか)されたアリアを治したい…だが…それは『()()()』に過ぎなかったんだ… 俺は…『アリアを呪いから解放して』…『()()()()()()()()()()()()()()()()』… 呪いを解いて…自分の『罪』を(つぐな)いたいだけだったんだよ…俺は… アリアじゃなく…()()()()()()()()()()んだ…『罪』という…『呪い』から…」

目が(うつ)ろになり、頭をフラフラさせながら、若干ばかし笑いながらそう言うシードに、ロウは何も言わない

ただ、じっ…とシードを見つめていた

「だから…さ… 俺は…自分の為に行動してる…って考えたら…『自己中』過ぎる…そう思わないか…?」

そう聞かれたら、ロウも返事をしなくてはならない

「…そうだな… 君が『誰かの為に』何かの行動する訳では無い事は分かった… 君は友人を救いたいのでは無く…『自分の罪を無くす為に友人を救う』…という、『友人を理由として使う』事が自己中心的であるのは分かった… だが先程から言っているだろう…? それが俺と戦う事に、何の関係があると言うのだ…?」

「あぁ…いや…あんたが丁寧(ていねい)に…俺の()()を説明してっから…俺も()()()()()()()()()()()()…と…思ってな…」

「…話が進まんな… とにかく…これ以上の戦いも話も無意味だ。 少し荒っぽくなるが、大人しくしていてもらうぞ」







































        「!!!??」





         突然だった



         何もかもが



        ()()()()()()()



ありとあらゆる景色、背景、物体が白に染まり、『白』しか見えなくなってしまった

辛うじて色が付いているのは、自分自身と石造りの地面…そしてシードだけだった

「何を…! 何をした!? これは…何だ!? 一体…! ()()()()()()!!?」

声を(あら)らげるロウ

まるでそこだけどこかの()()()へ飛ばされたかの様な感覚に陥る

あまりにも突然の出来事、あまりにも異常な現実が目の前に起きているのだ

焦り、動揺し、混乱する

「シード…!? これは…まさか君が…!? これは…『自己中心的な国(カントリー)』なのか…!?」

「……いや…違うな…」

シードは目線を下に向けたまま、ロウに目を合わせようとはしない

よって表情が見えない

「…おいおい…? ずいぶん…焦ってんじゃねぇか…ロウ…」

「これは何だ!? 『自己中心的な国(カントリー)』が…君の『センス』では無いのか!? この空間は…明らかに『センス』だ! 2()()()()()()()()()など…聞いた事が無いぞ!?」

その時…ロウは気付いた

()()()()()()()()()()()

「…あんたに言っとく事が『2()()』ある… 1つ…あんたと『戦う理由』だが…俺はあの時を超える『恐怖』を…2度と感じねぇために…強くなったつもりだった… だがあんたに睨まれた瞬間…あの時と同じ『恐怖』を感じた… 情けねぇ…と思ったが…同時に()()()()()とも思った… 『あいつ』はもう居ないが…『あいつ』と同じ『恐怖』を持つあんたと戦えて…超えられる事が出来ると思った… そしてあんたを倒せば…俺は『強くなれる』… 『()()()()()()()()()()()()()()()()… だからあんたを超えるために…あんたと戦うのさ… そして2つ目…」

シードはふらつく自分を抑える為か、顔に左手を被せ、上を見上げる

「俺は『2つ』もセンスを持っちゃいねぇ… 第一俺は『自己中心的な国(カントリー)』を…()()()()()()()()()()()()()()… それは俺のセンスを『()()()()』使った『能力』だ… 本当のセンスは…()()なんだ…」


        ズンッッ


「ガッ…ハァッッ…!!?」

ロウは自身に起きた現象が出来なかった

自分の体に…自身の肉体に…これ以上無い程の()()()()()()()()()()()が襲ったのだ

「!!? なんっ…!?」

分からなかった

何故そんな状態になったのか、何故自分がそうなったのか、理解出来なかった

ロウは、ロウとシードの居るこの『白い空間』が現れた時よりも困惑していた

そんなロウは足がぐらつき、方膝を地面に付かせ、呼吸を乱す

だが目線はシードから離さなかった

それは…この『白い空間』も謎の『脱力感』も、シードが発現させた『()()()』だと確信していたからだ

そしてようやく、シードはその表情を見せる

左手を顔から離し、ロウの目を真っ直ぐ見る

「……!!」

ロウはシードの顔を見て驚愕した

笑っていると思っていた

自分のセンスで弱ったロウを見て、優越感に浸っているのでは無いか…そう思っていた

しかし違った

その表情は、清々しい程(ほが)らかだった

弱々しく膝から崩れ落ちたロウを見て、シードはまるで仏顔(ほとけがお)の様な優しい表情を見せた

その顔は、慈悲(じひ)とか哀れみとかそう言った言葉で表せる表情では無かった

そう…敢えて例えるなら―――『()()()()()()()()()

だけどもシードは()()を『否定』する

「安心しな…俺は死なねぇ… 俺は、目的を果たすまでは何があっても死なねぇ。 それが白鷺シード()なんだよ」

その言葉を言うシードに気圧(けお)されるロウ

方膝を付きながらも、それでもロウは尋ねる

「…この…! このセンスは…! このセンスは一体なんだ…!!」

そう聞かれたシードは、その顔で、槍をだらんっ…っと垂らし、一言だけ言い放つ









      「『自己中心的な世界(ワールド)』」






Q.『洗水魂玉』とかって、自分のソウルとか誰かのソウルが纏ったり当たった瞬間に割れないの?

特にエニグマとか、100%ソウルで出来ているなら一撃で割れるはず

「良い質問だな」

「どわぁぁっ!? ロウ!? なんでここに!?」

「そんな事は気にしなくて大丈夫だ。 それよりその質問だが、結果だけで言えば『割れにくい』のだ」

「『割れにくい』…ってどういう事だ?」

「『洗水魂玉』で説明すると、あの玉は握ってソウルを流し込めば割れて『水に限りなく近い水属性ソウル』を大量に出す。 これだけだと、確かに自分がソウルを纏っただけで割れる…と思われるが、『握る』という行為が重要なのだ」

「…それは…『握らないと割れない』…ということでしょうか…?」

「それに近い。 『洗水魂玉』は中央に非常に小さい『魂石』が仕込まれている。 この『魂石』に自身のソウルを流し込む事で、大量の水を作り出す最初の段階に入る事が出来る。 詳しくは用語集を見てくれ。 よって、『洗水魂玉』の中央までソウルを流さないと水を生成しない。 ここで『握る』という行為が必要になっている。 握って玉の中央までソウルを流し込む事に成功しなければならないのだからな」

「つまり…握って玉の中央までソウルを流し込む必要があるから、ただソウルを纏っただけじゃ水を作れない…そういう事ですか?」

「その通りだ。 もちろん強い衝撃を与えたり、鋭利な刃物で切れば当然水が作られる。 しかしソウルを纏ってなければ、普通に切れたままだが。 エニグマには注意が必要だな。 襲われて、玉を踏み潰されたり切り裂かれたりしたら一発でアウトだからな。 まあ、そうならない為に道具入れには2個程しか入れないのだがな… よって、ただ触れる、体にソウルを纏うだけでは割れないのだ」

「なるほどー… そうなのかー…」

「…こいつ絶対分かってねぇぞ…?」

「…それではまた次回…」

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